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50万円の「ロリータ包丁」だと!? 製作者は「この包丁を買う人は“変態”」 | ビューティーガ

時刻(time):2023-04-26 16:45源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
全国各地の名産品を見るのも、ふるさと納税の魅力の一つですよね。そんななか金物の町・兵庫県三木市で、ものすごいふるさと納税の返礼品を発見しました。 その名も「ロリータ包丁」。うさぎの持ち手が特徴の「Lappin」(ラピン)とゴスロリ調の「JULIETTE」(ジュリエット)の2種類が展開されています。 説明には「世界初のロリータ包丁として誕生」とありますが、

 全国各地の名産品を見るのも、ふるさと納税の魅力の一つですよね。そんななか金物の町・兵庫県三木市で、ものすごいふるさと納税の返礼品を発見しました。

 その名も「ロリータ包丁」。うさぎの持ち手が特徴の「Lappin」(ラピン)とゴスロリ調の「JULIETTE」(ジュリエット)の2種類が展開されています。

 説明には「世界初のロリータ包丁として誕生」とありますが、世界初でなかったら逆に驚きです。「なんか…いろいろすごい」この包丁。制作者で鍛冶職人、田中一之刃物製作所4代目の田中誠貴さんにお話を聞いてみました。






鍛冶職人が作った包丁を手に取るきっかけを


――なぜ、突然ロリータ包丁を作られたのでしょうか。

鍛冶職人が作った包丁を手に取るきっかけを

(左)ゴスロリ調の「JULIETTE」、(右)ロリータ調の「Lappin」

田中誠貴さん(以下、田中)「鍛治職人として、作った包丁を東京や海外の展示会にもっていくことがあるんです。世界一の包丁と評価をいただいくこともあるのですが、どんなに良い包丁をもっていっても包丁に興味がない人からすれば、ただの包丁なんですよね。大量生産の包丁ではなく、鍛冶職人が作った包丁に興味をもってもらうきっかけとしてロリータ包丁を作りました

――興味をもってもらうために作ったところから、いきなりロリータが出てくるのがすごいです。

田中「包丁って、無駄なものとことん省いて必要な機能だけ残して今の形になっているんです。なので、あえて無駄なものを全力でつけてみました。知り合いにデザイナーの方がいたので、こういうものを作りたいと僕の思いを相談したらデータにまとめて、デザインにしてくれたんです」






知り合いのデザイナーに頼んだら、ゴスロリだった


――田中さんが最初からゴスロリを意識されていたんですか?

田中一之刃物製作所4代目の田中誠貴さん

田中一之刃物製作所4代目 田中誠貴さん

田中「していません。最初は『ここにハートとか蝶を入れるのはどうだろう』と伝えていたのですが、あがってきたデザインを見たら『完全にゴスロリ』だったんです。でもデザインは素晴らしいし、こんな包丁は世の中にないから思いきりロリータ路線で仕上げたいと思い、ロリータ包丁をコンセプトにロリータ調とゴスロリ調の2つのデザインを作ってもらいました。デザインにも仕上がりにもとても満足しています」

――たしかに振り切ったデザインですね。

田中「普通の包丁に装飾がついているものは世の中にたくさんありますが、鍛冶職人が作った包丁にデザインがついた物はないと思います。こんなデザインを鍛冶職人が本気で1本1本手で作っているという本気度も味わってもらえたらと思います。どうせやるならとことんやりたいという僕の思いがつまっています」

「Lappin」(ラピン)

「Lappin」(ラピン)

――海外でも話題になりそうですね。

田中「国によりますね。海外で販売会をしたときに、ドイツでは『切れればよくない? この飾りいらなくない?』という感じで興味を持ってもらえませんでしたが、フランスでの食いつきはとてもよかったです。フランスでは『こんな包丁みたことない!』『芸術的』と、とても喜ばれました」













この包丁を買う人は、いい意味で「変態」


――三木市のふるさと納税でロリータ包丁はお値段50万円とかなり高額ですが、ロリータ包丁を購入された方はどれくらいいるのでしょうか。

「JULIETTE」(ジュリエット)

「JULIETTE」(ジュリエット)

田中「ロリータ調の『Lappin』(ラピン)とゴスロリ調の『JULIETTE』(ジュリエット)でそれぞれ10本以上売れたと聞いています。『Lappin』(ラピン)のデザインの方がキッチンになじむからなのか、『JULIETTE』(ジュリエット)より売れています」

――キッチンとのなじみ方は微々たる差のような……。

田中この包丁を買ってくださるお客様は、褒め言葉としての『変態』だと思うんです。切れ味は抜群ですが、無駄な装飾だらけで持ちにくいですし値段も高いですからね。完全にお金がかかる趣味の世界です。もともと売れなくても、こんなおもしろい包丁を本気で作っているのはどこの誰だろう? と僕が作る包丁を知るきっかけになればと思っていたので、買っていただいてありがたいですし、もっと多くの方に田中一之刃物製作所の包丁に興味をもってもらえればと思います」






1〜2万円出せば良い包丁が買える


――包丁っていろんな値段のいろんな種類がありすぎるので、何をどう選べばいいのか難しいです。

田中「こればかりは、実際に手にとって感覚や切れ味を確かめてくださいとしか言えないです。ただホームセンターなどで売っている3,000円の包丁と10,000円の包丁では切れ味が異なります。ブランド名で価格をつけているものもあるので一概には言えないですが、高い包丁にはそれなりの素材・技術がついています。家庭用のものであれば1〜2万円の価格帯の包丁を選べば、良いものが買えるかなと思います

――価格も判断材料の一つなんですね。

田中「包丁選びに関しては、高くても安心できる製作所やお店を探すことが大事です。うちの包丁で試し切りをされた方は、みなさん『切れるという感覚が全くの別物だ!』と驚かれます。良い包丁ってただ切れるだけじゃなくて、ものすごく気持ちよく切れるんです。この『衝撃の切れる体験』を味わったお客様は、100%うちで包丁を購入してくださりリピートしてくださいます」














一回使ったら二度と戻れない切れ味


――衝撃の切れる体験、気になります。

田中「ものすごくよく切れるという強烈な記憶は忘れられないみたいで、リピーターの方は『切れる包丁を一回使ってしまうと、以前の包丁には二度と戻れない』とおっしゃります。切れる包丁はとにかく気持ちよくて、『もっと切れる包丁があるんじゃないか』と、よりよい包丁探しが始まるみたいです。ただ、やっぱりどんなに良い包丁でも実際に手にとってもらわないとその良さが伝わらないのが、包丁の難しいところなんですよね」

――手に取るきっかけ作りのためのロリータ包丁だったんですね。

田中「鍛冶職人が1つ1つ作りあげる本物の包丁のすごさをぜひ味わってほしいと思います。二度と以前の包丁に戻れなくなるはずです。包丁に関しては、あと三日は話し続けられるので、いつでも続きの話を聞きに来てください」

 日本でも有数な鍛冶職人の一人である田中誠貴さん。田中さんの作る包丁は誠貴作というブランドで海外でも手に入らない程の人気です。ロリータ包丁を機に、田中一之刃物製作所が作る包丁を手に取ってみてはいかがでしょうか。

一回使ったら二度と戻れない切れ味

「よいこのロリィタほうちょう らぴん」(28,600円/税込)

 ロリータ包丁は「よいこのロリィタ包丁」という名前で第二弾も発売していました。お値段もお手頃でデザインがかわいいです!

みきかじや村
田中さんをはじめとする、兵庫県三木市の鍛冶職人さんが作った刃物が購入できるオンラインショップ。

<取材・文/瀧戸詠未>
大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB



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