これからの年末年始のシーズン。いつもだったら帰省をする準備をし始める頃ではないでしょうか。ただ、現在の社会状況ではなかなか判断が難しい側面もあるかもしれません。
帰省は楽しみな反面、義実家との付き合いが悩みの種になってしまう方も少なくないのではないでしょうか。そんな中で、妻が嫌な思いをしたときに前に出て守ってくれる旦那さんだったらとても心強いですよね。今回はそんなエピソードをご紹介します。
年末年始は義実家で過ごすのが恒例
「あれは数年前の出来事でした」
そう話すのはY美さん(仮名・40歳)。Y美さんの一家は年末にT夫さんの実家へ帰省して年明けまで過ごすことが恒例となっています。昨年と今年はそれも無くなってしまいましたが、これまではY美さんの家族の一大行事でした。
「子どもと夫は楽しみにしていましたが、私はやっぱり気が重かったですね」
T夫さんの妹夫婦も子連れで帰省するため、賑やかな行事となっている反面、Y美さんとしては義実家で気を回さなければいけないため、ゆっくりなんてできません。
夜は皆で鍋料理を食べるのも恒例イベントとなっていました。子どもたちは既に満腹で隣の部屋でゲームをして遊んでいます。酒が進む大人たちの話題は次第に昔話へと移り変わっていきました。
義母の思い出トークが止まらない
「T夫はあれだよね。しょっちゅう遺跡巡りをしてたわよね」と義母が話し始めました。これは義母の定番の話のようでY美さんたちは、何十回と同じ話を聞かされていたそうです。それでもY美さんはにこやかに話を聞くふりをしています。
「『父さんに似たのか古いことに興味があってね。ウチの息子は昔っから~』って絶好調になるんです。ちなみに、義父は5年前に亡くなっています」
その頃には夫もかなりお酒が回っている様子だったそうです。義母の思い出トークはとどまることを知りません。
夫の元カノ話に気まずくなる
「あんた、ホレ、大学3年の夏に泊まりがけで奈良に行ったじゃない? 帰ってから写真見せてくれて、一緒に行ったガールフレンドを自慢してたの、母さん覚えてるわ」と大学時代の元カノの話題になりました。

「私が付き合う一個前の彼女の話を、お義母さんがしだしたんです。いくら昔のこととは言え、いい気はしなかったので、うつむいていました」
「確か、一つ下のテニスサークルで知り合ったサラサラ髪の目のクリっとした女の子、母さんよく覚えてるわ~」と義理母。
悪気があってこの話をしているわけではないのでしょうが、それでも、段々と場が凍りついていきます。妹夫婦も気まずそうに曖昧に返事をしていました。
怒鳴り声をあげ出ていく夫
「いい加減にしろよ!」とT夫さんはいきなり怒鳴り声を上げました。そして、まだ野菜などの具材が残っていた盆を畳に放り投げました。

「Y美が嫌な顔してるのが分かんないのかよ、気ぃ悪いわ」
T夫さんは立ち上がって、コンビニに行ってしまいました。Y美さんは「お義母さん、大丈夫ですか?」と気を配りながら、床に落ちた残骸を片付けていました。びっくりしてしょげた様子の義母さんを不憫に思ったそうでしたが、アルコールもだいぶ回っていたためなのか、しばらくすると機嫌が元通り。
Y美さんを思うT夫さんの気持ちも分からなくはありませんが、それにしても食べ物を畳に投げ捨てるほどのことなのか、どうしても気になってしまうところです。
「ありがとう、パパ」
「夫の方もコンビニに行って頭が冷えたのか、しばらくしてスッキリした顔をして帰ってきました。その時、夫が妙に頼もしく思えたんです」
玄関先でT夫さんを1人で出迎えたY美さんは、他の家族が見ていないのを見計らってから、ハグをして「ありがとう、パパ」と囁いてキスをしたのだそうです。
確かにいくら妻が居心地の悪い思いをしたとしても、物に当たるのは褒められたことではありません。しかし、笑って流されるよりはよっぽど良かった、とY美さんは言います。
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<文/浅川玲奈>
(エディタ(Editor):dutyadmin)


