3匹の猫(ネチコ・ヤンゴトナキ・ネココ)と飼い主の暮らしを描いたコミックエッセイ『あたいとネチコヤン』(新潮社)。作者のもちぎさん(@omoti194)は、Twitterで59万人以上のフォロワーを持ち、これまで自らの半生やゲイ風俗、ゲイバーでの人々との出会いを描いてきました。

あたいとネチコヤン (BUNCH COMICS)/もちぎ作・新潮社刊
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猫同士の喧嘩に巻き込まれ…
――第16話では猫同士の喧嘩を止めに入ったもちぎさんが流血する様子が描かれていましたが、今は落ち着いているのですか?
もちぎ:今はそんなに喧嘩しないですね。昔は野良猫の喧嘩に誘発されて争ったり、猫がお互いに緊張して少し揉めたりしてましたけど、長年一緒に暮らしていたら折り合いが付いてきました。仲良くなくてもお互いの距離感を分かってるんだなと感じます。
――最初の頃はもちぎさんが引っ掻かれて病院に行ったりされてましたね。
もちぎ:いまだに手首に傷跡がめちゃくちゃ残ってます。ワンちゃんや猫ちゃんを飼っている人は何かしら傷を負っていて「名誉の負傷(笑)」と言ったりしますけど、気持ちは分かります。
――漫画の中で、お部屋がにおわないように脱臭機を複数台設置していると描かれていたんですが、綺麗好きなのですか?
もちぎ:あたい、綺麗好きなんですかね?(笑)。食卓の隣に猫のトイレ置いてますし、人間のゲロとかいっぱい受けて衛生面とか気にしたら負けな仕事ばかりしてきたんですけど。基本ズボラですけど、こだわるところはこだわるみたいな感じです。
掃除は毎朝ひと通りして、トイレも用を足したらその都度掃除しています。YouTubeでも猫のトイレ環境や脱臭機のことを載せてるんですけど、人と猫は清潔に対する軸が違うので、両方が幸せに共生するためにもちゃんとしようと思ってます。
ゲイは猫を飼ったら終わり?
――表紙に「ゲイが猫を飼ったら終わりよ!」とありますが、実際にはどうでしたか?
もちぎ:猫と暮らし始めて得るものも我慢するところもあったとは思いますけど、全然後悔はしてないです。
あまり知らない人が来たら猫がビックリすると思って、基本的には家には友人しか入れないんです。自分が人と一緒にいたいとか、誰かに会いに行くために家を長く空けたいと思わないタイプなので、猫と一緒に暮らせるところはあるかもしれません。
――もちぎさんの別作品に登場する恋人的な存在の「オジイ」さんはネチコヤンたちに会ったりしているのでしょうか?
もちぎ:たまに会っていますよ。そのあたりのことはこれから物語に出そうと思ってます。この漫画のテーマは「家族」なので、「猫は家族なのか?」とか「飼い主に新しい家族ができたらペットはないがしろになるのか?」ということを描いていきたいと思います。
本の中で「ゲイは結婚したり子どもを作ったりできないから猫を飼ってるの?」について描きましたけど、ゲイじゃなくても結婚や子どもをどうするかは選ぶことができる時代になってきていると思いますから。
自分で飼うことだけが正解じゃない
――今後、保護猫活動などやってみたいことはありますか?
もちぎ:具体的にはまだ分からないんですけど、自分が「これならずっとできるな」ということを見つけてやりたいと考えています。もちろん1回だけのボランティアもいいと思うんですけど、もっと自分にできることはないかなと思って。自分はたまたまTwitterやYouTubeでたくさんの人に見てもらっているので、そこを生かして何かできたらいいなと思っています。
――例えば4匹目を迎えることは考えていますか?
もちぎ:それはあまり考えてないです。今いる3匹もたまたま偶然が重なってうちに来ただけで、そんなにたくさんの猫と暮らせると思っていなかったので。4匹以上は家の広さ的にも経済的にもしんどいかなと思います。
もし4匹目になりそうな猫ちゃんがいたら、保護して里親を探したいと思います。全部の猫を自分で飼うことだけが正解じゃないと思ってます。
――もちぎさんは今後、人間の家族がほしいと思いますか?
もちぎ:今のところは思わないですけど、居場所はほしいなと思います。今はコロナ禍で飲み屋さんが営業できなかったり、ゲイタウンも街が古くなって新しい子が飲みに来なくなったりしてます。
「SNSがあるからわざわざゲイが集まらなくていい」という感じになってきてはいるんですけど、だからといってみんな寂しくないわけではないと思うし、居場所を求めていると思います。将来は自分の家、猫の家の他に、外で皆と会える場所がほしいなと思っているので、いつか自分でゲイバーをオープンしたいですね。
――もちぎさんのお店には猫を出しますか?
もちぎ:酔っ払いに絡んでほしくないので嫌ですね(笑)。「すみ分けは大事」だと思っていて、今までのエッセイでも「家族でも一緒に住めない人がいる」という話から、ゲイタウンでも「ゲイだけが集まれる店」と「女性も入れる店」があって、すみ分けられていることを描いてきました。猫たちと人間が集まる場所をすみ分けるというテーマも、これから描きたいと思います。
<取材・文/都田ミツコ>
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