毎週、放送終了後に様々な考察が飛び交うドラマ『unknown』(テレビ朝日系、火曜夜9時~)が6月13日で最終回を迎える。残り1話のみとなったが、まだ解決していない謎は少なくない。

高畑充希と田中圭がダブル主演を務めるドラマ『unknown(アンノウン)』※画像はリリースより
加賀美は吸血鬼と人間のハーフ、と断言したい理由
まず連続殺人鬼の加賀美圭介(町田啓太)の正体について。加賀美は吸血鬼と人間のハーフ、つまりは“ダンピール”と決めつけたい。曽我(石川禅)が海造(吉田鋼太郎)への取材中に十字架を突きつけたシーンで、海造は吸血鬼の弱点である十字架を見た瞬間に大声を上げる。その一方、そこにいた加賀美はも海造ほどのオーバーではなかったが、腕で額の汗をぬぐっている。
また、日光が苦手なために夜型でしか働けないこころ(高畑充希)同様、加賀美も同じ時間帯で働いており、吸血鬼が苦手なものがそこそこ苦手な様子。
そもそも、ダンピールは“吸血鬼を見分ける能力”を持っているため、世々塚(小手伸也)やまつり(ファーストサマーウイカ)をはじめ、効率的に吸血鬼を殺している理由も説明がつく。加えて、“不死とされている吸血鬼を殺す能力”も持ち合わせており、本作の吸血が不死なのかは不明ではあるが、吸血鬼を結果的に殺しまくっているので、「加賀美=ダンピール」と思い込みたい。
梅婆が全ての元凶か。加賀美の犯行を止めようと?
ダンピールという稀有な“人種”の加賀美の出生はどうなのか。加賀美は施設出身とは言っているが、母親に作ってもらったコロッケがキッカケでコロッケ好きになったと話している。死別なのか捨てられたのかなど理由はわからないが、生まれてすぐに施設に預けられたわけではないようだ。一つ言えることは加賀美の出生には梅婆(木野花)が大きく影響しているはず。
8話のラストに梅婆が伊織(麻生久美子)を襲って海造に捕まった後「全部、私がやりました」と口にしている。この発言は加賀美をかばい、これまでの事件の罪を全て被ろうとしている印象。
一方そのころ、加賀美はまつりを殺そうと迫るが、急に吐血して倒れてしまう。この少し前に“梅バーイーツ”と称して梅婆が加賀美とこころにコロッケを渡しており、そのコロッケに毒が盛られていたのではないか。梅婆が手渡したコロッケは袋が2つに分けられ、その袋には丁寧に名前が記されていた。加賀美がこころを殺そうとしていることを察し、加賀美の犯行を止めるためにコロッケを手渡した可能性が高い。
加賀美の価値観を形成した人物が梅婆?
梅婆はなぜ加賀美をかばおうとしたのか。それは加賀美が預けられた施設に梅婆がかつて勤めており、その時すでに2人は知り合っていたからではないだろうか。
加賀美は「(吸血鬼は)人間にとって害だから」「人間だって害虫殺すじゃん? いるだけで害があって目障りだから。それと同じだよ?」と口にしており、吸血鬼に対して強い嫌悪感を有していることがうかがえる。
この価値観を形成した人物が梅婆であり、その罪悪感から加賀美の罪を被ろうしているように思う。
未だ概要が明かされていない20年前の事件
加賀美の猟奇的な価値観を有するに至った経緯として、虎松の父親である一条彪牙(井浦新)が犯人として捕まった20年前の宗像一家殺害事件が背景にある。この事件は残り1話であるにもかかわらず、未だに概要が明かされていない。
かつて高校教師だった一条と同僚だった庭月源治(酒向芳)の話によれば、宗像家の息子が一条が顧問を務めるサッカー部で怪我をしてしまい、そのことに宗像家の親が激高。理不尽なクレームをつけ、しまいには「家族をめちゃくちゃにしてやる」と脅したことが引き金となり、一条は犯行に及んだらしい。
一応納得できる説明ではあるが、それでも腑に落ちない。この事件を追っている刑事の暁凛(MEGUMI)は虎松から加賀美という名前を聞いた際、何かしらの考えを巡らす表情を見せている。加賀美が宗像一家殺害事件に関与している雰囲気だ。
どれだけ考えてもわからない部分
加賀美は宗像家の父親が不倫した結果生まれた子どもであり、母親と2人で暮らさざるを得なかったため、自分を捨てた父親とその一家を殺した。ただ、虎松の犯行と思い込んだ一条が出頭して、加賀美は命拾いすることに。
とはいえ、人を殺してしまったことへの罪悪感を抱える加賀美に対して、当時施設に勤めていた梅婆は慰めるつもりで「吸血鬼は悪いやつだから殺しても良いんだよ」的なことを吹き込んだのではないか。その結果、自分自身を守るためにも「吸血鬼=悪」という強迫観念にも近い意識を、現在も抱えているのかもしれない。
ただ、その場合なぜ源治が一条の動機をでっち上げたのかがわからなくなるため、もうこれ以上はお手上げ。
トンデモ展開を願いたい気持ちもあるが
最終回は 世々塚やまつりは吸血鬼だったおかげで急に生き返り、虎松とこころの結婚式を改めて祝福する、というハッピーなトンデモ展開を願いたい。ただ、ここまで丁寧に様々な伏線を張り巡らされている本作で、そういったパワープレイは見られないだろう。
最終回がどのようにまとめられるのか期待したい。
<文/望月悠木>
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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