所得の減少が続く中、世界的なインフレが日本にも波及。物価が上がり、稼ぐのも難しいとなれば、“カネを使わず貯金する”という選択が堅実だ。たとえ高収入でなくとも貯蓄はできる。世帯年収300万円台の節約・貯蓄術を紹介!
低賃金、物価高が進む日本では“稼ぐ”より“使わない”貯蓄が堅実
子どもの教育費や老後資金など、尽きることがない金回りの悩み。そうした不安は十分な資産を持ちさえすれば解消できるわけだが、新型コロナを発端としたインフレが日本の家計を圧迫している。
「石油や小麦といった輸入品の値段が上がる一方、国内生産分の物価は下がり続けています。これは、日本の賃金や企業収益が落ち込み、国内デフレ・海外インフレの状態に陥っていることを意味しています。日本そのものは“安い国”になっているのに、物価は上がっているという最悪の状況ですね」
と指摘するのは経済アナリストの森永卓郎氏。景気が回復する見通しのない今、貯蓄をするなら“カネを使わない”という選択が堅実だという。なかでも節約したいのが、住居費をはじめとする固定費。森永氏は、住居費を削減するなら、都市依存型の生活から脱却すべしと推奨する。
「土地が安い郊外だと、近隣の物価も大都市中心部に比べて安くなる傾向にあり、住居費だけでなく総体的に出費が抑えられる。そこで家庭菜園でもしたら、食料も自給できて一石二鳥ですよ」
無理して働くよりも、節約して豊かに暮らす
また、住居費以外の固定費では、水道光熱費や通信費があげられる。
ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は「固定費削減なら、通信費は格安SIM。ガスは、プロパンしか使えないなら複数の会社から見積もりを出してもらう。電気も同様にプランを比べる程度の手間は必要」だと指摘する。
日用品や服といった生活必需品はフリマアプリを利用して中古で安く揃えるのも手。ネットの利用が当たり前になっている今、手間を惜しまず、自分で価格を見極めることが大切だ。
夫の小遣いの適正は?

さらに、固定費以外でかさみがちなのが夫の小遣い。月手取り25万円の場合、小遣いは1万〇〇〇円程度に抑えるのが適正だという。少々わびしく感じるかもしれないが、「小遣いを多くもらい、夫が家を空けて外で遊び回る生活は、今の時代の主流ではない。若い世帯ほど家族との時間を大切にし、外での浪費は抑える傾向にあります」と藤川氏。
前出の森永氏も「夫が外で長時間働き稼ぎ、消費を楽しむスタイルは過去のもの」と指摘する。
「労働市場は、高い報酬をもらう一握りのハイスキル人材と、低賃金の仕事につく大多数の人々とで二極化しています。低スキルの賃金が低い仕事はどんどんマニュアル化が進み、自由度も低いため、精神をすり減らす人も多い。長時間働くことが、昔よりも辛いものとなっているのです」
ささやかな幸せを噛みしめることこそが令和の貯蓄術
無理して辛い仕事を増やすよりは、たとえ世帯年収が低くても、豊かに生きる方法を模索するほうが幸福に直結する。
固定費や食費をできる限り縮小し、カネを使わない趣味を楽しみ、ささやかな幸せを噛みしめることこそが令和の貯蓄術なのだ。
【経済アナリスト 森永卓郎氏】
東京大学卒業。日本専売公社、シンクタンクなどを経て、獨協大学経済学部教授。新書に『年収200万円でもたのしく暮らせます』
【FP 生活デザイン代表取締役社長 藤川 太氏】
慶應義塾大学卒業後、自動車会社で自動車の研究開発などを経て、’01年家計の見直し相談センターを設立。家計診断は3万世帯を超える
<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/岡崎隆夫 モデル/中嶋秀人 西田優理香>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
