5月25日に『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、木曜よる10時~)の7話が放送され、ついに“サレ妻”の怒りが露わになろうか、という怖さと期待を同時に予感させる展開だった。
人生何周目? みちの後輩・華の達観ぶり
陽一(永山瑛太)から一度だけ他の女性と関係を持ったことを聞かされたみち(奈緒)は家を飛び出す。結局、誠(岩田剛典)も楓(田中みな実)を選んだため、行く当てもなく、ファミレス、カラオケを訪れる、という高校生の放課後のような過ごし方をする。
カラオケからはみちの会社の後輩の華(武田玲奈)も合流。そこでみちは陽一に浮気された怒り、セックスレスの不満を爆発させる。華が学生であればみちに共感し、陽一の悪口大会を開催し、フライドポテトが進みそうではある。しかし、華は「人生何周目?」と疑いたくなるほど達観した大人。
みちは「私ばっかり、いろいろチャレンジして惨敗して」「私はずっとレスで悩んでたのに……それ知ってて他の人とするなんて、最大の裏切りでしょ?」と口にする。ところが、恐らく「わかる~」というリアクションを想定していたであろうみちの予想に反し、何かを思い立ったように「やっぱ帰ります」と言って立ち上がる華。

続けて、「そりゃ浮気がバレた旦那さんは罪だけど、先輩ひとりだけが被害者なんですかね?」といって部屋を出る。みちは「他の人とするなんて、私は被害者じゃないの?」と納得いかない様子ではあったが、時間が経って陽一の気持ちに寄り添い、自分自身が陽一を追い詰めていたことに気付く。そして、自分は浮気された被害者であり、陽一を追い込んだ加害者でもあると考え、陽一とキチンと向き合おうと決意した。
楓からみちへ、地獄のような食事の誘い
陽一の浮気を「自分にも責任がある」として、前を向こうとするみちとは、楓は対照的。楓は誠の不倫に勘づいており、誠のスマホを勝手に触り、画像フォルダまで物色する。その相手がみちであることを知り、さらにはみちの勤務先に凸(突撃)。「私とランチしませんか?」「夫と浮気してますよね?」と地獄のような食事のお誘いをする。

陽一がみちに浮気した事実を伝えたことを結衣花(さとうほなみ)に話した際、結衣花は「女は痛みが消えるまで、黙って耐えるほど馬鹿じゃないから。今度はそれを不倫相手の女に突き刺すんですよ?」「覚えておいたほうがいいです。不倫は女を変えるって」と話していたが、楓は変わってしまい、みちに痛みを与えようとしているのかもしれない。
このシーンでは正直、「陽一に自分からキスして不倫のキッカケを作ったくせに何を言っているんだ!」とも思ったが、現在進行形で元不倫相手のパートナーと裁判沙汰になっている結衣花の言葉はとても重たく説得力があり、野暮なツッコミは消し去った。
もしも楓に、華のような友達がいたら?
なんにせよ、誠が浮気した原因は楓が仕事にかまけており、誠をぞんざいに扱ってきたことが大きい。誠にも当然落ち度はあるが、勝手にスマホを見て、自分自身の反省点を探そうとはせず、怒りの矛先を自分自身ではなく、みちだけに向けるのは身勝手ではないか。みちが陽一の気持ちに寄り添おうとする姿を見せていただけに、余計に自己中心的な性格が浮き彫りになり、楓に対するモヤモヤが募っていく。

それと同時に、「楓にも華のような友達がいれば、ある程度は冷静になれたのかもしれない」とも夢想したくなる。とはいえ、華のようなセリフを友達に言われても、恐らく聞き入れないタイプの人間であり、だからこそ楓は楓なのだろうと妙に納得する自分もいた。
誠にとっての楓は「ピースの欠けたパズル」
6話ラストでは楓と向き合うことを決意した誠ではあるが、やはりみちのことは忘れられない雰囲気。楓から身体を求められるも応じるのはキスのみ。念願だったセックスレス解消を目前にしての拒否であり、誠の心に楓はすでにいないのだろうと確信する瞬間だった。
7話では誠の母親の幸恵(大塚寧々)が幼少期にパズルを買ってもらったものの、最後の1ピースが無くなってしまい、大泣きして悔しがって3日間口をきいてくれず、仕方がないから同じパズルを買ってあげた、というエピソードを話していた。優しく穏やかに見えて、とてもこだわりが強く、言い換えると誠は一途な性格をしていることがわかる。
誠にとっては楓は1ピース欠けたジグソーパズルであり、みちは新しいジグソーパズルなのだろう。それゆえに、楓に誘われても乗り気にはなれなかったのではないか。“誠の心が離れている”のではなく、“もはや誠の心に楓がいない”状態であれば、楓は余計にみちに強く当たることになりそうだ。楓がどのように荒れ狂うのか早く見たい。
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第8話より(以下同じ)
<文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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