山﨑賢人が主演を務めるドラマ『アトムの童(こ)』(TBS系、日曜夜9時~)の面白さが加速しています。ゲーム業界を舞台にした日曜劇場らしい展開ですが、山﨑賢人×オダギリジョー×松下洸平の演技合戦が何よりの見どころ。
11月13日に放送された第5話では、ラストでオダギリジョーの吠える姿が話題になりました。タイプの違うイケメンたちが本作で放つ、それぞれの魅力について語りたいと思います。
『アトムの童』は“次世代”の日曜劇場
若き天才ゲーム開発者の安積那由他(あづみ・なゆた/山﨑賢人)と菅生隼人(すごう・はやと/松下洸平)(活動名「ジョン・ドゥ」)と、大手IT企業「SAGAS」の社長・興津晃彦(おきつ・あきひこ/オダギリジョー)は因縁深い仲。
那由他と隼人が、 富永海(とみなが・うみ/岸井ゆきの)が社長を務める老舗玩具メーカー「アトム玩具」の経営危機を救おうと新しいゲーム開発に乗り出すことをきっかけに、興津と激しい攻防を繰り広げていきます。
日曜劇場らしい分かりやすい対決構造をした本作。一難去ってまた一難の急転直下の展開で、企業買収や引き抜き、資金調達などを通し、登場人物たちの友情・チームワーク・成長を描いています。『半沢直樹』の大ヒット以来、定番化したように感じてしまう日曜劇場的設定・展開には、正直「またこのフォーマットか…」と思っていましたが、いざ始まってみると新しい風を感じる次世代感が面白いのです。
目新しくもありながらどこか懐かしさも感じるゲーム業界が舞台ということに加え、日曜劇場にしては若手世代の実力派が中心キャストにいることもその理由ではないでしょうか。
山﨑賢人の熱い眼力とキラキラした表情で、共感できる主人公に
実際、山﨑賢人はまだ20代で日曜劇場の主演としては比較的若めです。しかし、俳優としてのキャリアはいわずもがな。漫画原作ものへの出演が多い印象の山﨑ですが、着実に実力をつけており、近年のドラマ『グッド・ドクター』や映画『キングダム』での名演には筆者も魅せられました。日曜劇場は5年前に放送された、池井戸潤原作・役所広司主演の日曜劇場『陸王』以来。
日曜劇場の主演らしい熱い眼力と顔圧はもちろん、夢と友情を失った序盤の喪失感から一転、ゲーム制作に挑むキラキラした表情まで細やかに演じています。長髪でいかにも天才クリエーターという風貌ながら、背負っている過去の苦悩と、「とにかくゲームと『アトム玩具』が好き」という気持ちが山﨑の表情からよく伝わるのです。かっこいいだけではない、共感できる主人公を作り上げています。
個人的には、伸びっぱなしの髪を結ぶ仕草に萌えます(笑)。
新たなラスボス像で魅せるオダギリジョー
那由他らの宿敵を演じるオダギリジョーにも目新しさを感じます。もともと、独特の存在感がある役どころの多いオダギリ。直近ではNHKの朝ドラ『カムカムエヴリバディ』でヒロインたちを支える役どころに癒やされました。一方、本作で演じている分かりやすい悪役も鳥肌モノです。
前述した第5話のラストで見せた“吠え”をはじめ、IT社長らしい不敵感、顔は笑っているのに冷徹さを感じさせる眼差し……敵としての憎たらしさ満載の演技を繰り広げています。しかし不快感は全くなく、むしろ1秒たりとも目を離せません。
日曜劇場の定番であるドアップ演技でも、意味ありげに指を舐めたり、まゆげを少し動かすだけで人を圧倒したり……そんなオダギリに大人の色気を感じてしまうのは筆者だけではないはず。急に放り込まれる流暢な英語もたまりませんでした。今後ますます凄みを増すであろうオダギリの大ボスは、目新しくも実にハマっています。
松下洸平は“引き算の演技”で情熱を表現
最後に触れずにはいられないのが、那由他の相棒・隼人を演じる松下洸平です。朝ドラ『スカーレット』で人気に火がつき、昨年の秋ドラマ『最愛』(TBS系)で一気にブレイクした松下ですが、本作でもその勢いは止まりません。
本能的に突き進む那由他と対象的に、冷静で理論的な役どころの隼人。ですが、想いや夢は主人公と同じ熱量で共有していることがしっかり伝わる演技はさすがです。役にリアリティをもたせることに長けている松下。オーバーな感情表現ではないのに、台詞の強弱に速度や繊細な表情の違いで彼の想いがリアルに伝わってくるのです。
松下は以前『最愛』のインタビューで、表情だけに頼らず心の動きを伝える“引き算の演技”を塚原あゆ子監督に教わったと語っていました。第2話のラストで、もう一度那由他とゲーム製作することを決意し、那由他と対話するゲームシーンには痺れました。松下のメガネ姿が個人的に好物過ぎて、毎週45分間ずっと眼福なのもありがたい(笑)。
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三者三様のイケメンたちが、それぞれの個性を光らせながらぶつかり合う『アトムの童』。11月20日に放送される第6話では「アトム玩具」が「SAGAS」に買収されてから一年後の新章がスタートします。大御所の山崎努や麻生祐未、加藤ローサも加わって、イケメンたちの競演をますます盛り上げてくれることでしょう。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
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鈴木まこと
tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
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