パンパンに詰まった頬袋、ふさふさの尻尾、まんまるでつややかな目。どこから見てもチャームポイントしかない、それがシマリスです。そんなシマリスに会えるカフェが東京・江東区亀戸にあることをご存じでしょうか?

「シマリスカフェ~アースのおみせ~」は日本初のシマリスカフェ。シマリスを愛でるだけでなく、なかなかできない“体験”を得られるこちらのお店、その誕生の理由を探ってきました!
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お店は大きなシマリスのモチーフが目印
JR亀戸駅東口から徒歩1分、小さなビルの3階に「シマリスカフェ~アースのおみせ~」はあります。
シマリスは昼行性の生き物です。陽当たりがいい場所にお店を構えたのは、もちろんシマリスたちのため。毛並みをきれいに保つために、日光浴は欠かせません。
上下運動を好むシマリスたちのために、ケージは特注品を用意。逸走(※逃げ出すこと)防止のために二重窓を採用し、展示は1歳以上の個体に限るなど、シマリスの生態にとことん寄り添ったお店です。
「『可愛いだけの、わたしじゃない』が、シマリスの魅力です。狂暴になる『タイガー期』もあり、一年を通して同じ性格ではありません。こちらの思うようにはいかないというところは、人生や人間とのコミュニケーションに似ています。『向き合う』という飼育スタンスでなく、個体差をみながら『並走する』という感覚ですね」
飼育は難しいけれど、そんなところも含めて魅力だと語るオーナーの酒井さん。きっと昔からシマリスをたくさん飼っていたに違いない……と思いきや、意外な過去を知ることになりました。
震災がきっかけでシマリスを迎えることに
語学を学ぶために洋画を観ていたことから、映画に興味を持った酒井さん。大学在学中から自主制作で映画を撮り始め、卒業後は映画業界へ。映画製作の現場で働いていましたが事故に遭い、映画の仕事を続けられなくなってしまいました。
生活を立て直すためにビルの清掃や飲食店の仕事を始めましたが、華やかな映画業界にいたときの生活から一変したことで、戸惑いもありました。
「家電量販店のテレビコーナーを掃除していたときに、自分が参加した映画の予告が何十台というモニターに映ったんですね。でも周りに自分が携わっていたと言っても、今の自分では信じてもらえるわけがない。最悪な気分でしたね」
そんなときに発生したのが東日本大震災です。停電の影響を受けて、飼育していた金魚が全滅。空になった水槽だけが残りました。
「当時はシマリスについての知識がなかったため、空いた水槽で小動物なら飼えると思ったんです。ある日突然、大切な人の命が失われるということを目のあたりにし、命の尊さに触れたいと思ったこともきっかけになっています」
シマリスのリアルな飼育を間近で見られる場所を!
ペットショップでは、シマリスは「なつきにくい」「観賞用」と言われましたが、飲食店の仕事が忙しかったこともあり、ベタベタしすぎない動物のほうが、かえって自分のライフスタイルに合っていると思いました。そしてお迎えしたのがシマリスの「アース」でした。
初めてお迎えしたアースはいわゆる「べた慣れ」(※人間に慣れていること)の個体。しかし2匹目の「はぐ」は酒井さんの手を齧り、返り血で体が真っ赤に染まっても離してくれないほど野性味の強い個体でした。
「個体差が激しい動物だということは聞いていましたが、それまでの経験がまったく通用しないと感じました。そのとき『ほかの飼い主さんはどのように飼育しているのだろう』と疑問に思ったんですね」
犬や猫とは違い、シマリスは飼育している人が少なく、情報交換の場所もほとんどありません。ベテランの飼い主さんにSNS経由で質問することはできますが、あまり何度も問い合わせるのも気が引けます。参考にSNSの投稿を見ても「かわいい」投稿が多くを占め、リアルな飼育方法を間近で見られる機会も少ないと感じていました。
「もっと現実的な飼育を見たいと思ってシマリスカフェを探してみましたが、ありませんでした。だったら自分で作ってしまおうと思ったんです」
シマリスにも訪れる人にも優しいシマリスカフェ
こうして誕生した「シマリスカフェ~アースのおみせ~」。シマリスに対しては誠実であるのはもちろんのこと、「訪れるお客様の役に立ちたい」「楽しんでもらいたい」という酒井さんの気持ちも隅々まで行き渡っています。
「情報はスマホ1台あれば誰でも得られますが、知識は体験を通してこそ身に付くものだと感じています。誤解や曲解を避けるためにも、当店ではシマリスの飼育情報を安易にSNSなどでは発信しないように心がけています。実際に足を運んでくださるお客様には、リスさんたちの息遣いを間近で感じていただきながら、当店での飼養方法についてもさせていただいております」

たとえば、展示されている個体の1匹のことら。元気はありますが、甲状腺ホルモン異常のため脱毛があり、目を患っています。こういった個体の様子を、直接見てもらいながらそのケアについて話をすることも、未来のシマリスたちの命を救うきっかけになるのではないか、と考えているそう。
「『動物が好きなんですね』と言われますが、動物はもちろん、人も大好きなんです。人とシマリスが、いい距離感で快適に暮らせる空間を工夫していきたいと考えています」
リスをモチーフにした食事メニューも可愛すぎ!
飼育情報のシェアをできるだけでなく、かわいいシマリスを眺めながら、おいしい食事をとれるのもこちらのお店の魅力。飲食店での経験も生かし、フードにも気合を入れています。リスをモチーフにした「ハンバーグ・オム・ラ・リス」は人気定番メニュー。
フード以外にもデザートやドリンク、季節限定メニューなど充実のラインナップでおもてなしをしています。
シマリスにおやつをあげて、手乗り体験に癒される!
人に慣れたシマリスが集まる「リスの部屋」では、追加オプションでおやつをあげたり、手乗り体験を楽しんだりすることもできます。必ずスタッフが付き添ってくれるので、初めてシマリスに触れる人でも安心です。

食事や手乗り体験を楽しんだら、帰る前にお土産コーナーをのぞいてみてはいかがでしょうか?
作家さんが制作した、リスをモチーフにした雑貨や文具が所狭しと並んでいます。どれも市販されていないものばかりなので、お買い逃しなく。
極上の2時間を通じてシマリス観をアップデートできました
「映画館に入って2時間を過ごすと、観る以前とは違う自分になっていることがありますよね? シマリスと過ごす2時間が、お客様にとって特別な体験になれば幸いです」と語ったオーナー。

その言葉の通り、筆者も極上の2時間を過ごさせていただきました。
【シマリスカフェ~アースのおみせ~】
Twitter:@chipmunk_earth
Instagram:@chipmunk.cafe
<文/増田洋子>
増田洋子
2匹のデグーと暮らすライター。デグーオンリーイベント「デグーサロン」を運営。愛玩動物飼養管理士2級を取得。Twitter:@degutoichacora
(エディタ(Editor):dutyadmin)







