レコードやラジカセ、使い捨てカメラといった電化製品や、純喫茶の定番メニューであるナポリタンやメロンクリームソーダなどの食べ物など、ここ数年、若い世代を中心に昭和レトロブームが巻き起こっています。2021年春にリニューアルオープンした西武園ゆうえんちも、昭和の世界観が満喫できることで話題となりました。
そうしたなか、東京都内に古き良き時代の魅力が再現された世界を、ワンコイン以下で体感できるスポットがあります。住宅ライター歴およそ20年、レトロな建物好きの筆者が家づくりのヒントにした「江戸東京たてもの園」を紹介します。
いざ、江戸東京たてもの園へ!
小金井公園内のたてもの園には、ビジターセンター(旧光華殿)から入ります(筆者撮影)
JR中央線で新宿駅から約30分、武蔵小金井駅(小金井市)が最寄りの「江戸東京たてもの園」は、東京都墨田区に1993年開館した「江戸東京博物館」(現在は大規模改修工事実施のため休館中)の分館として同時に、都立小金井公園内に開園しました。東京都内に現存した歴史的建造物を移築・復元して公開する「野外博物館」です。現地でそのまま保存することが難しかった文化的価値が高い建造物を保存しながら展示することにより、貴重な文化遺産を次代に継承することを目指しているとのこと。園内には現在、江戸時代前期から昭和中期まで存在した30の建築物が点在し、街並みを形成しています。
前川國男邸
前川國男邸の外観は、和の趣が強い印象(筆者撮影)
室内は和の要素を感じさせつつもモダンな空間。開口部は上部にガラス窓、下部に障子を入れています(筆者撮影)
開放的な居間を中心とした間取り。ダイニングの上部はロフトのような空間になっています(筆者撮影)
初めて江戸東京たてもの園を訪れたとき、思わず「このまま住みたい」と感じたのが、日本の近代建築の発展に貢献した建築家、前川國男の自邸。戦時体制下に竣工した建物ですが、吹き抜けの居間を中心に、書斎と寝室を挟んだミニマムな間取りはいかにも住み心地が良さそうで、マイホームを建てることになったとき、まず思い浮かべたのはこの家でした。切妻屋根の外観や障子、開口部の丸柱など随所に和の要素を感じさせながらもモダンな空間は、まったく古さを感じさせません。
田園調布の家(大川邸)
庭も含めて当時の様子が再現されています。当時の設計図を元に造られたパーゴラ(つる棚)には、季節になるとバラが枝垂れ咲くとか(筆者撮影)
居間や食堂、書斎の床は寄木張り(パーケット)(筆者撮影)
広く自然光がたっぷりと入る書斎。ここなら仕事がはかどりそう(筆者撮影)