静かに積み重ねた日々が紡ぐ、天海祐希という気高き存在。
清く、美しく、しなやかに
天海祐希

出演中の舞台『広島ジャンゴ2022』で演じる山本は、牡蠣工場で働くシングルマザー。かたくなな性格で、シフト担当の木村を悩ませているが、ある日、山本が子連れガンマンのジャンゴに、木村は愛馬のディカプリオになっていた……と聞くと楽しげな舞台を想像するが、今作はさまざまな不条理を問いかけ、話題を集めている。
「山本もジャンゴも、子供を守りたいという信念を貫くがゆえに周りと軋轢を生みますが、子供、仕事、お金、地位など、登場人物は守りたいものや正義のために必死です。その問題ひとつひとつは小さくても、それは国家間の問題にもつながるような種でもあって。大事も、すべては小さなかけらから始まることに改めて気づかされています」

肌や体と同じで、違和感は小さなうちに解消すれば、トラブルは避けられる。そのために、見えている事実だけで判断するのではなく、本当の意味で認め合うことの重要性を感じている。
「何事も自分を知り、相手を知ることから始まると思うんです。知ることで状況や心もちが変わり、関係性や世界も広がっていきますから。今作を通して、幸せの考え方もより明確になりました。大きな幸せばかりを求めていると、小さな幸せを見逃しやすい。そうすると、結果的に大きな幸せは訪れない気がするんです。空が美しかった、昨日できなかったことができたと、日々の小さなうれしいや楽しいを積み重ねていくことが、自分にとっての本当の幸せを招くのかもしれませんね」
「ありがとう」「素敵」と日々小さな喜びに敏感になること。それが、天海さんにとっての幸せの法則。
「仕事も同じで、才能がある方がたくさんいる中で、天海祐希にこの役をと言っていただけることには感謝しかありません。若い頃は役をいただけるうれしさが大きかったのですが、今はそれ以上に、私が舞台やカメラの前に立つまでに多くの方の努力と苦労があることを考えると、こんなにありがたいことはないと思うんです」
“5歳の私を裏切らないように生きたい。悩んで、もがきながら役を生きたい。努力に無駄はないと信じています”

「お芝居をする人になりたい」。5歳のときにそう決意して以来、天海さんの中には常に“5歳の自分”がいる。
「5歳の自分が決断してくれたおかげで今の私がいます。彼女を裏切りたくないから、いただくお仕事は簡単にこなしたくないんです。必死で、もがいて、迷いながら役を生きたい。役を誠実に表現できるのは世界で私だけですし、私が手を抜けば役の心情は伝わりませんから、役に対して考えつくことは全部やりたい。努力は裏切らないと、愚直に信じているんです」
観客や視聴者に勇気をもらい、また前を向く。そんな天海さんの姿に、見る人は時に背中を押され、希望のかけらをもらう……という素敵な循環を信じて、天海さんは作品と向き合う。
「吉永小百合さん、加賀まりこさん、草笛光子さん、芸能界の先輩方は、長年第一線で活躍されていらっしゃるのに、少女のように純粋で素敵です。でも、お仕事では全神経を集中させて信じる道をまっすぐ歩かれる。美しい先輩方に近づけるように、そして、真っ赤な口紅とネイルが似合うように、日々精進していきたいですね」
Profile
あまみ・ゆうき/1967年東京都生まれ。近年の主な主演作にドラマ『緊急取調室』シリーズ、『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』、映画『老後の資金がありません!』など。公演中の舞台『広島ジャンゴ2022』に、シングルマザー・山本役/ガンマン・ジャンゴ役で出演。
●COCOON PRODUCTION 2022「広島ジャンゴ2022」
4月30日まで東京・Bunkamuraシアターコクーン、5月6~16日大阪・森ノ宮ピロティホールで公演。
天海祐希さんが表紙に登場!『美的GRAND』2022春号 発売中

『美的GRAND』2022 春号掲載
撮影/竹内裕二(BALLPARK) ヘア&メイク/林 智子 スタイリスト/大沼こずえ(eleven.) 構成/松田亜子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
(エディタ(Editor):dutyadmin)