2022年3月3日に出版された『実家に帰りたくありません』(白泉社)は、一見裕福で仲が良さそうに見える家族が抱える闇を、その家族の一員である作者が描いたコミックエッセイです。
本記事では第4話を紹介。著者のイタコさんに、家族に対して問題提起をしようと思ったきっかけや、その結果訪れた家族関係の変化について聞きました。
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家族仲のいい友人には分かってもらえない
――前回までイタコさんと実家のご家族との関係性についてお聞きしてきました。家族間の問題は、家庭環境が違う友人には理解してもらえないツラさがあると思います。
イタコさん(以下、イタコ):ギャンブルとか暴力とかの明確な問題があれば分かってもらいやすいと思うのですが、それは一切ないんです。他人から見ると、むしろ大事に育てられているお嬢さんに見えていたと思います。だから友達にニュアンスを伝えるのがすごく難しくて、「でもいい暮らししてるじゃん」と言われてしまって深刻さが伝わらなかったです。自分でも「もっとツラい人はたくさんいる」と思っていました。
――実家と距離を取りたいと思っていたイタコさんにとってコロナが大きなきっかけになったんですね。
イタコ:コロナで実家に帰ることを断る言い訳ができたのは大きかったです。両親は「家族間で感染してもしょうがないからいいだろう」と言ってましたけど「それは違うんじゃないか」と思いました。
本を読み「毒親」という言葉を知った

※イメージです(以下、同じ)
イタコ:心療内科に直接行くのは怖かったんですけど、コロナ禍でオンライン診療を行っているところが増えていたので「電話で話を聞いてくれるのなら受けてみようかな」と思いました。「まったくの第三者に自分の状況を説明してどう思うかジャッジしてほしい」という気持ちからでした。
――ご自身でもいわゆる「毒親」問題について調べたりされていたのですか?
イタコ:毒親問題やアダルトチルドレン関連の本を読んだりして「当てはまるところと当てはまらないところがあるな」と思っていました。
最初に読んだのが田房永子さんの『母がしんどい』で、初めて「毒親」というワードを知りました。『毒になる親』(スーザン・フォワード 著、玉置悟 翻訳)も読みました。
家族の問題に向き合ったイタコさんの決意
――作品の中でイタコさんが実家の家族と話し合おうと、行動を起こします。なぜ実行できたのでしょうか?
イタコ:「もう全部壊れてもいいや」と思ってやりました。私が一番腹が立っていたのが、子どもの頃から家族は不仲だったのに「家族の絆が大事」と言って仲良し家族を演じることに巻き込まれていることだったんです。それを私が指摘したら親はどういう反応するのか知りたいと思っていました。
――自分の意見を言うのは勇気がいることだったと思います。
イタコ:いつも通り丸め込まれてしまったらまた同じことの繰り返しなので、親の言うことを聞かないところを見せたかった。その結果上手く収まったわけではないですが、意思表明はできたかなと思います。
実家との関係に悩んだらやってみてほしいこと
――現在は「実家に帰れコール」はなくなったのでしょうか?
イタコ:家族のLINEグループがあったのですが、おそらくあの一件があって私は外されたのだと思います。毎日のように来ていたラインが全くなくなりました。姉と両親だけのグループラインを新しく作ったんだと思います。
――ご実家と距離を取ってよかったなと思うことは何ですか?
イタコ:「親に会いに行かなきゃいけない」という義務感がなくなったことです。今はたまに娘が母と話したいというのでビデオ通話をしたり、お正月に1時間くらい会って少し話すくらいになりました。子どもが祖父母と会う機会を完全に奪ってしまうのはよくないので、少しは交流するようにしています。
――同じように実家との関係に悩む読者にアドバイスをお願いします。
イタコ:人によって心地良い実家との距離感は違うと思います。私の姉のように毎日会いに行きたい人もいれば、できるだけ会わないほうが心がラクな人もいます。自分の気持ちに嘘をついていると本当に苦しくなってくるので、まず「自分がどういう距離感にいるのが一番楽なのかな」と素直に見つめなおしてみるといいかもしれません。
<取材・文/都田ミツコ>
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