65歳、1LDKのマンションでひとり暮らし、離婚した夫との間に息子がふたり、仕事は週3日のパートタイム。ごく普通のショコラさんですが、『65歳から心ゆたかに暮らすために大切なこと』(マガジンハウス)には、ささやかだけけどキラキラした日常が詰まっています。毎月の収入はパート代と年金を合わせて12万円。決して多くはありませんが、ショコラさんの生活は満たされていて、とても自由。その秘訣は、50代から少しずつ準備してきたからだと言います。
現在30代、40代のあなたも、老後に対して漠然とした不安を抱えているかもしれません。でも私達となんら変わらず、酸いも甘いも知り尽くしたショコラさんはすこやかそのもの。怒涛の時代を生きていくための知恵と工夫を、おしえてもらいませんか。
どんな形でも仕事は続けよう
24歳で結婚、42歳で別居、約5年後に離婚、46歳で小さなマンションを購入。ショコラさんの転機を見てみると、激動ながら順調に進んでいるように思えます。とはいえ、悩みながらも即座に行動できたのは、どんな形であれ仕事を続けてきたから。
いざという時に頼りになるのは、やはりお金。46歳でローンを組み、マンションを購入できたのも働いていたからこそ。「住むところがある、という安心感は何物にも代えがたい」とショコラさん。45歳で正社員になり、56歳で退職してから、ショコラさんはまた新たなスタートを切りました。
必要なのは気力と体力、でも無理はしない
50代はまだまだ元気、でも無理がきかなくなるのも事実。老後の資金がリアルになってくるのも50代、ショコラさんは長年家計簿をつけていたので、月に12万円あれば暮らしていけるとわかっていました。月々の収支バランスを把握しておけば、いくら稼げばいいのか計算ができます。お金の問題はついつい後回しにしがちですが、ショコラさんのようにいったん冷静になって生活を振り返り、現実を把握しておくのは大切かもしれません。今、自分がどういう状態なのかを認めれば、将来の計画もたちやすいです。
その後、ハローワークで情報を収集し、フルタイムのパート勤務を開始。63歳を過ぎた頃に週5日勤務を週3日に変えました。「無理せず、必要な金額の分だけ、体力に合わせて働く」のがショコラさん流なのです。
着ること、装うこと、オシャレの極意
ご自身を顧みながら欲張らず、あくまでマイペース。仕事だけではなく、私生活もショコラさん独自のルールとセンスが生きています。「光熱費はときどきチェックしてブログで公開」「欲しいものリストを作って、衝動買い意欲をセーブする」など、節約も無理をしないのが鉄則ですが、オシャレだって楽しみたいですよね。
若い頃はファッションも試行錯誤をするものですが、50代、60代になると好みやスタイルも定着してきます。これはさみしいことではなく、「好みのスタイルやサイズがわかると、買い物がぐんとしやすく」なり、常にお気に入りに囲まれるようになるということ。

ショコラさんも「バッグはすべて一軍。少数精鋭のジュエリーも全部愛用」しているそう。ボトムスは「セミロングスカートの快適さをしったから、これで統一」、トップスの好みはボーダーです。ボーダーは年齢も選ばず、流行もなく、カジュアルにもシックにも成り得ます。そして「ファッションの予算を決める」のもポイント。「スカート、ニットは5千円まで」「コートは2万円」など。金額のバランスが取れれば、ファッション全体のバランスも取れてくると思いませんか。
大好きなものに囲まれる、ひとりの暮らし
家族と住み、子育てに追われている間は、自分好みのインテリアにするのは難しいかもしれません。ひとりになったからこそできる、好きなものだけに囲まれる暮らし。ショコラさんのマンションは1LDK。間取りの仕切りを取り払い、ワンルーム仕様にして、広さを確保。視界に入るのは、シンプルながら厳選した家具やグリーン。食器棚はなく、食器はシンク下の収納スペースにしまっています。ファッション同様、こちらも厳選した一軍のみ。北欧を代表するブランド、アラビアやイッタラの食器が普段使いです。
日々の食事は自炊が基本ですが、手をかけず、こちらもシンプル。魚の切り身を焼いたり、レトルトのハンバーグを温めたり。大好きな食器に盛りつければ、ときめく食卓の完成です。「2週間に一度、長男が遊びに来るときは、彼の好物の豚汁を作ったり、ビーフシチューやおでんなどを仕込んで『母の味』を食べてもらっています」というように、うまくメリハリをつけています。
90歳になっても自立した暮らしをしたい
65歳で仕事をし、ひとりの暮らしを謳歌でいるのも、健康あってこそ。年齢が上がれば、定期検診だけではなくオプションもついてきます。検査代も高くなりますが、安心感には代えがたく、ショコラさんも定期的に受けているそう。デンタルチェックと歯のクリーニングも3ヶ月ごとに行い、思い立ったらママチャリで走るのも忘れません。運動不足解消とストレス解消、銭湯と喫茶店巡りで心の潤い補給にもなります。

家族から巣立ち、あるいは家族が巣立っていく。人は最終的に「ひとり」になるもの。だからこそ、適度な距離を保ちながらお互いが自立していけたらいいと、私も思います。「これから70、80、90歳と、上手に年をとっていけたら、こんなに素敵なことはありません」。ショコラさんが言うように、90歳になっても自立した暮らしを」していけたら、最高ではありませんか。
<文/森美樹>
森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
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