冷え込む日が増え、鍋物など温かい食事が美味しい季節になってきましたね。寒い季節は食欲が旺盛になりますが、美味しい物を楽しく味わうためには元気な胃が不可欠です。しかし、「なんだか胃の調子が悪くて、食欲もいまいち…」という方も少なくない様子。

2人に1人が「胃の不調」を実感
ヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社が全国の20歳~60歳以上の男女2000名を対象に行った第三回「胃の不調実態調査」によると、2人に1人が「胃の不調を感じている」と回答しました。

51.0%の人が「胃の不調を感じている」と回答し、前回2021年に行った調査の45.8%を上回る結果に。2020年に調査を開始してからは2年連続で割合が増加しています。
また、「あなたは、現在ストレスをどの程度感じていますか」という質問においては、胃の不調を感じている人の76.7%が「ストレスを感じている」と回答(※1)。一方で胃の不調を感じていない人では「ストレスを感じている」との回答は44.7%と半数以下という結果に(※2)。
※1 「感じている」36.1%+「やや感じている」40.6%
※2 「感じている」13.7%+「やや感じている」31.0%

「胃の不調」と「ストレス」は切り離せない関係であることが浮き彫りになっています。確かに悩み事があったり、緊張したりすると胃がキリキリ痛んだりしますよね。
「胃の不調」と「ストレス」の深い関係
胃の不調とストレスに関係があるのは、みなさんもご存知だと思います。しかし、具体的にどのような仕組みでストレスが胃に悪影響を及ぼすのでしょうか?そのメカニズムについて、消化器内科の権威である、兵庫医科大学名誉教授、特別招聘教授、川西市立総合医療センター総長の三輪洋人先生にうかがいました。

三輪洋人先生
「自律神経は環境の変化や将来への不安など、ストレスを感じた時に乱れやすいので、自律神経が乱れることにより胃の調子も悪くなります」
自律神経とは内臓の働きや体温の調整など、自分の意思とは関係なく24時間機能している神経で、交感神経と副交感神経からなります。交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働きます。この2つの神経がバランスをとっているのですが、ストレスによる刺激でバランスが崩れてしまうことがあるのです。
「私たちは食べ物を食べて『消化しよう!』と意識し消化している訳ではありませんよね。意識の外で胃は機能している。つまり『自律神経』にコントロールされています」(三輪先生)
なるほど!コントロールをつかさどる自律神経が乱れた結果、胃がぐったり不調モードに…。ストレスによる胃の不調を改善するためには、まずは自律神経を整える必要があるのですね。
ストレスの原因は将来への不安
続いて、現在「ストレスを感じている」と回答した人に、その原因について聞いてみたところ、1番の原因が「将来・人生」の39.4%、続いて多かったのが「家計・経済的なこと」の33.1%、そして「仕事」の31.9%がTOP3という結果に。

前回の調査結果で1位だった「新型コロナ」は、今回は上位に入っていませんでした。以前は未知だった新型コロナウィルスの実態が徐々に見えてきて、ワクチンも普及し、コロナ自体への不安感は減ったものの、現在では新たに、急激な物価上昇などが生活や将来への不安材料になっているようです。

今年になってさらに「胃の負担」を感じる
次に、胃の不調を訴えている人に対して「今年に入って、胃に負担を感じる生活になったと思いますか」と聞いてみたところ、半数近い45.5%の人が「なったと思う」と回答(※3)。
※3 「なったと思う」12.8%+「ややなったと思う」32.7%

コロナ禍も3年目になり、さまざまな規制や行動制限も緩和され、生活スタイルがウィズコロナへと変化しました。このような環境の変化に慣れないこともあり、新たなストレスを抱えている方も多いのかも知れません。

「胃の不調」はどんな対策をすればいい?
「胃に負担を感じる生活になった」と回答した人に「胃の不調が起きないよう、どのような対策を行っていますか?」 と聞いたところ、「食べ過ぎない」が46.3%と最も多い結果に。次いで「食物繊維をとる」が32.4%、「乳酸菌をとる」31.6%、「十分な睡眠をとる」31.45%と続きました。

この結果に関しては三輪先生も良い対策だとうなずきます。
「胃の不調の原因である自律神経を安定させるためには、『十分な睡眠』『三食食べる』など、つまりは規則正しい生活が最も手っ取り早い方法です。それはとても良い対策だと言えます。例えば、3時間しか寝ていない人と、十分寝ている人を比べた場合、3時間の方が過敏に胃への刺激に反応することが分かっています。あまりよく眠れていない人で、胃の症状を訴える人は多いのですよ」

そして、直結する食生活の改善方法は?
「食べ過ぎると胃酸が逆流して、胸やけが起きてしまいます。『食べ過ぎない』というのは、その自己防衛として上位にきていることが考えられます。
他にも『食物繊維をとる』というのも、良い腸内細菌を増やすことにつながる行動です。『乳酸菌をとる』も、良いでしょう。特にLG21乳酸菌においては摂取することで胃の調子がよくなるという研究結果(※4)も出ています」
※4 Ohtsu, T., Haruma, K., Ide, Y., & Takagi, A. (2021). The Effect of Continuous Intake of Lactobacillus gasseri OLL2716 on Mild to Moderate Delayed Gastric Emptying: A Randomized Controlled Study. Nutrients, 13(6), 1852.

他にも、軽い運動も、自律神経を整えるのにとても良いということが分かっているとのことです。
規則正しい生活は、やはり健康な毎日を送る上での基本になるとのこと。バランスの良い食生活に気をつけながら、たまに運動もし、できるだけしっかりと睡眠を取って“胃の不調対策”をししましょう!

■調査名:第三回「胃の不調実態調査」
■調査期間:2022年10月5日(水)~2022年10月7日(金)
■調査方法:インターネット調査
■調査人数:2,000人
■調査対象:全国20歳~60歳以上の男女
■調査主体:ヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社
【三輪洋人 】1982年、鹿児島大医学部卒。米ミシガン大医学部研究員や兵庫医科大学主任教授を経て2022年から川西市立総合医療センター総長。兵庫医科大学名誉教授、特別招聘教授。専門は消化器内科一般、消化管疾患、特に逆流性食道炎(胃食道逆流症)、機能性ディスペプシアなど。YouTubeにて「Dr.三輪洋人の健康チャンネル」を配信
<取材・文/まなたろう>
まなたろう
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。
(エディタ(Editor):dutyadmin)