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SNSに子どもの写真は「全て危険」?“セーフな例”と“絶対NGな例”を専門家に聞いた | ビュ

時刻(time):2023-07-26 16:37源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
飲食店などで悪ふざけした中高生や若者の写真や動画が、炎上するケースが増えてきた。そういった投稿は当人が消しても“デジタルタトゥー”として一生涯ネット上に残り続けるため、SNSの投稿には細心の注意を払う必要がある。 写真はイメージです(以下同じ) 特に注意すべきは、小さな子どもの写真を大人が投稿する場合だ。子ども本人は自分の判断でも自分のアカ

 飲食店などで悪ふざけした中高生や若者の写真や動画が、炎上するケースが増えてきた。そういった投稿は当人が消しても“デジタルタトゥー”として一生涯ネット上に残り続けるため、SNSの投稿には細心の注意を払う必要がある。

回転寿司

写真はイメージです(以下同じ)

 特に注意すべきは、小さな子どもの写真を大人が投稿する場合だ。子ども本人は自分の判断でも自分のアカウントでもないにもかかわらず、親の不注意によってデジタルタトゥーを背負わされることにもなりかねない。

 子どもの写真をSNSに投稿する上で、親や大人はどのような意識を持つべきなのか。ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子氏に話を聞いた。

【前回記事】⇒SNS“子ども写真の投稿”「7つの注意点」。“ふつうの投稿”で家や名前は簡単にバレる






子どもに「写真をSNSに投稿する同意」をどう取るか


 高橋氏が監修した『SNSの“子ども写真”投稿ガイドライン』(*1)(家族・子ども向け出張撮影「fotowa/フォトワ」)内には「子どもの立場に立って考えよう。“デジタルタトゥー”にならないために」と記されている。しかし、写真をSNSに投稿されること自体を嫌がる子どもも一定数いるはずだ。

『SNSの“子ども写真”投稿ガイドライン』7つのポイント

出典:『SNSの“子ども写真”投稿ガイドライン』(家族・子ども向け出張撮影「fotowa」/高橋暁子監修)

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(*1)【SNSの“子ども写真”投稿ガイドライン・7つのポイント】(家族・子ども向け出張撮影「fotowa」/高橋暁子監修)
① 個人情報を出しすぎない! 情報の組み合わせが危険に
② 「裸」は絶対NG! これだけは気をつけよう
③ 〈映り込みに注意〉住所を特定させない
④ 〈本名は出さない〉できるだけネット専用のニックネームを
⑤ 子どもの立場に立って考えよう 「デジタルタトゥー」にならないために
⑥ 投稿前に確認 一緒に写った人は公開OK?
⑦ 公開範囲も検討すること
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 そのため、SNSへの投稿について本人の同意を取る必要が生じるが、それ以前にSNSというサービスを説明して理解してもらう必要がある。物心つかない子どもにSNSについて教えることは難解に思えるが、高橋氏は「最近の子どもは小さい時から親がLINEなどを使用している様子を見ており、SNSに対する理解度は高いです」とネットリテラシーの高さを指摘。

高橋暁子氏

成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏

 続けて、“子どもに自身を SNSに投稿して良いか”という同意をどのように取るのか聞くと、「子どもに『すごく可愛い写真が撮れたから、ママ(パパ)の友達やおじいちゃんおばあちゃんにもこの写真を見てもらおうと思うんだけど、どう思う?』のように聞きましょう(※公開範囲を限定している場合)。掲載後は『みんな褒めていたよ』『良かったね』などと報告すると良いです」と答えた。






幼少期の子どもは誹謗中傷にさらされにくい?


 とはいえ、SNSに投稿した場合、容姿に関する誹謗中傷を寄せられるリスクについてもキチンと確認する必要はあるのではないか。高橋氏は「公開範囲をフォロワー限定にするなどして、不特定多数の目が届かないように公開すれば、誹謗中傷リスクはかなり下がります」と話す。

親子の写真
公開範囲を適切に限定した投稿で、小さい子どもの写真を見て容姿を批判するコメントを書く人は、ほとんど見聞きしたことがありません。中高生くらいになるとそういった批判を受ける可能性はありますが、特に保護者が投稿した幼少期、小学校低学年の子どもを傷つけるような書き込みを直接する人はまずいません。基本的に子どもに関するハッシュタグを付けた投稿では、『可愛い』と褒め合う場になっている印象ですし、保護者もそういうコミュニティを選んで投稿していると考えられます」

 投稿するSNSの内容、投稿する範囲など、親側がしっかり気をつけていれば、小さな子どもがネットの誹謗中傷にさらされることはまずないようだ。













子どもを傷つけるデジタルタトゥーの定義


 また、幼少期はSNSへの投稿に抵抗感がなかったとしても、より物事を理解できる年齢になってから、デジタルタトゥーとして一生残るなんて知らなかった! と考えを改める子どもも少なくないのではないか。これについては「当人の写真に対する権利、つまり肖像権は当人自身にあるため、『消してほしい』と言われた場合はその気持ちを尊重して消しましょう」と話す。

泣いている少女
 しかし、物心がついた時にはすでに自分自身の写真が全世界に出回っており、その写真をネット上から消し去ることは不可能。そんなケースは子どもからすれば理不尽な気持ちになりそうだが、「デジタルタトゥーと呼ばれる写真で問題になるのは、恥ずかしかったり不健全だったりなど、当人にネガティブな印象を与えるものです。ただし、著名人の子どもとして顔や個人情報が広く知れ渡るとデメリットが生まれるので、その場合はあらかじめ影響を考えて判断する必要がありますが、一般的なケースではそれもありません」と全ての写真が子どもを傷つけるデジタルタトゥーになるわけではないと口にする。






“可愛い、カッコいい写真”は心配しすぎなくてOK


「大前提として、物心がつくかつかないかに関わらず、子どもが見られて困る写真をアップすること自体NGです。しかし、周囲から『可愛い』『カッコいい』と思われる写真は、デジタルタトゥーと言えるのでしょうか。ポジティブな反応ばかりが寄せられる、顔ができあがる前の幼少期の写真をアップしていたことに対し、子どもが親を責め立てている、という話は正直聞いたことがありません」

 親が“ウケたい”や“注目されたい”といった自分本意な動機でなく、子どもの気持ちをしっかり意識したSNS運用ができていれば、子どもが後悔することも、親が責められることも避けられるという。













子どもの写真を投稿するのは、親の自己満足?


「子ども写真のSNS投稿に関するアンケート」

出典:fotowa家族フォト総研「子ども写真のSNS投稿に関するアンケート」

 前出の家族・子ども向け出張撮影「fotowa」が保護者459名を対象に行った調査結果(*2) では、「子どもの写真をSNSに投稿してよかったこと」に、SNSを一般公開(オープンアカウント)にしている人の半数以上が「孤独感が紛れた」と回答した。

「子ども写真のSNS投稿に関するアンケート」

出典:fotowa家族フォト総研「子ども写真のSNS投稿に関するアンケート」

 もちろん、孤独感に苛(さいな)まれている保護者が多いことも問題ではあるが、嫌な言い方をすると「子どもを利用して自己満足に浸っている」と言えないだろうか。

 このことついては「たしかに子どもの写真を投稿して“いいね稼ぎ”やマネタイズなどをしているアカウントは珍しくないので、そのような投稿がネガティブにとらえられるのは当然です」としつつ、「反面、子育てはとても過酷で、追い詰められている人も多いことを忘れてはいけません」と続ける。






子育てを頑張る親が、SNSを“安全に”使うことは悪くない


育児疲れ
「保護者がSNSを使って子どもに関する写真を投稿することで、それを見た人から『自分も同じように苦労している」と労われたり、『その時期は本当に辛いですよね』と共感してもらったりといった声が救いになるケースは本当に多いです。また、先輩パパママや同世代の子どもを持つ親とつながり、子育ての有益な情報を得るキッカケにもつながります。これらは自己満足とは違いますよね。

 すでに頑張って子育てをしている人が、SNSを安全な範囲で使うことは悪いこととは思えません。子どもの写真をアップしたり子育ての苦しさを吐き出したりなど、そういった投稿を全部『子どもがいる自慢』『子どもを利用していいねを稼いでいる』と言ってしまう空気感が蔓延(まんえん)すると、社会と繋がる手段が失われてしまう。その結果、追い詰められ、虐待などに発展するかもしれません。

 子どもを“利用”することがネガティブにとらえられるのには同意しますが、救いを求める手段がSNSしかない人もいます。盲目的に『子どもに関する投稿=悪』という空気感が醸成されてしまうことは大変危険です」

 上手にSNSを使えれば、子育ての負担を軽減することができる。そのためにもまず、どういった写真がNGなのかなど、SNSの使い方を勉強するところから始めると良いだろう。

(*2)<調査概要>
調査名:子ども写真のSNS投稿に関するアンケート
調査対象:0歳〜小学校高学年の子どもを持ち、SNSに子どもの写真を投稿したことがある保護者459名
調査期間:2022年12月22日〜12月26日
調査方法:インターネット調査
調査元:fotowa家族フォト総研

【高橋暁子】
ITジャーナリスト/成蹊大学客員教授。LINE、Instagram、Twitter、TikTok等のSNSに精通。10代のSNS利用実態や情報リテラシー教育が専門で、『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著書、メディア出演多数。中学生の母。元小学校教員。教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。

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<取材・文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki




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