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「年中無休」で働く99歳女性、不便でも幸せな毎日が続く“シンプルな理由” | ビューティー

時刻(time):2023-04-30 07:56源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
都会から田舎へ移住し、第二の人生を紡ぐ。昨今、若い方の移住組も目立ちますが、『 過疎の山里にいる普通なのに普通じゃない すごい90代 』(すばる舎)の著者、池谷啓さんは1953年生まれ。都会暮らし40年に限界を感じて、田舎暮らしを実践しはじめます。 都会から田舎へ、人生の仕切りなおし 静岡県浜松市天竜区に位置する春野町は、人口が3500人ほどで東京23区の4割

 都会から田舎へ移住し、第二の人生を紡ぐ。昨今、若い方の移住組も目立ちますが、『過疎の山里にいる普通なのに普通じゃない すごい90代』(すばる舎)の著者、池谷啓さんは1953年生まれ。都会暮らし40年に限界を感じて、田舎暮らしを実践しはじめます。






都会から田舎へ、人生の仕切りなおし


 静岡県浜松市天竜区に位置する春野町は、人口が3500人ほどで東京23区の4割もの広さです。清流があり、森があり、空気は澄んでいて星空がきれいな土地。都会にない自然がある代わりに、都会では普通の便利さがありません。交通、医療施設、商業施設などの規模は別次元で、さらに過疎高齢化が著しく、ここ10年で人口減少率は3割近いといいます。

 そうなると80代、90代でも自立して生活しなくてはならないのですが、都会人の心配をよそに、春野町の高齢者はとにかくすごいのです。私達から見る「すごい」を当然のごとくやってしまう90代の方々を、ここで紹介していきますね。






集落で唯一の商店を開く99歳の女店主


尾上せき子さん(99歳)

尾上せき子さん(99歳)
(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)

「休みなんてものは年中ないんだよ。わはは」。小さな商店をきりもりする尾上せき子さんは99歳。食品、お惣菜、日常品、生活雑貨などを扱う商店で、仕入れから接客、販売すべてをこなします。経営歴は70年、今も現役なのですから、すごい90代に違いありません。

 自分の食事は自分で用意、週に一度は自分で洗濯をします。暗算が得意でお釣りを間違うこともなく、お客さんにオススメの商品をおしえていたりもします。畑を耕して、収穫した野菜を食べて、1日の終わりには10時間眠るそうです

集落で唯一のせき子さんのお店

集落で唯一のせき子さんのお店
(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)

 田舎には便利さがないのではなく、自分でできることがたくさんあるのです。私達と比較にならないほど体を動かし、働いて、いい空気を吸い、太陽の光をあびれば、ストレスが突き入る隙もないのでしょう。

今年で100歳になるんだ。100を超えても店は続けるよ」と尾上さん。生涯現役宣言をする、輝かしい笑顔です。













森の中の一軒家でひとり暮らしをする92歳


 森の中の一軒家でひとり暮らし。おとぎ話に登場するようなシチュエーションですが、実際にはイノシシや鹿が畑を荒らしていく。その中心人物の中田俊子さんは92歳。中田さんのやさしい人柄と手入れの行き届いた家は、「寄合の場」になっているそうです。

中田俊子さん(92歳)

中田俊子さん(92歳)
(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)

 私の実家もいわゆる田舎の一軒家でしたから、季節ごとに庭を整えるのは結構難儀だということを、身に染みてわかっています。しかも中田さんの住まいは森の中。急斜面にある畑の管理もしているとあっては、その苦労も並大抵ではないと察しがつきます。とはいえ中田さんの庭や家は整然としていて、人が自然と吸いよせられてしまうのでしょう。

 その理由は中田さんの人柄に加えて、ていねいな暮らしぶりにあるようです。食事は自炊、梅干しや柏餅、よもぎ餅なども手作りします。人をおもてなしするのも大好き。ついつい長居してしまうのもうなずけます。






14年間続けている趣味のちぎり絵


 中田さんは趣味も豊富。なかでも14年続けたちぎり絵の作品は見事で、人が習いに来ることもあるのだとか。

中田さんが作ったちぎり絵の作品

中田さんが作ったちぎり絵の作品
(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)

 独居老人という言葉もあるように、年齢を重ねてのひとり暮らしは、どこかさみしさがつきまといます。中田さんの日常には、日に一度顔を出してくれるご近所の方や、毎週誰かしら来てくれる子ども達の存在があり、日中の畑仕事があります。便利に頼らず、やれることは自分でやるという気概は、高齢になってからこそ役立つのかもしれません。













何事もさらりと、決して怒らない95歳


村上久子さん(95歳)

村上久子さん(95歳)
(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)

 色白の肌に品のあるお化粧、おしゃれな装いが素敵な村上久子さんは95歳。イライラしない。怒らない。ため息をつくこともない。くよくよしない。これが村上さんの人生哲学。毎日日記をつけるのが日課だと言います。日記を書くのは、煩わしいことを忘れるためだそうで、「嫌なこと、つらいこと、おもしろくないことがあっても、日記を書いて忘れることにしているの」。

 これは年齢とは無関係に見習いたいです。人生において、楽しいことやうれしいことを経験や思い出の優先順位にすべきなのに、私達はとかく嫌なことやつらいことを記憶に残しがちです。心にいつまでも暗雲を飼うように、うじうじしていたら時間がもったいないですよね。






50年間、1日も休まずに続けている「おつとめ」


マンダラの図柄に色を塗る村上さん

マンダラの図柄に色を塗る村上さん
(写真:内山文寿(内山写真デザイン事務所)、池谷啓)

 好奇心旺盛、わだかまりは持たず、週4日通うデイサービスでは塗り絵に歌、読書などに勤しみます。塗り絵はマンダラの図柄を中心にしたもので、その腕前も確かです。

 日記の他、村上さんにはご自身で決めた「おつとめ」があります。毎日毎夕、仏壇に向かって読経をすること。「特に何かを祈る、願うというわけではないのよ。おつとめですもの。おつとめというのは、休まないこと、サボらないこと」。50年間1日も休んだことはないという、この「おつとめ」。自分の中に規律を設けるというのは、言い換えれば自分を矜持(きょうじ)するということではないでしょうか。













一生現役、日々体と心を動かす


『過疎の山里にいる普通なのに普通じゃない すごい90代』
 本書を読んでいると、便利の対極にあるのは不便ではなく、自立ではないかと思えてきます。便利な生活は素晴らしいですし、否定をするつもりはありません。でも時には本書に登場する方々のように、何かを自分でやってみる、挑戦してみてそれを身に付けてしまうというのも大切ではないでしょうか。

 生きる術を磨けば、未来の自分の助けになるに違いないと思うのです。

<文/森美樹>
森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx




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