パタパタ発車案内装置とは?
パタパタと音をたてながら表示を変えていく発車案内装置。正式名称は「反転フラップ式案内表示機」あるいは開発したイタリアの会社名から「ソラリ―・ボード」(Solari Board)と呼ばれている。
かつては、世界中の空港や駅で案内板として使われてきたが、LEDやLCDに取って代わられつつある。首都圏の鉄道では、京急川崎駅(神奈川県川崎市)が最後のものであったが、2022年2月中旬に引退し、LED化されることが決まった。
これが発表されると、別れを惜しむ人が最後の雄姿を一目見ようと集まりだし、京急はイベントや記念乗車券、グッズの販売を企画、メディアでも相次いで報道され、大いに話題になっている。
実は関西では、まだ現役でこの装置が使用されている場所が多い。引退間近となった京急川崎駅のパタパタ発車案内装置とともに、各種発車案内板について調べてみたので紹介しよう。
首都圏最後というレアな京急川崎駅のパタパタ発車案内装置

京急川崎駅は京急本線が行き交う高架ホームが2本と大師線が発着する地平ホームがある。改札口付近の発車案内と大師線の案内はすでにLED化されていて、高架ホーム上の案内だけがパタパタ式として残っている。
上下線ともに、先発、次発、次々発と3本の電車の発着番線、列車種別、行き先、発車時刻、編成の車両数、特記事項が表示される。そして先発電車が発車するとすぐに表記事項が次々と書き換えられていく。
少々時間をおいて書き換えられるので、断続的にパタパタと音をたてていく。アナログでレトロな感じもして駅の風物詩となっていた。
この「フラップ式列車発車案内表示装置」が京急川崎駅にお目見えしたのは1986年12月25日のことで京急線では初だった。その後、品川、横浜、京急久里浜、横須賀中央など主要駅にも採用され最盛期には10駅ほどに設置されていたとのこと。
しかしLEDが普及し、カラーで見やすくなったこと、様々な表示が可能になるなど利便性も向上したことなどから取り換えが進み、2013年には京急川崎駅や横浜、横須賀中央駅など5駅に減っていた。

パタパタは保守点検が必要であるし、列車ダイヤ改正などで変更があると案内板を追加しなければならず手間がかかる。メーカーでの製造が中止になり、パーツなどの調達が厳しくなったこともあって引退が決まった。
京急川崎駅のものは、初代から更新が行われた二代目の発車案内装置だったが、今回の更新工事で35年間の歴史に幕を閉じることになる。
まだまだ健在、関西圏のパタパタ(ソラリ―)

ところで、首都圏からは完全に姿を消すパタパタも、関西圏の私鉄ではまだまだ健在だ。こちらでは、パタパタではなくソラリ―と呼ぶ人が多いようだ。もっとも、主要駅からはほとんど引退してしまったが、近鉄では使用していた駅数が多いこともあり、まだ30駅近くでその健在ぶりを披露している。
コロナ禍前に訪問した駅(近鉄京都線の大久保駅、近鉄大阪線の大和高田駅)でたまたま撮影したパタパタは2022年1月現在、現役であることが確認されている。

また、近鉄では特急停車駅において車両の乗降口案内(〇号車)にパタパタを使っていた。他社では見かけないユニークなものだった。

南海電鉄にも数多くあった。写真は本線の羽衣駅のもの。しかし、2021年5月に駅の高架化が完成し、パタパタは役目を終えた。

ヨーロッパのターミナル駅の名物だった巨大なパタパタ

一方、10年以上前に訪問したヨーロッパ各国のターミナル駅ではパタパタが健在で、大変スケールの大きな案内装置に圧倒されたものである。


さまざまな発車案内板
発車案内板は、大昔は手書きの板を置き換えるという原始的な方法で操作していた。これは鉄道博物館で見ることができる。

また、電車やバスの前方に設置されていた方向幕と同様の幕式案内装置も東海道新幹線や各路線で見ることができた。最後まで使われていたのは、近鉄の河内長野駅のものだったが、2020年1月末をもって引退している。
反転フラップ式案内装置は、鉄道の他、世界各地の空港でも見ることができたが、次第にその数は減ってきている。日本では大阪国際空港、宮崎空港、函館空港で現役だ。旅の脇役として活躍し、各地で風物詩となっていたパタパタが完全に引退する日もそう遠くはないようである。
資料提供=京浜急行電鉄
執筆者:野田 隆(鉄道ガイド)