健康志向ブームは今に始まったことではありませんが、時代と共に選択肢は増えてきているように感じます。今では衣・食・住、様々なシーンでのこだわりがSNSなどで散見されます。今回は、そんな健康志向の強い“意識高い系女子”にまつわるエピソードです。
SNS映えのためにオーガニック食品を契約
「職場の同僚がキラキラした子ばかりだったので、私も負けないように頑張らなきゃって思ってました」
そう語るのは、精密部品メーカーで総務の仕事をしている香澄さん(仮名・27歳)。香澄さんは九州の大分県出身で、東京の会社に就職したのを機に一人暮らしを始めます。料理はそれなりに母親から教わっていて苦労はしなかったらしいのですが、最近はそのレパートリーに限界を感じていたそうです。
「母から教わったのは、煮物や焼き魚などごく普通の日本料理でした。でも、SNSで流れてくるおしゃれな料理はブリの煮付けよりはるかに映えていて、ほんと憧れだったんです」
料理上達の希望を込めて、香澄さんは日々の料理をSNSに投稿し始めました。いいねがつく度に嬉しくなり、動画などを参考に料理の幅を広げていきます。そんな時インスタグラムのPRで気になったオーガニック食品のサブスクリプションに出会います。早速契約した香澄さんは届いた食品を使って料理を投稿するようになると、いいね数は倍増しますます意欲を燃やしたそうです。
彼に自慢の食材で作った料理を披露
香澄さんはつきあっている彼に食材へのこだわりや料理のできる自分をアピールしたくて、何度も家で料理を振る舞ったそうです。その日も夕方前に香澄さんの自宅に招かれた彼は、インターホン越しにいつもの笑顔を見せました。その日、ちょうどオーガニックの野菜が宅配ボックスに届いていたことを思い出した香澄さんは、ピックアップを彼に依頼します。
「5分程待っても彼が上がってこなかったのでLINEを入れたんです。そうしたら、彼は途中で仕事の電話が入って話し込んでいたらしく、それからしばらくしてダンボール箱を抱えながら上がってきてくれました」
彼が運んできたダンボールには、色とりどりの野菜や食材が詰め込まれており、香澄さんは目を輝かせます。
「やっぱりオーガニックじゃないとダメね。スーパーのに比べて生き生きしてるし!」
差し替えられていた食材
香澄さんがその日作ったのは、サラダと有機ジャガイモを使ったポトフ。色鮮やかな食器と食材で食卓を囲み、二人は楽しいひと時を美味しい食材で満喫しました。ところが、料理が減っていくにつれ、彼の表情はニヤニヤし、何やら落ち着かない様子の彼に不思議そうな顔をする香澄さん。
「この食材さ…実は俺が隣のスーパーで同じものを買って入れ替えたんだ」
彼は最後のジャガイモを口に入れながらあっさりとそう打ち明けました。なんと宅配ボックスから香澄さんの自宅に運ばれた段ボール箱の中身は入れ替わっていたのです。
「最初は何が起こっているのかわかりませんでした。でも、時間が経つにつれ、自分が料理した食材はオーガニックではなく、スーパーで買った野菜達だということが分かったんです」
しばらくその場で呆気に取られていた香澄さん。
気づかせてくれた彼に感謝
「彼はその後、すごく言葉を選びつつ『香澄の料理は好きだけど、映えなんかに左右されない香澄の料理が一番好き』と言ってくれたんです」

自分に酔っていたことに気づいた香澄さん。その日のうちにサブスクリプションを解約したそうです。実は金額も割高に感じていたこともあり、浮いたお金で今後は調理器具を充実させたいそう。
「彼だってあんなことをするのは勇気がいったはずです。でもそのおかげで本当に大切なものが見えたような気がします。もちろんオーガニックは良いのかもしれないけど、それよりもっと大切なのは料理に対する愛情ですよね」
―シリーズ「捨てて/やめてよかった!人・モノ・習慣」―
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<文/大杉沙樹>
大杉沙樹
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。
(エディタ(Editor):dutyadmin)


