ドラマや映画では、音楽など趣味をきっかけに男女が恋に落ちるエピソードはよくありますよね。昨年大ヒットした映画『花束みたいな恋をした』も、少しマニアックな音楽や映画の趣味をきっかけに、惹かれ合うというストーリーでした。しかし現実では、なかなかうまくいかないようです。
「今はYouTubeなどネットで簡単に情報が手に入るので、昔の音楽や海外の映画にも触れることができる。だから、私の趣味は特別なことだとは思っていなかったんです」
そう語る吉村愛理さん(仮名・32歳)は、世間的に“サブカル(サブカルチャー)”や、“アングラ(アンダーグラウンド)”と呼ばれるジャンルの音楽や映画が大好き。しかし、その趣味が恋人との間に亀裂を生むとは、思いもしませんでした。
職場で出会ったハイスペック男性といい感じに
派遣社員として働いていた愛理さんは、役所に派遣された時に仕事でSさんと知り合いました。
「私は繁忙期限定のスタッフで、データ入力や簡単な窓口業務を行なっていました。Sさんは、そこの部署で直属の上司でした。私より2歳下でしたが、見た目が老けていて同じくらいの年齢に見えたんです。周りからの評判だと、彼は難関大学を卒業している高学歴。しかも公務員という好条件にも関わらず、ちょうど彼女もいないようでした」

そんなハイスペックなSさんから誘われる形で、愛理さんは派遣期間が終了する前に一緒にランチを食べに行くことに。
「彼は忙しくてもイライラすることがなくて、仕事の愚痴も言わない。お酒もあまり飲まないし、もちろん煙草やギャンブルなどにも手を出したことがない。良い人なのですが、なんだか一緒にいてもつまらないんです。
趣味の話をしても、彼はマラソンなどの運動が好きなタイプ。たまに深夜に一人で走ったりすると言っていました。でも私からしたら、それはほとんど無趣味に近い感覚でした」
サブカル趣味を「マニアック」と決めつけ
愛理さんの趣味は、休日に一人で映画を観に行ったり、ライブを観に行ったりすること。彼とは対照的に、サブカルな趣味を持っていました。
「BABYMETAL(ヘヴィメタルダンスユニット)のバックバンドをしていた“人間椅子”というバンドがすごく好きなんです。そこから昔のバンドの曲とかも、いろいろと聴き始めたんです。あまり周りと趣味は合わないですが……。
映画もディアオ・イーナン、エドワード・ヤンとか、韓国や中国映画が好きで観ています。ですが、その話をしたらSさんはまったく知らなくて……ちょっと引き気味で『マニアックだね』と言ってきたんです。どの監督も世界的に有名な監督なのに、自分が知らないだけで『マニアック』と決めつけてくるのはイラっとしました」
彼に合わせるべく、趣味の話を封印
しかし、趣味が合わなくても性格やフィーリングが合えば関係ないと思い、Sさんと付き合い始めることになりました。
「私が趣味の話をすると、Sさんがつまらなそうな顔をするので、それからは趣味の話をしないようにしていました。そしたらデートでも観たい映画も一緒に観ることができず、好きな音楽の話もできないので、ストレスが溜まっていく一方。彼がオススメするアーティストの動画も一緒に観たのですが、むちゃくちゃ有名なヒットした曲でした」
彼に合わせようと我慢を続けるにつれ、精神的に疲れていった愛理さん。少しずつ彼との“ズレ”を感じるようになります。
映画デートがきっかけで、まさかの喧嘩
Sさんとデートで映画を観に行くことになった愛理さん。ですが、そこで趣味が合わないことが決定的になります。
「彼が観に行きたいという映画は、テレビドラマの続編でした。私はそのドラマを観ていなかったし、正直、その映画に興味が湧きませんでした。そこで、私から『こういうのはどう?』とミニシアター系の映画を薦めてみると、Sさんは私の趣味を『君の趣味は特殊』『ランキングに入っていないし、世間では有名ではない』と否定してくるんです」
否定されまくりの愛理さんでしたが、Sさんからの批判は止まりません。
「最後には『君は野球とかスポーツを知らな過ぎる』と言ってきたんです。確かにスポーツに興味はなかったですが、彼は私を否定するばかりで、私の趣味を認めなかったことに腹が立って別れました」

その後、SNSでSさんに新しい彼女ができたことを知ったといいます。
「Sさんと同じように、国立大を出た高学歴の女性と付き合っていました。趣味のスポーツサークルで知り合ったみたいで、きっと育った環境や好きなものも似ていたんでしょうね……」
「似た者同士」という言葉もありますが、恋愛ではあまりにもかけ離れたタイプとはうまくいきにくいのかもしれません。
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<文/池守りぜね イラスト/磋藤にゅすけ>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
