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元ユニクロ社員が作った「服のお直しサービス」がすごい!好きな服を自由に « ビューティ

時刻(time):2022-06-11 08:05源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
身体の不自由さに合わせて、洋服のお直しができる「キヤスク」というサービスをご存知でしょうか。手先が不自由な方向けにボタンをマジックテープに直したり、ズボンが履きにくい方向けにパンツを横開きにするなど様々なお直しを提供しています。 「着たい服を着る日常を、すべての人に。」をスローガンに立ち上げられたこのサービス。サービスを運営している、
 身体の不自由さに合わせて、洋服のお直しができる「キヤスク」というサービスをご存知でしょうか。手先が不自由な方向けにボタンをマジックテープに直したり、ズボンが履きにくい方向けにパンツを横開きにするなど様々なお直しを提供しています。

元ユニクロ社員が作った洋服のお直しサービス
「着たい服を着る日常を、すべての人に。」をスローガンに立ち上げられたこのサービス。サービスを運営している、株式会社コワードローブ・代表取締役の前田哲平さんに話を聞いてみました。

「着る服がない」と聞いて戸惑った


――身体の不自由さに合わせて「服を着やすくお直しする」という日本初のサービスですが、どのような経緯で立ち上げられたのでしょうか。

「着る服がない」と聞いて戸惑った

前田哲平さん

前田哲平さん(以下、前田)「僕は以前ユニクロで働いていたのですが、聴覚障害のある同僚がいて、彼の知り合いの身体の不自由な方と話す機会があったんです。その中で『着る服がなくて困っている』という話を聞きました。着る服がないと聞いた時に、正直僕はその言葉の意味がわからなくて戸惑いました。というのもユニクロには『あらゆる人々に、良い服を届ける』という企業理念があり、私もその理念を誇りに働いていたんです。なので話を聞いて『着る服がないってどういうこと?』という衝撃と、その状況がイメージできない悔しさが残りました」








「着たくない服を我慢して着ている」状況を知る


――身体の不自由な方向けのお洋服もありますしね。

「着たくない服を我慢して着ている」状況を知る

肩開きにお直し。首周りが大きく開くので、着やすく、着せやすくなります。

前田「そうなんです。それで、その言葉の本当の意味が知りたくて、直接身体の不自由な方にお話を聞きにいきました。年齢も性別も障害も違う様々な方にたくさんお話を聞いていく中で、わかったことは『着る服がないのではなく、着たい服が自由に着られない』ということでした。身体の不自由な方は、洋服を選ぶときに好みやデザインではなく『着やすいかどうか』という基準で決めています。本当はカチッとしたシャツが着たいけど、着脱の際やボタンをかける作業が大変だから、ボタンのない伸びる素材の服を着ているという話を聞いて『服は着ているけど、着たくない服を我慢して着ている』という状況を知りました」

――着たい服ではなく着られる服を選んでいるのですね。

前田「身体の不自由な方向けの服もありますが、種類も少なく好みのものがあるとも限りません。またそのような特別な服は値段が高いものが多く、気軽に買えないという話も聞きました。この『服は着ているけど、着たくない服を我慢して着ている』という言葉をきっかけに、全ての人が着たい服を自由に着られる世の中を目指したいと思い、『キヤスク』のサービスを立ち上げました」







着やすい服を作るのではなく、お直しにこだわる理由


――キヤスクが身体の不自由な方向けの服を作るのではなく、「お直し」にこだわった理由はなんですか?

お直しにこだわる理由とは

ボタン留めをマジックテープ留めに変更。片手や弱い力でも開閉可能に!

前田「私も最初は、身体の不自由な方向けの服をユニクロで作ればいいのでは?と考えました。身体の不自由な方向けのオシャレなアパレルブランドを立ち上げるのも一つの方法だと考えたんです。でも、それだと着る服の選択肢が多少増えるだけで、根本的な解決にはならないと思いました。そのブランド以外にも着たい服はたくさんありますよね。であれば、着たい服を自分の身体にあわせて直してしまえば、どんな服でも着られると気付いたんです。直してしまえばユニクロの服も含めて、世の中にあるありとあらゆる服が着られるなと」






作業はオンラインで完結


――キヤスクには店舗がありませんが、お直しはどのように注文するのでしょうか。

作業はオンラインで完結

横開きにお直し。身体が動かしにくい、足を曲げづらいという方でも着脱がラクになります。

前田「注文は全てオンラインで行います。キヤスクにはキャストと呼ばれるお直しスタッフがいるのですが、お客様と担当キャストがオンライン上でお直し内容を細かく打ち合わせします。お直し内容が決まったら、お客様がキャストの自宅にお直しする服をヤマトの匿名配送で送り、料金をお支払いいただきます。その後、キャストからお客様のご自宅に、お直しされた服がヤマトの匿名配送で戻ってくる仕組みです。」

――ほぼオンラインで作業が完結するのですね。

前田「手頃な価格でお直しできるのも、着たい服が自由に着られる大事な要素の一つです。ですので、広告費や運営費にお金をかけないことと店舗を持たないことでサービスの価格を下げています。オンラインであれば、店舗がなくても誰でもいつでも気軽にサービスを注文することができます」








スタッフは「キャスト」と呼んでいる


――お直しスタッフを『キャスト』と呼んでいるのも、キヤスク独自ですね。

スタッフは「キャスト」と呼んでいる

写真はイメージです。

前田「キャストの3分の2以上が、ご自身のお子さんやご家族に身体の不自由な方がいて、これまで家族のために服を作ったり直されてきた方です。キヤスクでは、キャストの技術力と同じくらい、キャストの『お直しの想像力』を大事にしています。お客様の困りごとが具体的にイメージできることが、お客様の要望にあったお直しにつながります。経験者だからこそわかる部分は多く、お客さまが注文をする際に気軽にお直しの相談ができると考えています。自分の子供の洋服を直すなかで培った技術と想像力を、今度は別の方に提供したいというキャストがたくさんいます」

――経験者だからこそわかる、というのは大きな強みですね。

前田「とはいえキャストの方はボランティアではありません。キヤスクを支えてくださる大切なメンバーなのでキャストと呼ばせていただいてます。またサービスはお手頃価格を意識していますが、キャストにはきちんと還元できる仕組みを作っています」






「本当に嬉しい」母親から感謝


――実際にキヤスクのサービスを利用された方からはどのようような声が届いていますか。

「本当に嬉しい」母親から感謝の声

トレーナーを前開きにして、気管切開のため、キーネック加工(首元を4cm下げて欲しい)にお直しし。

前田「お子さまの服を注文してくださったお母さまから、『これからは、子どもに着せやすい服ではなく、着せたいと思える服を自由に選んでいいんだと思うと、本当に嬉しい』という声や『健常児の長男に着せていた思い入れのある服が着やすくなって、障害児の次男にも着せてあげられることがとても嬉しい。出来上がりも丁寧で心がこもっていて、なんだか新品を買うより嬉しい。温かい気持ちになりました』という声を頂いています」







好きな服を自由に着られる世の中にしたい


――制限なく、気軽に好きなデザインや柄が楽しめるのは嬉しいですよね。

好きな服を自由に着られる世の中にしたい

パンツをはいたまま装具の付け外しができるように、パンツ両足の裾から膝下までをファスナー開きに変更。

前田「デニムパンツをはいたまま装具の付け外しができるように、パンツ両足の裾から膝下までをファスナー開きにしたり、車椅子に座っている方が長時間座っているとズボンのお尻の縫い目で皮膚が擦れて痛くなるので、お尻の縫い目をなくすお直しもしています。こちらも専門のズボンを買わなくても好きなズボンが選べて嬉しいというお声をいただきました。これからもっと多くの方にサービスを利用していただき、様々な状況にある人が自分の好みの服を自由に着られる世の中になればと考えています」

褥瘡対策のお尻の縫い目お直し写真

褥瘡対策のお直し。おしりの生地を柔らかい素材に変更して負担を軽くしました。

好きな服を自由に着られる世の中にした

褥瘡対策のお直し。正面から見た写真。

「着る服がない」という一言に衝撃を受け、サービスまで立ち上げた前田さん。身体の不自由な方の困りごとを見える化していくことで、優しい社会のきっかけづくりにもなりたいという言葉が印象的でした。

【前田哲平】
株式会社コワードローブ・代表取締役。「着たい服を着る日常を、すべての人に。」をスローガンに、障害・病気・怪我など様々な理由で「服の選択肢の少なさ」に悩む人が、身体の不自由に合わせて「既製服を着やすくするお直し」を、気軽に、気やすく依頼できる、日本初のオンラインサービス『キヤスク』を2022年3月より開始。Twitter:@kiyasuku_/Instagram:@kiyasuku_/前田哲平さんTwitter:@tricolour1975

<取材・文/瀧戸詠未>
ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。



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