2021年1~11月、女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとにBEST5まで紹介します。こちらは、「グルメ・ビューティ」ジャンルの人気記事です。(初公開日は5月20日)
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高身長&スレンダーなスーパーモデルがブームとなったのは今からおよそ30年前――時代は変わり、現在ではふくよかな体形のモデルが注目を集めるように。背景には何があるのか、海外での事情も含めリポートする!
注目を集める「プラスサイズモデル」
欧米では数年前から「プラスサイズモデル」の存在が注目を集めている。いわゆる「大きめサイズのモデル」で、ぽっちゃり体形から体重100㎏超まで、ふくよかな女性が活躍しているのだ。女性ファッション誌の編集者は言う。
「欧米では、一般女性が着る洋服の平均サイズが16~18号(LL~4L)となっており、広告に起用されている細身のモデルは実態にそぐわないと指摘されるようになりました。’17年にアシュリー・グラハムがプラスサイズモデルとして初めて米ヴォーグ誌の表紙を飾ったのを皮切りに、ファッションショーで彼女たちが活躍する機会が増えました。日本ではぽっちゃり向けブランドを立ち上げた渡辺直美さんが第一人者でしょう」
昨年の調査では、米国の成人肥満率は42.4%(Trust for America’s Health調べ)にもなる。プラスサイズモデルは、エンドユーザーの共感を持って受け入れられる土壌があるのだ。
不利だと思われていた要素を、個性として売り出す時代に
女性が自分らしく生きることが世界的なテーマとなるなか、肥満体形であることでコンプレックスを煽り、画一的な美の基準に当てはめることへの批判は多い。
ミスコンアドバイザーで現役モデルとしても活躍する林田季子氏は次のように語る。
「ダイバーシティ(多様性)が推進される現在では、ファッション業界においてもマイノリティのモデルが必要とされるようになりました。私自身、39歳と若くなく、かつアジア人です。でも今ではミラノコレクションのランウェイに出られるなど活躍の場が用意されています。これまで不利だと思われていた要素は、個性として売り出す時代になってきたのです」
ブームが日本上陸か!?コンテストが今秋開催へ
そして今、その波が日本に上陸しようとしている。「トゥデイズウーマン プラスサイズビューティーコンテスト」が今秋、日本で初開催されるのだ。創設者のスティーブン・ヘインズ氏は言う。
「これまでミスインターナショナル吉松育美や、はるな愛など世界一の女性を輩出してきました。出場するのも、クイーンに選ばれるのもスレンダーな女性たちばかり。しかし、観客や裏方スタッフの中にプラスサイズの女性たちがいて、その中にはステージに立ちたいと夢見る方もいました。人間として大切なのはボディサイズではありません。心のサイズですよ」
ヘインズ氏によると3月のエントリー開始以降、予想以上の応募があったという。
すでに世界で活躍している日本人のプラスサイズモデル
一方、すでに世界で活躍している日本人のプラスサイズモデルがいる。「米国ではもはや太いふとももや大きなお尻はトレンドになりつつある」と話すのは、ハリウッドで活躍する女優でモデルの藤井美穂さんだ。
「知人から『ミホの脚はセクシーだから出していったほうがいい』とアドバイスされ、プラスサイズモデルの方たちが出演するYouTube番組に出たのがきっかけです。以降、インスタのフォロワーも急増し『セクシーだね』と褒め言葉をいただくことも多くなりました。近年、体形への捉え方が変わってきているなと感じます。他人の体形はプライバシーで、他人がどうこう言うことではないという風潮になっています」
実際に、オーディションでもプラスサイズを条件とするものが増えており、仕事も取りやすくなったそうだ。SNSでも「私も同じ体形なので参考になります」など藤井さんに憧れる女性からのメッセージがいくつも届く。
「大きなお尻は子供の頃からコンプレックスでした。『私もセクシーなんだ』と肯定的に思えるようになったのは最近になってから。コンプレックスが一転して魅力になったので、自分自身やや戸惑うところもあります(笑)」

「私、外国人にはモテます」
ブームが日本にも押し寄せつつあるなか、鼻息を荒くする女性がいる。先に紹介したコンテストにもエントリーしたというお笑い芸人の八つ橋てまりさんだ。
「ようやく私の時代が来た! 私はモテるんですが相手は外国人が多い。つい先日もナイジェリア人にナンパされました。常々、日本の男って見る目ないと思いますよ。プラスサイズモデルが認知されれば、世の中も変わると思います」
「シャネルのモデルになる」という夢を持つ八つ橋さん。バラエティ番組では芸人として体形をいじられることも多いが、独特なポジティブな返しが芸風だ。
「女優を目指していた時期もあるんですが、狭き門で……。お笑いでこの体形を武器にしたら仕事の幅も広がり、みんなに顔を覚えてもらえて嬉しいです」(八つ橋さん)
「不健康な体形を晒すな」と批判の声も
世界や日本で活躍するプラスサイズモデルが増える一方で、健康に関する議論もある。
「海外の有名モデルのインスタには『肥満を推奨している』『不健康な体形を晒すな』という中傷コメントも少なくありません。また、人気にあやかろうと、欧米のモデルエージェントの中には体重の増加を指導するところも出てきています。多くの論争が巻き起こっているのも事実です」(前出の女性ファッション誌編集者)
賛否両論が渦巻くなか、肥満と疾患の相関関係にはさまざまな研究結果があり、必ずしも体重が多い人は病気にかかりやすいというわけではない。それよりも、「痩せないといけない」という強迫観念こそ不健康の要因になりそうだ。
「生まれたときの体重が4080gというビッグサイズで、成人してからは100~120㎏が私の標準体重。ぽっちゃりがはやっているから太る、スレンダーだとオシャレだし褒められるから痩せる……と自分の体形を流行や周囲の評価に合わせて変えるほうが精神衛生上、よくない」(八つ橋さん)
プラスサイズモデルの日本上陸は、ありのままの体形を肯定的に受け入れる「ボディ・ポジティブ」が日本に定着するきっかけになるかもしれない。
【藤井美穂さん】
役者として活躍の幅を広げるため、5年前にハリウッドに渡航。160㎝、80㎏のボディを生かし、’17年頃よりプラスサイズモデルとしても活動を開始。SNSでの言動も注目を集める
【八つ橋てまりさん】
お笑い芸人。一目見たら忘れられない165㎝、120㎏のビッグボディがチャームポイント。若い頃からよくもてるため、“恋多き幸せなブスでありデブ”という異名で各メディアで活躍中
<取材・文/中山美里(オフィスキング)>
(エディタ(Editor):dutyadmin)



