結婚して、ふたりの子供に恵まれて、贅沢はできないけれど愛にあふれた日々。それが夫の病によって崩れ去る。妻の私しか治してあげられない。一途な思いが、やがて妻の心を蝕んでいく。『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』(KADOKAWA)は、夫婦、家族、そして自分の幸せは何なのかを説いた、著者である彩原ゆずさんの実話コミックエッセイです。
職場のストレスで、ある時からふさぎ込むようになった夫。かと思いきや、物に当たって怒ったり、風俗通いが発覚したり…。そんな本書から5話分を出張掲載します!
職場のストレスで、ある時からふさぎ込むようになった夫。かと思いきや、物に当たって怒ったり、風俗通いが発覚したり…。そんな本書から5話分を出張掲載します!
夫を治したくて、自分が壊れていく
「こんな人じゃなかった」。病によって夫の言動が変化し、はては暴力までふるうようになった時、妻の彩原ゆずさんは何度もそう思いました。心に浮かぶのは、かつてやさしかった夫の姿。最初は献身的に尽くすゆずさんですが、次第に夫の病状はエスカレート。買物依存、風俗通い。クレジットカードの明細書や風俗店のポイントカードを目にするたび、ゆずさん自身も壊れていきました。
子供がいるからと耐えていても、ふいに涙は流れ、自傷行為にまで及んでしまうのです。このあたりは読んでいて胸が詰まります。ゆずさんは生真面目で愛情深く、責任感の強い女性なのでしょう。夫の病を治したいと切望すればするほど、ふがいない自分にも怒りがわいてくるのかもしれません。
ご自身のメンタルに不安を覚えたゆずさんは、保健所を訪ねます。カウンセラーや義母や母、かつての同級生とふれあううちに、自分の幸せについて考えるようになるのです。
マンションのベランダからダイブしそうに、踏みとどまれたのは…

夫も「死にたい」と思いつめ、やがてゆずさんも「死にたい」とマンションのベランダからダイブしそうになります。あと一歩で踏みとどまれたのは、子供の存在や、それでも一緒にいたい夫の存在があったから。そしてきっと、ゆずさんの魂が「まだ死ねない!幸せになりたい」と叫んだからではないでしょうか。
巻末にあるのは、「自分犠牲にして、一人で抱え込まないでーー!」のメッセージ。自分の幸せもあきらめなかったゆずさんが、やがて見つけた解決策は、あなた自身が確かめてください。きっと勇気が湧いてくるはずです。
<文/森美樹>
森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
(エディタ(Editor):dutyadmin)



















