フェミニンな印象なのにマスキュリンな中身。柔軟なのにブレない意志と言葉。ずっと変わらないのに、いつも新鮮。いくつもの相反した魅力をもつ美容界の奇跡の47歳はこれからどこへ向かうのか――
石井美保、美の思考回路
ヘア&メイクアップアーティスト 中野明海さんスペシャル対談

あえての意図のないメイクが、“らしさ”を美しく引き立てる
今回の撮影で石井さんの新鮮な美しさを引き出してくれたのは、名だたる俳優やアーティストが絶大な信頼を寄せるヘア&メイクアップアーティスト・中野明海さん。これまでの撮影ではセルフメイクを徹底していた石井さんが、中野さんのメイクから何を感じたのか。そして、ふたりがグラン読者に届けたいメッセージとは―――。
石井 中野さんがメイクをしてくださったら、いい意味で“私らしさ”を変えてくれる。そう確信していました。そして本当にそのとおりでした!
中野 石井さんの顔は石井さん自身が研究を重ね、創り上げてきたもの。それをあえて変える必要はないと思っていました。

トップス¥38,500(デザインワークス 銀座店〈デザインワークス〉)ピアス¥25,300(ドレスアンレーヴ〈1DKジュエリーワークス〉)
自分らしさはそのままにひとさじの新鮮味でメイクを楽しむ
石井 でもほんの少しだけ、石井さんらしさは変えずに新鮮さをプラスすると、メイクが楽しくなるよ、とおっしゃっていただいて、抵抗なく撮影に臨むことができました。“カッコいい石井さんを撮りたい”と聞いていたので、強い印象のメイクになるのかと想像していたのですが、むしろ逆。柔らかなピンクトーンに、アイラインは下げ気味で。カッコいい=キリッとしたメイクではないんだ、と新鮮でした。
中野 気合が入ったような強さはカッコいいとは違いますね。抜けたような、スッとしたイメージにもっていきたくて。それが大人の余裕感。
石井 ちゃんと“私らしい”のに、明らかにいつもとは違う。私の中にしまい込まれていたものが、自然に引き出されたような感覚です。特に新鮮なのはリップと眉。眉の作り方がとても丁寧で見入ってしまいました!
中野 イメージにある“いつもの石井さん”の綺麗なところにまずもって行き、そこに色なのかちょっとした太さなのか…と考えて。主張のない、ほんのり影になってくれる色でまぶたの陰影を作り、それとなじみの良い色を使って眉を描きました。メイクに目が行かないくらいの感じがちょうどいいんです。ご本人の中身と綺麗さを引き出したいので。
石井 中野さんがメイクをされた俳優やアーティストの方は皆さん、ご本人のマインドやフレッシュさが引き出されていて、しかも常に新鮮さを感じます。私はメイクをしていただいたのは今回が2度目ですが、前回とはまた違う自分になれた感覚があり、自然に表情も変わったように思います。自分でメイクをすると、新作のコスメを使って新しくしているはずなのに、いつもの自分になってしまう。それでもいいと思っていたのですが、37歳でも47歳でも“ドーリーな石井さん”で、このままおばあちゃんになるの?と思うことも。ドーリーを楽しみつつ、違う自分にもさらっと変化できるようになれたら、とも思うんです。
中野 自分の力で生きている方は、中身と知性が見えるようにメイクすることが大事。それが見えないと、メイクが立ってきてしまう。知的で美しく、少女性もあって、スッと風が抜けるような強さもある。軽やかで気持ちのいいオーラが出ているような印象を引き出すために、メイクはある意味どこにもポイントを置いていないんですよ。

整えて、ちょっと盛るくらいがちょうどいい
石井 作り込んで変えることは、きっと誰でもできるはず。内面や素材を消さずに、みずみずしくフレッシュに引き立てる中野さんのメイクはまさに唯一無二ですね。
中野 映えさせよう、綺麗に見せようとするとやりすぎてしまうから。楽しそうな心地の良い顔を目指した方が成功する。整えて、いいところをちょっと盛るくらいがいいんです。グラン世代は髪が弱ったり、まつ毛や眉毛も薄くなってきたり、いろいろとしょんぼりしてしまうけれど。でも今は優秀なコスメがたくさんありますから、それに頼れば簡単に顔をハッキリさせられます。やる気や上向き気分を取り戻すためにもメイクする楽しさを感じてほしいですね。
石井 そもそも自信はなくて当然。でも「私なんてもう歳だから…」なんて思うのはもったいない。そんな謙遜は捨ててみることが、もう一度メイクを楽しむきっかけになると思います。
『美的GRAND』2023夏号掲載
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/中野明海 スタイリスト/大沼こずえ 構成/松村有希子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
(エディタ(Editor):dutyadmin)