こんにちは、毛髪診断士の元井里奈です。

　癖毛のダメージヘアに悩んでいた時期を経て、今では自分の髪が好きと思えるようになりました。ダメージや薄毛を防ぎ、美髪へと導くヘアケア方法を発信しています。

　今回は、産後抜け毛についてお伝えしたいと思います。


　私自身、35才と37才で2度の出産を経験しました。もともと、メノポーズカウンセラー（更年期カウンセラー）として女性ホルモンの知識もあったのでで、産後は髪が抜けるものだと知っていましたが、それでも大量に抜けていく様子はギョッとするものがありました。

　毎日掃除機をかけているのに、床のそこかしこに抜け毛が落ちていて、部屋の隅には抜け毛がたまるような状態。シャンプーの際は、まさにゴソッと抜けました。

　一人目のときには思いつかなかったのですが、2人目のときにはその抜け毛を記録しておこうと思い、妊娠中から産後まで、定期的にシャンプー時の抜け毛を写真で記録しておきました。


　産後の抜け毛は女性ホルモンの影響で、防ぎようのないものです。

　髪には女性ホルモンが密接に関係していますが、妊娠中は女性ホルモンが増えることで髪が抜けにくくなり、通常時より毛髪量が増えている状態になると考えられています。

　そして出産と同時に女性ホルモンの分泌は一気に減りますので、髪が抜けやすくなり、妊娠中に増えた分も抜けてしまうと考えられているので、大量に抜けた印象になるわけです。

　その後、女性ホルモンの分泌回復とともに抜け毛もおさまっていき、だいたい産後1年くらいで毛髪量は回復します。

　まさに私の抜け毛量を記録した写真もその通りで、妊娠中にいかに抜け毛が少ないか、そしてその分、産後5か月頃の抜け毛量がものすごいということをご理解いただけると思います。私の場合、産後9カ月くらいに抜け毛量は落ち着きました。

　ちなみに産後9カ月でも抜け毛が多く見えますが、人は通常1日50～100本くらいの髪が抜けていて、私は髪が長いのでこのくらいが普通です。

　女性ホルモンの他にも、産後は睡眠不足になったり、栄養が偏りがちだったり、ストレスがたまってしまったりと、抜け毛が増える要因のオンパレード。

　女性ホルモンの分泌が戻ってきても、他の要因もあるのでなかなか毛量が戻らないケースもあり、悩む方は少なくありません。


　ただでさえ、難問だらけの育児で、不安もMAX、疲れもMAXなのに、睡眠不足で思考もおぼつかない。

　そんな中で、鏡に映る自分が、産前にハツラツとしていた自分とは打って変わってボロボロに見えてしまったりして、涙が出てしまうこともあると思います。

　特に、産後すぐに職場への復帰を考えていたりすると、その時期が迫ってくるにつれて焦ってしまうこともありますよね。
　
　そのため、大変な生活の中でも、何かしらの対策を探す人が多いのですが、一般的に言われていることとしては、「できるだけ規則正しい生活を」とか、「できるだけ質の良い睡眠、栄養バランスの良い食事をこころがけて……」というような内容が多いと思います。

　確かにその通りなのですが、産後の壮絶な現場を知る身としては、「できるだけ」って言われても、「どう考えても無理」、ということもあるのではないかと思います。

　まずは、「産後に髪が抜けるのは当たり前。」と割り切って、心配することをやめ、おおらかにかまえることが一番の対策です。産後は誰でも髪が抜けるものであって、回復スピードは人それぞれですから。あまりにも長引く場合に関しては、また別の記事でお話しようと思います。


　次に、私自身もそうしていたのですが、洗髪の頻度を少なくする、というチョイスもあります。

　これはすべての方に当てはまるわけではないのですが、ほとんど自宅で過ごしていて頭があまり汚れなかったり、汗や皮脂の分泌量が多くなかったりするのであれば、体力温存や時間の節約を優先して、2日に1回の洗髪にしてしまうのもありだと思います。

　そんな時間があるなら寝たほうがよい、というケースもあると思うのです。その代わり、1回の洗髪のとき、しっかり洗えるといいですね。

　最後は、栄養面です。赤ちゃんを抱きながら、片手で自分のご飯を終わらせられるよう、パンやおにぎりを食べて「栄養素はほぼ炭水化物のみ」になってしまうこと、ありませんか？

　そういう時に備えて、バランスのよい食事とまでは無理でも、片手ですぐに食べられる、炭水化物以外の栄養が摂れるものを数種類常備しておくのもおすすめです。

　また、サプリメントは便利ですが、授乳期はデリケートな時期なので慎重に判断しましょう。授乳が終わってからは、良いものを見つけて頼るのも良いと思います。

＜文／毛髪診断士　元井里奈＞