子どもを塾に通わせたいとなったら、まずはネットで近隣の塾の口コミを調べる人が多いはず。しかし、塾の口コミサイト「ジュクサガス」の運営代表・田口健吾さんは、「口コミでの点数評価やランキングは意味がない」と断言します。
点数評価やランキングはユーザーにとってもっともわかりやすい判断基準となるのに、“意味がない”とはどういうことでしょうか。その理由と、理想的な塾の選び方を教えてもらいました。
点数評価やランキングは参考にならない
「塾通いで子どもが伸びるか伸びないかは、『その塾が子どもに合うか合わないか』がすべて。『先生が自分に合うか合わないか』『塾の雰囲気が自分に合うか合わないか』で、子どもはモチベーションが大きく左右されますからね。そういった部分は、数字だけの点数評価やランキングからは到底見えてきません」
低評価をつけるのは、その塾が自分の子どもには合わなかった人。たとえ低評価の塾でも、もしかしたらあなたの子どもには合うかもしれないのです。
「どんなに低評価の塾でも、経営が続いているということは、その塾が気に入り通っている人がいるということ。その大前提を忘れず、簡単に選択肢から外さないでほしいですね。逆に、ランキングが1位の塾に通ったからといって、誰もが成績が伸びるわけではありません。サイトにもよりますが、ランキングはたいてい基準が不明確で、口コミに加えて運営側のバイアスがかかっていることがほとんど。すぐれた授業内容や充実したサポートを提供しいている保証はないんです。飲食店だったら、ネットの評価が自分には合わなくても『もう行かない』で済みますが、塾はそうはいきません。評価だけに惑わされず慎重に選びましょう」
注目は「高評価口コミの不満点」や「先生のブログ」
では、我が子に合う塾を選ぶためには、具体的にどうすればいいのでしょうか。
「実際に通っている人の声を参考にするのが一番ですが、身近にいなければやはり塾探しサイト等の口コミをチェックすることになりますよね。その際、低評価の口コミばかり見るのはダメ。何かを買うときに低評価のレビューばかりを見ていると購買意欲が薄れるように、その塾に通わせる意欲が無条件に失せてしまいます。大事なのは我が子に合う塾を見定めることなので、どんな人がどこに満足しているのかを塾ごとにしっかり判断してください。ネガティブなことも知りたいなら、高評価の口コミの中にある不満点を探してみて。『いい塾だけどここは譲れない』という不満は、よりリアルで参考になりますよ」
そして、さらにおすすめなのが、無料の学習相談などを利用して実際に先生と話してみることだそう。
「一番大切なのは結局、先生と話したときに『我が子を預けたい』『育ててもらいたい』と思えるかどうか。そのうえで、その先生がブログやツイッターなどをやっていれば、ぜひそれもチェックしてみてください。教育についての考え方や人となりが見えてきて、より我が子に合うかどうかが判断しやすくなると思います」
「費用だけを見る」のはNG
逆に、塾選びの際にやってはいけないこととして挙げられるのが、「費用だけを見る」こと。

「たとえば、月謝を比較して『安いから良心的』『高いから安心』などと判断するのは安直です。そもそも塾によってコマ数や授業時間が違うし、季節講習や特別講座などオプションでかかる費用も違うので、月謝をコマ数×時間で割って1分当たりの金額を算出したり、通わせる予定の期間にトータルでかかる費用を算出したりしなければ、費用の比較にはなりません。定額制で通い放題の塾の場合は、費用の安い高いよりも、モチベーションを維持する仕組みがあるかどうかを調べることが重要。通わなければ意味がないですからね」
塾の費用は親にとって大きな問題。“値段”だけを見るのではなく、それに見合った授業内容やサポート体制があるかどうかをしっかり見極めましょう。
塾のブランドや先生がプロかを気にするのは親だけ
また、ブランド志向で塾を選ぶのも失敗のもとになりやすい。
「有名塾や設備がキレイな塾、“実績ナンバー1”などと謳う塾に惹かれる気持ちはわかりますが、同じ系列の塾でもエリアや在籍する先生によって中身は全然変わってきます。どんな環境でどんな先生がいるのかをしっかり見て、我が子に合うか判断しないといけません。親の虚栄心を満たすために選ぶと、その大事な部分を見落としがちになります」
それからもうひとつ、“個別”か“集団”か、先生が“正社員”か“アルバイト”かなどで選ぶのも要注意だとか。
「よく『うちの子はおとなしいから個別が向いている』などと親が決めつけてしまうことがありますが、それは先生次第。クラスの雰囲気が落ち着いていて先生が丁寧にフォローしてくれるタイプなら集団でも合うかもしれないので、やはりちゃんと調べることが大事になります。同じく、先生が正社員かアルバイトか気にする親御さんも多いですが、我が子に合うかどうかが第一なので、肩書で判断してしまうのはもったいない。実際、年齢の近いアルバイトの先生の授業のほうが、楽しくてモチベーションが上がると感じる子どももいますからね」
通っている塾が合っているかどうかを見極める方法
すでに子どもを塾に通わせている場合は、子どもの成績がいまいち伸びていないと、「この塾、うちの子に合っていないのかも」と不安になるかもしれません。でも、それは早計だと田口さんは言います。

「塾はたいてい、長いスパンで成績を伸ばすためのカリキュラムを組んでいます。その途中段階で成績が伸び悩むのはよくあることなので、成績の伸びはあまり“合う合わない”の判断基準になりません。それよりも、『子どもが塾に行きたがらない』『嫌々通っているように見える』などのほうが問題。その塾が合っていない可能性が高く、通い続けても意味がないかもしれません」
そんなときは、まずは子どもからその理由をちゃんと聞くこと。
「先生がイヤ、友達がイヤ、他の習いごともありオーバーワーク気味……などの理由が見てくるはずなので、そのうえで塾の先生に正直に相談してみてください。親身になってくれる先生なら、クラスやコースを変えるといったさまざまな提案をしてくれるでしょう。親身になってくれず改善方法が見えなかったら、セカンドオピニオンのように別の塾の学習相談に行ってみるのも手ですよ」
塾は「やる気があるとき」に通わせ始めよう
ちなみに、子どもを塾に通わせ始めるタイミングは、「成績が伸びていてやる気があるとき」がベストだそう。
「塾は成績が伸び悩み勉強に苦手意識が芽生え始めてから検討するものだと思われがちですが、それでは塾通いのモチベーションをキープするのが難しくなります。塾に通わせる目的が“勉強の習慣をつけるため”なら、勉強に対してノッている時期を選ぶとスムーズに塾通いが定着します」
受験対策が目的の場合も、やはりできるだけ早い時期から通わせるのがベター。
「『今からでも間に合う』などと、受験学年の夏からの通塾を促す謳い文句をよく見かけますが、短期間で先生との信頼関係を築くのは難しく、その子に合ったカリキュラムを組んでじっくり伸ばしてもらうことができません。確実に志望校を狙いたいなら、せめて受験学年の春には通い始めたいところです」
【田口健吾さん】
学習塾口コミサイト「ジュクサガス」運営代表。「しがらみだらけの塾ランキングや口コミでの点数評価をなくしたい」という思いから、塾の規模に左右されない唯一無二の塾ポータルサイトとして、塾業界の活性化に貢献できるよう日々活動している。Twitterアカウントは@17work_kengot
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<取材・文/持丸千乃>
(エディタ(Editor):dutyadmin)

