厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」によると、男性雇用者世帯のうち、共働き世帯(パート含む)の割合は66.2%。家事負担の割合は、妻がフルタイムで働いている場合、およそ6:4で妻が、パートの場合は8:2で妻が担っていると言われている。
割合だけではなく、仕事に育児に家事にとがんばり続ける妻への配慮がどこまであるのか、それが夫に問われることかもしれない。
「週休3日でいいな」と言われて
30歳で2歳年上の男性と結婚、7歳と5歳のふたりの女の子がいるサトコさん(39歳)。長女を出産したとき、それまで勤めていた会社を辞めたが、次女を出産して1年後にパートで働き始めた。
「夫はまだ働かなくてもいいんじゃないのと言ったけど、実際、夫の給料だけでは生活が苦しかった。家計簿を見せて説明すると、夫は『収入が低くて悪かったな』って。
責めたわけではないと言いました。現実を見て対処していこうよと前向きに言ったのですが、夫にはうまく伝わらなかったみたい」
結婚して初めて感じた“溝(みぞ)”だった。それもあって、パートに出るから、今まで以上に家事育児に協力してよねと言いたかったのだが、言えなかったとサトコさんは言う。
「1日5時間、週に4日ほど働いています。長女は今年から小学校、次女は保育園。朝、夫と長女を送り出して、保育園に次女を連れていき、パートで働いて帰ってきて子どものめんどうを見ながら夕食の支度をして家事やって……とフル稼働ですね。
それなのに夫は『きみは週休3日でいいなあ』と言ったことがある。私、それを聞いて思わず涙がこぼれました」
週末もゴロゴロする夫と、動きっぱなしの妻
自分の時間などまったくとれない日常を必死に送っていたサトコさん、夫はそこに思いを馳せることはなかったようだ。
「ほんの冗談だよ、泣くほどのことじゃないでしょと夫は戸惑(とまど)っていました。基本的に悪い人じゃないんだけど、夫は私の日常を見ていない。だからそんな思いやりに欠けることを言ってしまうんでしょうね。
週末だって、私は作り置きの料理を作ったり、ふだんしそこなっている細かなところの掃除を念入りにしたりと、次の週のことを考えながら動いているのに、夫は気が向いたら子どもと遊び、あとはゴロゴロ。せいぜいお風呂掃除をしてくれるくらいです」
食材は週に2回、まとめて買うようにしている。洗濯は乾燥までしていたが、このところの電気料金アップで、やはりベランダに干すことにした。本当は食洗機もほしいが、効率を求めるとお金がかかる。だが夫には言いづらい。
夫の軽口が小さな傷に…
さらに夫がなにげなく口にする一言が、サトコさんをいちいちイラッとさせることも多い。
「たとえばですが、先日、シチューを作ったときのこと。サラダやお味噌汁もあったから箸は出ていたんです。でも先に食べようとした夫が『シチューも箸で食べるの?』と一言。スプーンがないよと言えばいいのに、どうしてそんな嫌らしい言い方をするのか……。思わずスプーンを夫の前に叩きつけてしまいました」
スプーンくらい自分で出せばいいのだ、家族の分も。それが夫にはできない。できないどころか、そういう嫌味な言い方をする。それがサトコさんの傷となる。
「夫は驚いて、冗談だったのにと。『ママ、怒りっぽいよな』と子どもに同意を求めるんです。それもまた私にはイラッとくる。こういうことの繰り返しなんですよね」

サトコさんが怒ったのを夫も感じたのだろう、その日は食後、珍しく「オレが皿を洗うよ」とキッチンに立った。だが皿を洗ったあと、「ふう、疲れた」を連発。あげく、「きみはお礼ひとつ言わないんだね」と言い出した。
「あなた、毎日、ご飯を作ってる私にお礼を言ってる? アイロンかけたシャツを着るとき、誰がアイロンかけたかわかってる? 思わずそう言ってしまったんですよね。すると夫は『だって、家事はきみの仕事でしょ』と。唖然(あぜん)としました。『家庭の一員である以上、あなたの仕事でもあるけど。もういい、わかった』と」
次女が不穏な空気を感じて泣き出したので、その場は言い合うのをやめた。だがそれ以来、夫とは素っ気ないやりとりが続いている。
「ママみたいに怖い女の人になったら困るだろ~」
「夫は自分が悪いとは思っていないから、普段通り。これだけじゃなくて、子どもへの物の言い方にも私は日々、イライラしてる。数日前も長女が学校で男の子と言い争いになったことを話していると、『女の子なんだから、男の子には譲ったほうがいいなあ』と言うんです。
『そういう言い方はやめて』と思わず口を挟みました。男だから女だからという時代じゃないでしょ、と。すると夫は『ほら、ママみたいに怖い女の人になったら困るだろ~』って。離婚、という二文字が頭に浮かんだ瞬間でした」
これからの世の中で、男だから女だからと従来の性役割を押しつけるような子育てはやめようと話し合ったはずなのに。サトコさんは夫に抗議したが、夫は「話の流れでつい。ママみたいに怖い女の人というのは冗談だよ」とあたふたしていた。
夫と作る「家庭」が、娘たちにとって「いい家庭」になるのだろうか。サトコさんは言い知れない不安を抱くようになっている。
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<文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
(エディタ(Editor):dutyadmin)
