【AV男優・森林原人の性活相談 第203回】
経験人数 9,000 人、出演本数 10,000 本以上、下は 18 歳から上は 69 歳まで、性別の垣根を越えてさまざまなエッチを経験する AV 男優・森林原人が、女性の性に関するお悩みに答えます。電子書籍『セックスお悩み相談室 #1 私イケないんです編』も発売中です。
男性は自分の精液を飲んでほしいもの?
相談者:匿名希望・既婚
口でしたとき男性は精液を女性に飲でほしいと思うものなのですか? 今までの経験上「出していいよ」と言ってくれる人がほとんどで、苦くて不味いから私に気を遣って言ってくれてるのだと思ってましたが、ティッシュに出しながら“ホントは全部飲みこんでほしかったのかな”となんだか申し訳ない気分になるのです。男性側の心理と本音が知りたいです。よろしくお願いします。
(youtube いつも見ています! 高校生の息子にも見て勉強してほしい!! でも、母親からオススメってちょっと言いにくい…(汗)。これからも楽しみにしてます。)
森林の回答
男性にとって、精液がどのような意味を持つのか?
❶自分の分身
❷快感絶頂の成果物
❸排泄物
❹男性性の象徴
❺性行為の証
この5つが一般的なもので、その他に性癖として興奮を喚起する場合もあります。これらの違いは、まずその精液が自分のものか、他人のものかによって変わってきます。
それから、自分から離れた体液に対してどれぐらい親近感や愛着を持つのか、逆に嫌悪感や汚物感を抱くのかによります。そして、それが置かれる場所も大いに影響してきます。
例えば、他人のものが自分の顔に付いたら最悪です(撮影現場以外ではなかなか考えられないケースですが…)。このケースは、〈❸排泄物〉の意味なので、自分のテリトリーを汚されたと感じるわけです。自分のものでも、ティッシュで拭き取り丸めてゴミ箱に捨てられたものだと❸になります。
一方、自分のものを大好きなAV女優の顔にかけたいと思う男性は多くいて、だから顔射が多くのAV作品で求められます。この場合、〈❷快感絶頂の成果物〉や〈❺性行為の証〉の意味になります。もちろん、〈❶自分の分身〉や〈❹男性性の象徴〉の意味あいもありますが、これらは顔射より中出しの時に当てはまります。
体内射精が持つ意味
今回の相談は口腔内での射精なので、相手の体内で出すということがどういう意味をもつのかも考えていきます。
1. 支配欲、マーキング
2. 快楽の共有
3. 汚す
1. 支配欲、マーキング
まず1。動物が自分の遺伝子を相手の体に放つ様子をイメージするとわかりやすいのですが、〈精液=自分の分身〉であり、〈体内射精=支配の象徴〉になります。自分の分身である精子を相手の体内に残すということは最高のマーキングであり、自分の血を引く子供を作り、個体として拡大するという意味もあります。

人間の場合、愛情から生まれるものであり支配ではなく一体化願望という捉え方もできなくは無いです。しかし、生殖につながる膣内ではなく、口腔内への射精においてそこまでの思いがこもっている男性は少ないです。
男性が相手に射精するのは瞬間的ですが、射精された女性は自分の体に変化が起こるかもしれないという可能性をリアルに感じ、事後の時間が発生します。口腔内では妊娠の可能性はありませんが、性感染症のリスクはあります。そもそも、味として美味しいものではありません。だけど男性はこういったことをリアルには想像できません。
さらに、口腔内での射精は、生殖から切り離されているという点で不完全です。そこにあるのは自己完結的な男性の快楽です。女性の快感は物理的には存在しません(精神的には相手をイカせたという達成感はありえます。また、女性によっては精液が好きな人がいるので、その場合は性的興奮があります)。一体化したいというよりは、もっと自分勝手なもので、お手軽に気持ちよくなりたいといったところでしょう。
これが、飲み込んで欲しいとなった場合は、マーキング・支配する・相手に自分を受け入れさせる、といった意味あいが強くなってきますか。もちろん思いの強さは人によって濃淡があります。
2. 快楽の共有
2の快楽の共有というのは、精液の持つ意味の〈❷快感絶頂の成果物〉に連動するものです。出た分量に比例して気持ちいいんじゃないか、という捉え方をAV的なファンタジーだと考える人もいます。実際は、精液が尿道を通っているときの射精感によって快楽が得られるので、尿道を通る時間が長ければ長いほど気持ちいい時間は長くなるので、射精時間の長さと気持ちよさは比例します。よって、〈量=時間=快感度〉というのは一理あります。ただ、他の男性の射精感を感じることは出来ませんので、各々が感じている快感が唯一であり最高です。

自分にとって最高の快楽の象徴であるものを受け渡すことで、快感を共有したと感じることができます。受け取る側の女性が「いっぱい出してー」と求めたり、「いっぱい出してくれてありがとう」と喜ぶ言葉には快感の共有がみてとれます。これは受け手である女性側の気持ち次第なところなので、今回の相談者の方にはピンとこないものでしょう。相談文を読む限りでは、男性の快感に共感している気配はありません。おそらくは奉仕やサービス精神からの行為ではないでしょうか。
3. 汚す
3の汚すは、〈❸排泄物〉と〈❹男性性の象徴〉〈❺性行為の証〉が混ざっています。AVにおいて多くのニーズがある顔射というプレイを、自分の彼女や妻にする人は少数派です。自分の所有物である、もしくは大切な存在である人なので汚したくないのです。そもそも対等な関係性だと断られる可能性が高いから望みません。一方で、AV女優や風俗嬢、セフレは、性的な側面の人格しか認めない傾向にあるので、汚すというエゴイスティックなプレイができます。

これは別の側面から見ると、妻のパンチラには興奮しないけど、それ以外の女性のには「おおっ!」となるといったように、性的に所有していると思う人の性的価値は下がります。よって、興奮に繋がりにくいです。この理屈からいくと、汚したい対象は、自分のものではなく、かつ、性的に価値ある存在となります。性的価値は人それぞれなのですが、一般的には、若い、性的未熟、可愛いといった条件が当てはめられます。
では、汚す度合いが強まるのはどういった射精かというと、膣内や顔へのもので、口腔内はそこまで汚すといった意味合いは持ちません。もちろんこれは、セックスする関係性であることが大前提で、そうでない場合は、手でも、服でも、かけることで汚すという意味あいを帯びてきます。
このように、体内射精にはマーキング、快楽の共有、汚す、という3つの意味があるのですが、精液を女性に飲んでほしいと思うかどうかは、男性がこの3つの意味をどのように学習してきたかということに左右されてきます。学習というより刷込みといった方がいいかもしれません。
言うまでもありませんが、精液を飲ませること自体に肉体的快感はないです。体に触れられるわけではないし、自分の体に何か変化が起こるわけでもない。ただ、そこに意味を見出すと快感、興奮が出てくる可能性があるわけです。AVの話で言えばゴックンというプレイになりますが、精液を喜んで飲んでくれているのか、嫌がって飲んでいるのか、無理やり命令して飲ませるのか、でも意味合いが変わってきますよね。
男性は射精した瞬間、興奮と快感が下がる
ここで、男性の体の反応、心の移り変わりについて説明します。男性の体において、勃起をする神経(スイッチ)と射精をする神経(スイッチ)というのは違うものなんです。勃起すればそのまま自然に射精へと至るわけではなく、勃起するときには副交感神経が優位で、射精の時には交感神経が優位にならなければいけない。つまり、勃起するときはリラックスしていなければいけなくて、射精の時は緊張集中状態でなければいけないんです。

ということは、頭だけすごく興奮して、体はリラックスしていないと勃起できない。さらに、頭の興奮だけで射精するというのはよっぽどの場合じゃないかぎりありえない。体への刺激が足されることで、射精に至ります。そして男性は射精した瞬間、頭の中の興奮と体の快感が瞬間的に下がっていきます。
相談者さんの質問に戻りますと、「精液を飲んでほしい」という思いは、男性が興奮してから射精するまでの間は頭で思い続けていても、射精した瞬間に興奮が落ち着いていくので、徐々に「まあ、いいか」となっていくんです。射精後にもその思いを持ち続けている場合は、肉体的には射精していても脳内的には射精しておらず、飲ませる所までで完了します。こういった性癖の変態は間違っても「出していいよ」とは言いません。
一般的に、射精後の性的会話は、言葉通りにとってもらって大丈夫です。さらに言えば、射精前の言葉も本音であることが多いですが、射精後に180度変わってもどっちも本音です。
飲ませることにこだわる男性は認知が歪んでいる

AVの場合は私的な一対一のセックスと違って、AVを見ている男性は男優の射精、自分の好きなシーン、もしくは女優のゴックンの瞬間に合わせて射精するので、時間差の射精が行われることが多々あります。実際のセックスではそんな時間差はありえないので、精子を飲んだ女の人がウェッて吐いてしまった場合、「いいよ、出しな、出しな」ってなるわけです。そこで「絶対に飲め」という男性がいるとしたら、かなり認知が歪んでいると言えます。性的な意味あいの学習が間違ってしまったのです。これが極端な場合は犯罪者になってしまう恐れもあります。
実際の事件の話ですが、痴漢もののAVに影響を受けて、電車の中で女子高生の制服に精液をかけて何度も逮捕された男がいます。医師の治療を受けても抑えきれなくて、最後に捕まったときは、性器を出す行為は抑えられていたんですが、「かけたい」という欲望だけは抑えられず女子高生のスカートにマヨネーズをかけて、痴漢の罪ではなく器物破損の罪で捕まっています。
犯罪行為と、パートナー間でのやりとりにはもちろん大きな一線はありますが、精液を飲ます、かけるという行為に過剰に意味を見出すというのは、やはり共通して認知が歪んでいるのではないかと思います。自戒の意味も込めて、AVの影響は大いにあるでしょう。
まずは自分の気持ちを確認してから
ここでもう一度相談者さんの質問に戻りたいのですが、この方、母親であって高校生の息子がいると書いてありますね。僕が疑問に思ったのは、セックスの相手は夫さんですか? ということです(笑)。もしかして不倫相手やセフレとのセックスでの悩みだとしたら、それは生殖から切り離されたものとなってきます。
もし、パートナーとのやりとりで、プレイ的に精液を飲むかどうかであれば、まずは自分の気持を確認してみてください。やってみたい、やりたい、そういったことだけして、そうでなければ断ればいいだけです。やりたくないことはやらない、やらせない。身体的に可能な行為かどうか、そして自分の感情や欲望が望んでいることか…。この2つが重なるとセックスが楽しくなる。相手の言うことのいいなりになって精液を飲むのではなく、あなたが飲みたいと思ったら楽しいセックスになるので、主体性を大切にしてほしいなと思います。
<森林原人 取材/満知缶子>
森林原人
1979年生まれ。1999年にAV男優デビュー。出演本数1万本。経験人数9千人。セックスの虜になり道を踏み外したと思われているが、本人は生きる道を見つけられたとむしろ感謝している。著書に『イケるSEX』(扶桑社)、『セックスお悩み相談室』(扶桑社)他。性と向き合い、性を知り、性を楽しむためのサイト「リビドーリブ」とYouTubeチャンネル「森林原人YouTube」を運営。★Twitter(@AVmoribayashi)/★Instagram(@genjin_moribayashi)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
