英国王室のキャサリン皇太子妃は、着こなしの巧みさで、世界のロイヤルファミリーでも一目置かれる存在です。ファッション業界でバイヤー職を務めていたキャリアがあるだけに、格式やルールが厳格な王室メンバーでありながら、型にはまらないスタイリングを披露しています。
特に、ジャケットやコートのアレンジは格好のお手本。オフィシャルなシーンやラフな打ち合わせシーンなどで、参考にしたい着こなしがいっぱいです。今回は、ジャケット・スーツ・コートの16ルックを通して、キャサリン妃流のコーディネート術を読み解きます。
1. 白ノーカラーできれいめコントラスト

白ジャケットは、クリーンな人柄を印象づけてくれます。襟付きに比べ、ノーカラー(襟なし)ジャケットは気負わない雰囲気でまとえる上、トップスも合わせやすいメリットがあるので、出番が多くなること間違いなし。
トップスも白系でそろえると、顔周りを明るく見せる「レフ板効果」を発揮。実は「ZARA(ザラ)」のジャケットだそうです。上半身を白で上品に整えて、黒パンツでレッグラインをシャープに見せるという、幅広いシーンで対応できるきれいめコーデです。
2. ダブルブレストを前全開で優美に

打ち合わせの深いダブルブレストのジャケットは、カッチリ見えがちですが、フロントを全開で着用することで動きが加わり、優雅な雰囲気に。とりわけ、ワイドパンツとは好バランスが生まれます。
シャツの代わりにカットソーを選ぶのも、堅苦しさを遠ざける着こなし技。バッグの色をジャケットに近づけることによって、全体のなじみ加減がアップ。上品で穏やかなまとまりが備わりました。お仕事ルックにも役立ちそうなスタイリングです。
3. 英国調グレンチェック柄で品格アウトドア

格子柄を縦横に組み合わせたグレンチェック柄のジャケットは、英国らしいモチーフです。きちんと感が出るから、レギンス系パンツで合わせても品格をキープできます。
ベルトでウエストをマーク。大ぶりの張り出しポケットがアクセントに。細身ボトムスのおかげで、レッグラインが一段とシャープに見えて軽快さもプラス。アクティブなブーツインもすっきり決まりました。英国流のアウトドアルックは、盗みどころがいっぱいです。
4. くすみピンク系で大人かわいい休日服

きれい色やカジュアルウエアをロイヤルっぽく着こなすのは、キャサリン妃の得意技です。「クロエ(Chlo)」のくすみピンク系のジャケットは優しげなムードで、「大人かわいい」感じの休日服にぴったり。
サファリ系ディテールやブルゾン風袖先に「技あり」のデザイン。スリムなデニムパンツで合わせて、プライベート感をしっかり出しながらも、ジャケットで節度をキープ。Tシャツ・ジーンズ・スニーカーの上に羽織るだけで様になる、チャーミングな装いです。
5. 白スーツにポジティブな差し色で華やぎ

公式行事の多いロイヤルファミリーにとって、スーツは着る機会の絶えないアイテムです。でも、力みや堅苦しさを見せない、しなやかなスタイリングがキャサリン妃の流儀。
ご愛用ブランドの「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のノーブルな白のパンツスーツは清潔感も申し分なし。オレンジのブラウスを迎えて、ポジティブな気分を盛り込みました。
バッグも色を合わせて、軽やかなツートーン・ルックに。ピュア感とみずみずしさが同居したコーディネートです。
6. 高貴パープルでスーツをイメチェン

高貴な色とされるパープルは優雅なムードが漂うので、ドレッシーに見えがち。しかし、パンツスーツに迎えることによって、あでやかさとスタイリッシュ感が融け合うような着こなしに仕上がりました。
黒系ハイネックのセーターで引き締めているのが成功の決め手。髪をポニーテールにまとめ、さらにすっきり感アップ。マニッシュなスーツ姿をフェミニンに着たいときもパープルは魅力的な選択肢に。スーツを大胆にイメージチェンジさせたお見事スタイリングです。
7. ピンクのパンツスーツで甘さをオフ

ハンサムなイメージのパンツスーツはダークトーンが主流ですが、色を変えるだけでムードが一新。パステルピンクが印象的なこちらも「アレキサンダー・マックイーン」のもの。細い袖、絞ったシェイプで、スレンダーなシルエットに整えているのが、クールな着映えの理由。
パンツはきちんとセンタープレスを利かせて折り目正しい雰囲気に。甘く見えがちなピンクを逆手に取ったスマートフェミニンなパンツスーツルックは、ビジネスシーンでも好感を呼びそうです。
8. クロップド丈でボリューム感にめりはり

スーツほどにはルールがきつくないセットアップ(上下そろい)は様々なシーンで応用が利きます。きちんとした場からパーティーシーンまで使えるから、忙しい女性にはありがたい存在に。
こちらはセットアップ風に見えて、実はワンピース。トレンドのクロップド丈ジャケット風で、ベルトでくびれを演出。フレアスカートとのコンビネーションが生きて、めりはりのある「フィット&フレア」シルエットに仕上がりました。
カッチリしたスーツよりフェミニンに、ワンピースよりきちんと感をまとう際のロールモデル的な着こなしです。
9. ロングコートは甘めブラウスとマリアージュ

ロングコートは最も重たく見えがちなアイテムですが、ショールのようにまとうと、この通り、しなやかな見え具合に。
故ダイアナ妃の愛用ブランドだった「キャサリン・ウォーカー(Catherine Walker)」のコートは細身シルエットが特徴的。ワイドパンツと組み合わせて、縦長シルエットを強調。コートはボタンを全開にしてすっきり、軽やかに見せています。
白襟付きのドット柄ブラウスで、ほんのり甘さとレディーライクをミックスしているのがポイントです。
10. ブルー×黒でシックな洗練ルックに

「ロイヤルブルー」という色がある通り、ブルー系は英国王室の大事なカラーです。落ち着きや品格を醸し出す色だから、ロングコートに迎えれば、全体がノーブルにまとまります。
ブルーのチェスターコートに合わせたのは、どちらも黒系のタートルネックとパンツ。ダーク系のツートーンに色数を抑えて、洗練されたコートルックに仕上げています。
膝が隠れるくらいの着丈のチェスターコートはパンツにもスカートにも合わせやすいから、通勤スタイルにも重宝するはずです。
11.「主張あり」のトップスで着回し力を発揮

キャサリン妃は「着回し術」の名手としても有名です。愛用コートを何通りにも使い分けるコツは、アイキャッチーなトップス選びにあります。
「キャサリン・ウォーカー」のコートに「アレキサンダー・マックイーン」のトップスでコーデ。ナポレオンジャケット風の飾りボタンがクラシックな風情。お気に入りのコートに、別のムードを寄り添わせました。
ボトムスはシンプルなペンシルパンツを選んで、「主張あり」のデザイントップスを引き立てているところもおしゃれ上手の証明です。
12. あでやか色で朗らかプラウドに

明るい色のコートは、堂々とまとうと、プラウドなキャラクターを印象づけられます。この日のキャサリン妃は、赤みを帯びたピンク系コートを朗らかに着こなしました。
タートルネックの色をそろえて、アンサンブル風のまとまりでクラス感もアップ。顔にも赤みが差して、華やかで朗らかな雰囲気に。黒のスキニーパンツで色のコントラストを際立たせ、脚線をすっきり見せています。
冬の主役になるアウターに、思い切ったあでやか色を迎えるメリットの大きさを感じさせます。
13. スキニーパンツで細見えマジック

ロングコートを重たく見せない秘訣は、「同系色×前開け×スキニーパンツ」の合わせ技。グリーンが深いコートの前ボタンを外して、腰から下を自然と細く見せる仕掛け。タートルネックもコートと同系色で合わせて、統一感をアップ。着ぶくれを防ぐ巧みなコーデです。
さらに、スキニーパンツの裾をショートブーツにイン。優雅に遊んだコート裾が「背景」になって、シャープなレッグラインを際立たせています。
14.「ロング&リーン」の英国エレガンス

全身を覆うロングコートは、単調に見えがちですが、ドレスのように着こなすことでエレガントな印象にシフトします。
差が付くポイントは「シルエット、柄、ディテール」の3点。英国らしいチェック柄がトラディショナルな華やぎを演出。肩からつながったゴールドボタンがジュエリーライクなアクセントになっています。
ハイヒールでレディー仕様の足元に。細長い「ロング&リーン」のシルエットがコート姿にエレガントな落ち感を漂わせています。
15. 引き締めブラックで着ぶくれ封じ

着ぶくれが大敵となるコートルック。冬が長い欧州ではコートを着る期間も長いだけに、キャサリン妃はかさばらせないスタイリングがお得意。
デンマークを訪れてメアリー皇太子妃と交流を深めたキャサリン妃はグレーの細身コートをチョイス。モダンなワンピースのようにも映る、スレンダーなまとい方です。
襟と袖先に施された黒が装いを凛々しく引き締め、きちんと感をアピール。ダブルブレストのボタンをしっかり留めることによって、裏地からも引き締め色の黒をのぞかせる自然体な「裏技」もお見事です。
16. ブラックフォーマルにも気品とリュクス感

キャサリン妃の装いで特別に評価が高いのは、フォーマルの着こなしです。女王エリザベス2世を悼む礼拝では、黒いコートドレスに身を包みました。
英国の葬儀では帽子やジュエリーで、弔意やその人らしさを示します。パールとダイヤモンドのリーフ型ブローチはエリザベス女王のもの、パールイヤリングはダイアナ元妃のものといわれています。
葬儀にふさわしく、飾り立てるのは避けながらも、故人を偲びました。皇太子妃にふさわしい気品とリュクス感をまとっています。

ジャケット、スーツ、コートと、いずれも大人の装いにふさわしいベーシックなアイテムを、キャサリン妃はオリジナルな発想で自分らしく着こなしています。
節度や品格を重んじる、英国王室のスタイリングはこの冬のトレンドである「クラシカルな装い」にぴったり。ここ数年のカジュアルスタイルから少しムードチェンジできる上、トレンドに流されないタイムレスな装いを手に入れるチャンス。
さすがの知恵が詰まったキャサリン妃流のロイヤルファッションを参考にしてみてはいかがでしょう。
執筆者:宮田 理江(レディースファッションガイド)