見た目は愛らしい3歳児なのに、時々なぜか達観した言葉を発する3歳の息子・よいたんの姿を描いたコミックエッセイ『よいたん3歳、ときどき先輩。』(KADOKAWA刊)。著者のまぼさんは2018年2月頃から育児漫画の執筆を始め、SNSで作品を発表すると面白くてオシャレな作風に多くの反響が寄せられました。

初の書籍化となった本作では、「人生何周目?」と大人を唸らせるよいたんの生態や、夫のびぼさんの愛情に溢れ過ぎる育児など、描き下ろし作品を含めたエピソードが多数収録されています。
今回は著者のまぼさんに、育児漫画を描き始めたきっかけや、夫・びぼさんの実態などについて聞きました。
子育てエッセイ漫画を「大発明だ!」と思ってました(笑)
――まぼさんはどんなきっかけで子育て漫画を描き始めたのでしょうか?
まぼさん(以下、まぼ):息子が生後1カ月くらいの時に描き始めました。子育て漫画は東村アキコさんの『ママはテンパリスト』(集英社)しか読んだことがなかったんです。だから「一般人の私が子育て体験を漫画にしたら面白いんじゃない? これは大発明だ!」と思っていました。いざ描いてみると、既にものすごく沢山の人が子育てエッセイ漫画を描いていたという……(笑)。

――子育てエッセイ漫画戦国時代かもしれないですね(笑)。育児のどんな場面で漫画を描きたくなったのでしょうか?
まぼ:育児中は多くの方が感じることだと思うのですが「聞いていた話と違う!」と思うことが沢山あるんです。本を読んだり人に聞いたりして事前に知識をつけても、本当に予想外のことが起こります。
でも、そういう時の私の苦労や辛さは「面白い」と紙一重だと思うんです。ものすごく大変だけど、「少し見方を変えたら笑える出来事に変わるんじゃないかな?」と感じるので、それを漫画で表現することで、誰よりもまず自分の救いになればいいなと思って描くようになりました。
子どもが風邪を引いたり、思わぬ事故が起きたり、ワンオペ育児で苦しい思いをしている渦中は、「絶対にこの経験を漫画にして自分の心を成仏させよう」と思って乗り越えています(笑)。
必要なことをやった上で、スキマ時間をやりくりして描いています
――会社員をしながら子育てと漫画の執筆をするのはとても大変だと思うのですが、どうやって時間を作っているのでしょうか?
まぼ:子ども達が起きている時間は描かないようにしています。あくまでもワーキングマザーとしての生活を崩したくないので、漫画を描くために無理な夜更かしや早起きはしていません。
私は本業が会社員なので、夜更かしをすれば翌日の業務に支障を来たしてしまいます。だから会社の仕事と育児、家事などの必要なことをやった上で余ったスキマ時間をやりくりして描いています。そういう方法で進めてきたので、本を作るのに1年くらい時間がかかってしまって、編集者さんには随分ご迷惑をお掛けしてしまいました。
「子どもに聞かれたことは必ず答える」夫・びぼさんの底なしの愛情
――漫画について、まぼさんの周囲の方はどんな反応をしていますか?
まぼ:夫は私の漫画の1番のファンなので、今回は本を20冊買って夫の会社の人達に配っていました。逆に私の母は1冊も買ってないみたいです(笑)。
――20冊はすごいですね(笑)。びぼさんのよいたんに対する関わり方が素晴らしいと感じるのですが、まぼさんから見ていかがですか?
まぼ:夫といると、私1人では絶対に気づかなかったことが沢山あると感じます。
夫は子どもに日々無償の愛を注いでいるので、その姿勢を私も見習いたいと思います。
――どんな風に愛情を注いでいるのでしょうか?
まぼ:例えば、夫は「子どもに聞かれたことは必ず答えること」を徹底しているんです。私の場合は忙しいとつい「子どもは知らなくてもいいの」とか「あ~はいはい」とか言って聞き流してしまうことがあります。今は私も「夫を習いたいな」と思って、9割は頑張って答えるようにしています。
――よいたんは、どんなことを聞いてくるのですか?
まぼ:「ひょんな事の、『ひょん』って何?」とかですね。「『滅多』って何?」と聞かれた時は答えられませんでした(笑)。今朝夫が聞かれていたのは「『具体的』ってどういうこと?」でした。
よいたんに「『具体的』って何?」と聞かれたびぼさんは…
――急に聞かれると、なかなか説明が難しいですね。
まぼ:言葉で説明するのが難しいので、夫は会話の例を出して「僕はお菓子が好き」を具体的に言ったら「僕は甘いお菓子が好き」、それを具体的にすると「チョコレートが好き」、さらに具体的にすると……と「どんどん細かくすることを具体的って言うんだよ」と説明していました。
生活の中で繰り返し使うことで意味が体系化されていくような言葉がとても多いので、それをいちいち子どもに説明するのは本当にしんどいんです。そこで諦めないのが夫のすごいところだなと思います。
「具体的」について聞かれたのも、夫がドライヤーをかけている時だったんです。それでもドライヤーを止めて説明していました。
――素晴らしいですね! びぼさんはなぜそこまでできるのでしょうか?
まぼ:子どもに質問された時に「後でね」と言うとお互いに忘れてしまったり、子どもの興味がなくなってしまったりするので、「その瞬間を捕まえないといけない」と夫は考えているんです。それが分かっていても「私には無理だな」と思います。
「気づいたら夫婦で補い合っていこうね」と話しています
――逆に、びぼさんに対して「もっとこうしてほしい」と思うことはありますか?
まぼ:「こぼさず食べてよ」とか、100個くらいありますよ!(笑)。
最近話し合ったのは、夫が休日によいたんと2人で出掛ける時に「買い物にばかり時間を使わないでほしい」ということでした。夫はショッピング好きで、すぐに「おもちゃ屋さん行こう」「本屋さん行こう」となってしまうんです。
私はどちらかというと、公園や美術館など、子どもが何か感じられるような経験をさせてほしいと思っています。でも買い物は、消費しているだけで時間が潰れるので大人はすごく楽なんです。でも、せっかくの限られた父子の時間をもっと色々な経験に使ってほしいんです。本人もその課題を自覚しているので、先日「気づいたら夫婦で補い合っていこうね」と話し合いました。
よいたんの「言い間違い保護委員会」は今?
――よいたんの言い間違いを「保護したい」というエピソードが面白かったです。「てべり(テレビ)」はまだ残っているのでしょうか?
まぼ:「てべり」はまだ保護しています。夫にも「訂正してくれるな」と話をしました。
――子育ての中で、面白いネタを見つけるのは大変ですか?
まぼ:むしろ逆に、漫画にしたい面白いエピソードは沢山あるのに時間がなくて「1日36時間くらいあったら描けるのに」と思うことが多いです。やはり会社員なので描く時間が足りないですね。描きたいことに対して自分が追いついていないことにストレスを感じています。
――漫画を描いていて、どんな時に楽しいと感じますか?
まぼ:漫画に関しては全てが楽しいです。描いている時もすごく楽しいし、SNSに投稿して皆さんのリアクションがもらえることも楽しいです。
今回初めて1冊の本になって、編集者さんやデザイナーさんなど色々な人と関わることができて本当に楽しかったし、「漫画を描くのって素敵な仕事だな」と実感することができました。
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【まぼ】
漫画を描くのが趣味。好物の七草がゆを年に1回しか食べられないという悩みがあったが、最近はフリーズドライの七草が発売されたので年中食べられて幸せ。最近で一番よかった映画は『孤老の血 LEVEL2』。初の著書『よいたん3歳、ときどき先輩。』(KADOKAWA)が発売中。
Instagram:@yoitan_diary、twitter:@yoitan_diary
<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
(エディタ(Editor):dutyadmin)






