2023年も3分の1が過ぎました。年始に目標を立てたのに、ちっとも達成できていない……という人もいるのでは? そこで今回は、『決めるだけ。』(2022年、KADOKAWA刊)の著者であるライフコンサルタントの奥井まゆさん(36)に、「目標達成」について聞きました。(以下、奥井さんの寄稿)
30歳までは「目標を達成できない人」でした
私は30歳まで零細企業で営業ウーマンをしていました。年収は500万行けばいいほうで、お金がなくて副業でアルバイトをしていたこともあります。
そして、30歳でビジネスコンサルタントやメンタルコーチとして起業。1年目で年収1000万円を超え、4年目で年商が億を超え、出版社からの打診で書いた初著書『決めるだけ。』は約2万部……と、次々と目標達成できるようになったのです。
今年4月には、さらなる目標のために早稲田大学eスクールに入り、教育について勉強し直しています。
目標を立ててもなかなか達成できない――私自身も30歳まではそうでした。では、何が変わったのか?間違いなく、目標の「立て方」と「その後の行動」のコツを掴んだことだと思います。
この視点で、日本人にあった目標達成法について、心理学や脳科学の視点でポイントを書いていこうと思います。
①目標は高いほうがいいのか?
「目標は高いほうがいい」という言葉を聞いたことがあるでしょう。ですがこれは真実なのでしょうか?
実は「高い目標」というよりも、「今の延長線で叶いそうな目標から脱すること」が大事だと私は思っています。

例えば、今の年収が400万円だとして、出世すれば1000万円は見込めそうだから「目標は1000万円!」とすればいいのか? いっそ「年収3000万円」を目標にするのがいいのか?
私は、後者のほうがよいと考えています。1000万のように「頑張れば叶う」程度の目標より、3000万のように「遠すぎる目標」のほうが、“脳の使い方”が大きく変わるからです。
ただ大事なのは、目標を立てた後です。
「この目標のために今やるべきことをする」のではなく、「この目標が絶対に叶うという自信を得るために、何をすべきか?」という視点で物事に取り組むのです。
例えば、私は年商4000万円の翌年に年商1億円を超えましたが、この目標を立てた後「年商1億円を達成する自信を蓄えるために必要なことから時間を使う」という選択をしました。
普通なら売上を追うために時間を使うのでしょうが、これでは行動のスピードが下がってしまいます。自信がない、遠すぎる目標ほど、「新しい目標を達成するための自信を養う時間」を確保するのです。
私の場合は、既存のお客さまたちと会う時間を取って「自分のビジネスになぜ賛同してくれたのか」などをヒアリングしたり、周りの女性起業家たちに私自身のいいところを教えてもらったりしました。
一見遠回りに見えるこの時間の使い方は、目標を達成するまでの行動力にも直結します。高い目標を掲げている人ほど、「目標を達成できるという確信」を高めるための時間をまず確保することをお勧めします。
②目標は、口に出した方がいいのか?
コーチングの視点では「目標を口に出した方がいい」と言われますし、脳科学的な視点では「出さない方がいい」という説もありますが、結局どちらがいいのでしょうか。
正直どちらでもいい、と私は思います。
大切なのは「自分に集中できる状態が作れる方を選ぶ」ことです。
目標を口に出すと、どうしても日本人は「有言実行」にとらわれて、「達成しなかったらどうしよう。他の人の目が気になる」など、意識が他所を向いてしまう傾向があります。
有言実行を目指すことで、他人を気にする状態から脱して行動力が増す人もいますが、逆の人もいます。
ちなみに私は基本的には、目標は言わない派です。言うと、人の目を気にしてしまう弱いメンタルを持っているからです。目標を自分だけで追える人は、「口に出さない」という選択もあるでしょう。
③目標を文字や映像にするのは効果的か?
一時期「夢ノート」などの呼び方で、自分の目標を写真にして貼っておく方法が流行りました。私もやったことがありますし、今も効果を感じる場合があります。
また文字にしていつでも見えるところに貼り出す、などの手法も有名ですよね。
どちらがいいのか? という以前に、まず知ってもらいたいのが、どちらも効果が出ないケースがあるということです。
どちらも目標をイメージ化して脳に認知させるアプローチですが、脳を正しく動かすには認知能力の向上が必須です。そのためには、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)をフル活用できていることが大切です。
ですが現代の日本人は、この五感が鈍ってしまう暮らし方をしている人がほとんど。例えば、食事をしながらスマホを見ていませんか? 味覚より視覚を重視しているとも言えますが、どちらも中途半端な使い方になっていないでしょうか。
どうしても「ながら」で行動して、時間のコスパを上げようとしがちですが、この状態が続くと認知能力は下がっていきます。目の前の現象に対して鈍感になっていくのです。すると、前述のように目標を映像化しようと文字化しようと、効果は半減するでしょう。だって効果を最大化するための条件である能力が鈍化しているのですから。
そもそも行動力を上げるために認知能力の向上は重要だし、身体能力にも繋がる「五感の再活性化」をはかっていきたいものです。
目標達成の方法は人によって様々ですが、上記も参考にして自分だけの成功法則を作っていただければと思います。
<文/奥井まゆ>
1986年生、ライフコンサルタント。関東在住。16歳で複業をスタートし、就職後もイベント業・紹介業・ホステスなど複数ビジネスを経験。20代で借金や大失恋を体験し、コーチングを体系的に学び人生が一変。結婚や起業について、講座や個別コンサルティングを行っている。著書『決めるだけ。 「お金」も「恋」も勝手にうまくいく、人生を変えるレッスン』。公式ブログ【酒と男と女とお金〜経営者夫婦の人生の愉しみ方】
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