ママ友界にはときどき、何かと他人の情報を嗅ぎまわる“警察犬”のようなママが存在します。そんな“警察犬ママ”に遭遇したエピソードを紹介します。
渋谷ことみさん(仮名・45歳)は、子どもが赤ちゃん時代に知り合ったママ友グループと、ときどきランチをする仲でした。
地域の赤ちゃん教室で知り合ったので、ご近所ではあるのですが、幼稚園や小学校は違う地域になり、徐々に連絡は取らなくなっていましたが、LINEはつながっていました。
興味のない話になると帰るママ友
そんなママ友グループの中で、一人だけ変わったママ、Aさんがいました。
「いつも、Aさんは自分の知りたい情報だけ根ほり葉ほり聞いて、話題が自分の興味のない話に変わると、突然帰ったりするんです。『トイレかな?』と思って待っていると、すでに帰っていて『今日はありがとうね』とLINEが来てビックリする、なんてこともありました」
そんな不思議なママもいましたが、子どもが小さい頃は特に利害関係もなく、Aさんの思い付きでランチ会も召集されるので、彼女のおかげでたまに顔を合わせられるからいいね、と話していたほど。
ですが、その不思議なAさんは、だんだん子どもが成長し、小学校高学年になったあたりから、成績や塾について情報収集をするようになります。
デリカシーのない質問にイラッ

「うちの子は小学校高学年から、中学受験させようと塾に通い始めました。そのママ友グループには同じ小学校の子がおらず、ほかのママ友で受験しそうな人もいなかったので、特に誰にも話していませんでした。するとある日AさんからLINEが来て『〇〇くん(息子の名前)、受験するの?』と聞かれたのです」
あれこれズケズケと聞いてくるのは昔から。受験のように、踏み込んで聞くにはデリケートな話題もおかまいなしに聞いてきます。
「別に隠す話ではないので、『そのつもり』だと返信しました。するとAさんはどこの塾に通っているのかとか、どこを受けるつもりなのかとか、あれこれ聞いてきました。受験校はぼやかしましたが、気分はよくなかったですね」
グループLINEで受験結果を聞かれア然
月日は過ぎ、いよいよ受験シーズン。3月に入って久しぶりにまたAさんからママ友グループにLINEが来ます。

「久しぶりのLINEグループでいきなり『渋谷さん、受験結果どうだった? 進学先はどこ?』と聞かれました。無事中堅の志望校に受かってはいましたので教えると、早速学校名の偏差値表をチェックしたようです」
さらにAさんは何も言わなかったけれど、実は娘を中学受験させていたそう。
「ちょっと受けさせてみようかなという軽い気持ちで、ママが教えて受験させたそうです。結果、誰でも受かる私立中学1校に合格し、対策をしても合格が難しい公立一貫校を受験して不合格だったそう。結局、地元の公立中学に進学したそうですが、うちの子が通う中学の名前を聞いて『へぇ、まぁまぁね』と言われてムカっときました。あれこれ悩んで決めた受験なのに、ノリで受験した人と一緒にされたくないです」
Aさんの娘が不憫
その後、渋谷さんの子どもだけ私立の一貫校に入り、他のママ友の子どもは地元の中学へ。
Aさんは、部活なども何に入るか周りの友達にヒアリングしたそうです。もう中学生なら子どもが好きな部活に入ればよいと考えている他のママさんと違い、Aさんだけは今の習いごとは辞めさせたくないから、「いちばんユルい美術部に入りなさい」と言って入らせたそう。
「話を聞いていると、Aさんの娘さんは、すべてをママの思い通りにされて、お子さんが不憫になります。強烈なママを持つと大変ねって」
またドン引きLINEが来た!
またあっという間に時は過ぎ、そんなAさんたちもいよいよ高校受験。今回も直球ストレートで「みんなはどこを狙ってるの?」などとお構いなしに情報収集。

さんざん情報を集めて気が済むと、用済みとばかりに、さっと返信がなくなりました。しかし、その次は渋谷さんにとばっちりが。
「Aさんのお子さんが私立高校のオープン入試に受かり、その学校の情報を教えて、と突然連絡が来ました。そこは見学には行きましたが、うちの子の学校ではありません。わが家が中学受験をしたので、その高校の情報も知っていると思ったようですが…挨拶もなく『できるだけ早く返信ちょうだい』と書いてありました」
そのLINEが来たとき、渋谷さんは体調を崩し寝込んでいました。具合が悪いのにぶしつけなLINEが来て、さらに具合が悪くなったと言います。
感謝の気持ちゼロの返信にモヤッ
「体調は悪かったですが、急いでいるようだし、私もさくっとやり取りを終わらせたかったので早めに返信しました。『学校見学の時に高校のことも多少は聞いたけれど、それも数年前のことで変わっているかもしれないし、自分で学校に電話して聞いたほうがいいと思うよ。力になれずにごめんね』と丁寧に返信しました。すると、その後、ありがとうのひとこともなく、どうでもよさそうなスタンプで『ペコリ』と返信が。あまりの失礼さにア然としました」
さすがに怒り心頭となった渋谷さんは、今後は関わらないようにしようと心に誓いました。
まるで警察犬みたいなAさん
その後、2週間ほどして、公立高校の合格発表がありました。するとまたLINEグループにAさんからメッセージが。「みんな、合格した? どこに進学するの?」とデリケートな話題に直球で突撃。幸い、全員志望校に合格したようでよかったですが、さらに別の成績の良い子たちの受験先を聞きこみ捜査。

「とにかく成績のいい子の動向が知りたいようで、LINEグループの子たちがそれほど有名な進学校ではないので興味を削いだのか、塾で一番成績のいい子がどの高校に行ったのかを熱心に聞いていました。そして全部聞きたいことを聞いた後、最後に『実はうち、私立のオープン試験に受かったからそっちに行くの。100人受けて7人しか受からなかったのでビックリよ~』と自慢をぶち込んできました。デリケートな話題を嗅ぎまわるだけでも十分失礼なのに、自慢を乗せてくるって最悪ですよね」
あまりの厚顔無恥ぶりに呆れてしまった渋谷さん。LINEグループの面々も同じように感じているようで、「みんな、今度ランチしようね」という呼びかけを全員上手にはぐらかしていました。
他人のデリケートな話題を嗅ぎまわる「警察犬ママ」。あなたの周りにもいるかもしれないので、要注意です。
―シリーズ「SNSトラブル」―
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<文/塩辛いか乃>
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
(エディタ(Editor):dutyadmin)
