近年、格闘技ブームが再燃しています。プロの選手たちが目指す『RIZIN』や『K-1』のような最高峰の舞台がある一方、アマチュア選手でも出場可能な大会も多数。なかでも注目を集めているのが、日本トップクラスの総合格闘家で人気ユーチューバーの朝倉未来さんが代表を務める『BreakingDown(ブレイキングダウン)』。キャラの濃すぎる出場者たち、乱闘に次ぐ乱闘のオーディションの様子は動画でも大人気で、女性ファンが非常に多いことでも知られています。
実は、最近では、こうした大会に出場する“普通の若者”も珍しくありません。しかし、そんな彼らの親は、全身タトゥーや輩(やから)オーラ全開の男性たちが殴り合いを行うイベントに我が子が出場することをどう思っているのでしょうか?
息子の地下格闘技デビューを聞いて、不安しかなかった
「最初に話を聞いたときは不安しかないですよ。どんなイベントなのかなと思ってネットで調べてみたら、出場選手はとてもカタギには見えない人ばかり。一応、本人には『応援してるからね』と伝えましたが素直に喜べませんでした」
そう話すのは、息子さんがアマチュア地下格闘技選手だという河田紀子さん(仮名・48歳)。ただし、息子さんはそもそも中学高校ではサッカー部に所属。子供のころに空手や柔道を習っていた経験すらなく、格闘技の試合をすると聞いた瞬間は耳を疑ったといいます。
「私も後になって知ったのですが、社会人になってから趣味で格闘技を習っていたそうです。ジム仲間の方には地下格闘技の試合に出場していた人がいたらしく、『話を聞いてるうちに興味を持った』と話していました。もちろん、試合に出るのは構わないのですが、もう少しメジャーな大会やイベントでもよかったのにと当時は思いました」
こっそり応援に行き、タトゥーだらけの対戦相手にア然
息子さんから試合に招待されることはなかったですが、母親としては気になるところ。そこでデビュー戦の数か月後に行われた2試合目にチケットを購入してこっそり応援に行くことに。
ところが、息子さんの対戦相手は上半身のあちこちにタトゥーが入った見るからに怖そうな相手。客席からは彼の応援団と思われるこれまたガラの悪そうな人たちから「ぶち殺せっ!」「あんなクソ野郎に負けるな!」などの怒号やヤジが飛んでいたそうです。
息子の応援団の見た目に、父親は“反社”と勘違い?
「でも、息子に声援を送る人たちもタトゥー率がやたら高く、こっちもなんだか“反社風”の人ばかり。会場には主人と2人で応援に行ったのですが私以上にビックリしたらしく、その場でずっと固まったまま。『アイツは本当に大丈夫なのか? ヤバいこととかしてないよな?』って試合よりそっちが気になってる様子でした(苦笑)」

確かに、親なら心配して当然です。今回、息子の河田大輔さん(仮名・26歳)にも話を聞きましたが、「自分の目から見ても会場の雰囲気は悪いですね。だから、両親に来てほしくなかった(笑)」とあっけらかんとした様子で話します。
「本当は『BreakingDown』にも応募したのですが、書類で落ちてオーディションにも参加できなかったんです。まあ、普段はスーツ着てサラリーマンやってますし、悪態つきまくった動画がネットで流れて仕事に影響が出ても困りますからね。そう考えると、今出場してるマイナー地下格闘技イベントでよかったと思ってます」
大輔さんは格闘技の経験こそなかったものの、10代のころからネットで国内外の総合格闘技の試合をよく見ていたとか。それで就職後、趣味が高じて総合格闘技を教えてくれるジムに通い始めたそう。
息子の試合がきっかけで母親も格闘技好きに
「ジムにもタトゥーが入った連中は何人もいて最初は僕もビビってましたけど、一緒に練習するうちに慣れました。対戦相手も見た目がヤバそうな人ばかりですけど、試合終わってもいがみ合うようなことはないですし、普通に友達になった奴もいます。まあ、母が言うように“反社風”のビジュアルの奴らが多いけど、みんないい連中ですよ。昔はいろいろヤンチャしてたみたいですけど(笑)」
なお、紀子さんが観戦に訪れた試合では、息子の大介さんが鮮やかなKO勝利。試合終盤、相手にラッシュをかけるシーンでは「行けーっ!」と思わず声を張り上げていたそうです。
「息子が人様に殴られる姿なんて見たくないと思ってましたが、意外と平気でした。むしろ、夜に家に帰って来たときのほうが直視できなかったですね。顔じゅうがボコボコに腫れていたので。今までテレビでも格闘技の試合は見たことがなかったですけど、いい意味で興奮できるし、スカッとするなって。おかげで最近はテレビでも格闘技を観戦するようになりました」
格闘技にハマったのは、息子よりも母親だったのかもしれませんね。
―シリーズ「令和の親・令和の子」―
<取材・文/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
(エディタ(Editor):dutyadmin)
