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小1息子が「学校行かない」宣言。“テンパる母”の心情を描いた作者を取材<漫画> | ビュ

時刻(time):2023-05-05 16:21源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
デザイナー・漫画家の今じんこさんは、長男の“もっちん”(10歳)と次男”ずんくん”(7歳)の2人の男の子のママ。 2023年4月15日に出版された初の著書『 学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで 』(はちみつコミックエッセイ)では、小学校に行かないことを選択するまでの1年生から3年生までが描かれています。 もっちん君は、保育園時代は

 デザイナー・漫画家の今じんこさんは、長男の“もっちん”(10歳)と次男”ずんくん”(7歳)の2人の男の子のママ。

 2023年4月15日に出版された初の著書『学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで』(はちみつコミックエッセイ)では、小学校に行かないことを選択するまでの1年生から3年生までが描かれています。

 もっちん君は、保育園時代は毎日楽しく通っていたといいます。小学校に通うことを楽しみにしていたもっちん君でしたが、小学校1年生の5月に「学校に行かない」と言うようになります。

 今じんこさんは子どもの気持ちに寄り添おうとしながらも「学校の先生に迷惑をかけている」という罪悪感や不安に苛まれるようになります。

 今回は、本書よりプロローグを紹介。後半では、当時の心境や、不登校の親のつらさについて今さんに聞きました。

※本記事は全4回のうちの1本目です

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学校に行かない生き方もあることを知ってほしい


――以前から子育ての日々をつづった漫画をインスタグラムなどで投稿していた今さんですが、「不登校」というテーマで漫画を描こうと思ったのはなぜだったのでしょうか?

今じんこさん(以下、今):不登校について周りの人に理解してもらえないことが多かったので、最初はそのことに対する悔しさや怒りをバネにして発信をしていました。不登校について世間から誤解されていることはすごく多く、それによって親も子も苦しむ負のループが生まれてしまっていると思います。

でも描いているうちに「本当は、ただみんなに知ってもらって手を繋ぎたかっただけだったんだ」と気がつきました。「不登校について知って理解してほしい」という気持ち以上に、「こういう生き方もあるんだよ」と知ってもらって「自分らしく生きよう」と思える方が増えるといいなと思うようになりました。

SNSやトークイベントなどで不登校について発信する活動をしていると、「不登校について知ることで視点が変わった」と言ってくれる方がたくさんいます。過去の私のように、ただ「知らないから誤解していた」だけなんだと思います。

――今さん自身は、不登校について以前はどんなイメージを持っていたのでしょうか?

:私も夫も、「学校は絶対に行かなきゃいけない」とは思っていなくて、もともと学校教育には違和感を抱いているタイプでした。でも、いざ自分の子どもに「学校に行かない」と言われると気持ちが揺れてしまいました。






保育園と小学校の大きなギャップ


保育園

※イメージです

――もっちん君は、保育園時代はどんな様子だったのでしょうか?

:保育園は楽しそうに通っていました。保育園では、子どものそのままの姿を肯定してもらえていました。外で遊ぶのが好きな子も、お部屋で本を読むのが好きな子も、みんな無理して誰かに合わせなくてよくて、好きなことをさせてもらえました。できなくてもやってみることに価値があるし、どうしてもやりたくないならその気持ちを尊重してもらえていました。

保育園のおかげで、もっちんの自己肯定感はすごく上がったと思います。小学校に通うことを楽しみにしていたのですが、失敗すると怒られたり、整列のとき間違えると「恥ずかしい」と叱責されたりと、大きなギャップを感じたようです。

――小学校に入学してからはどんな様子だったのでしょうか?

:4月は普通に通っていて、「友達ができた」とか「給食が美味しかった」と、毎日楽しそうにしていました。それが5月に入って急に「明日学校行かない」と言い出したんです。「行きたくない」ではなく、宣言でした(笑)。

1年生の4月は「慣らし」の意味合いが強くて、「学校に楽しく来れればOK」という雰囲気だったから通えていたのかもしれません。特に私に不満を述べることもありませんでした。それでも1ヶ月の間に、彼の中で小学校がどんな場所なのか、だいたいわかったので「行かない」と告げたのだと思います。

――もっちん君は、小学校のどういうところが「行きたくない」と思ったのでしょうか?

:「運動会の練習で怒られるのが嫌だ」と言ったことはありましたけど、それだけが原因ではないので、いろいろなことの積み重なりだと思います。叱られ方だったり、評価のされ方だったり、小学校に対するさまざまな違和感に対して慣れていく子もいます。子ども時代の私がそうでした。でも、もっちんは心の引っかかりを手放せなかったんだなと。私は、それはいいところだと思っています。

――小学校では自分が悪いことをしていなくてもクラス全体で怒られることがあったり、理不尽に感じる場面が多いかもしれないですね。

:「理不尽に耐えるのも勉強だ」と言う人もいますが、我慢して文句を言いながら大人になるよりも、「理不尽だから自分はこうしたい」と自分の意見を持てることはすごい力だと思います。不登校の子どもが増えたことが問題視されていますが、自分で考えられる子どもが増えてきたのはすごく良いことだと思います。













「不登校の過ごし方の正解」を示したくない


『学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで』(はちみつコミックエッセイ)

『学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで』(はちみつコミックエッセイ)

――親子で葛藤する日々を経て、もっちん君は小学校2年生から本格的に学校に行かなくなったということなのですが、現在はどう過ごしているのでしょうか?

:この本ではもっちんが小学校1年生から3年生までを描いているのですが、小学校に行かずに具体的にどう過ごしているのかは意図的に描いていません。それを描くことで「不登校になってからの生活の正解」のように映ってしまうことを避けたかったんです。例えば「フリースクールに行ければOK」ではないですし、「〇〇ができていたらOK」などの条件を付けずに、子どもたち一人ひとりをそのまま見つめられるような本にしたかったんです。

――本書では「不登校でもICTなどを活用した自宅学習で出席扱いになる」という仕組み(※)についても紹介されていましたが、学校に行かない子に対応するような仕組みができているんですね。

:「不登校ならこの制度を利用するべきだ」とはまったく思っていませんが、こういった制度があることは広めていきたいです。ICTの出席制度はうちも利用しているのですが、先日のもっちんの通信簿にもちゃんと出席日数にカウントされていました。こういった制度について学校の先生は知らないことが多いので、この本をきっかけに認知度が高まったらいいなと思います。

※文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」別記2(2019年10月25日)より

――不登校に対応する制度について、学校の先生が知らないことが多いというのに驚きました。

:不登校に関することは教育現場に浸透していないこともまだまだ多いので、学校以外に相談できる人や機関と繋がり、情報収集して、親子だけで孤立しないことが大事だと思います。

<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。




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