ファッション誌やCMのほか、『逃げるは恥だが役に立つ』『ルパンの娘』など数々の人気ドラマのスタイリングも手掛けるスタイリストの亘つぐみさん。インスタグラム(@tsugumiw)で披露しているご自身のファッションもおしゃれで、多くのモデルや女優からも絶大な支持を得ています。
亘さんのコーデはどれも洗練されていて、シンプルなのに華やかさがあるのが印象的。昨年60歳を迎えられたそうですが、年齢などまったく感じさせない魅力にあふれています。
そんな亘さんに「服選び&着こなしのマイルール」を教えてもらった前回に続き、今回は「アラフォー女性がおしゃれに見せるコツ」を聞きました!
【前回記事】⇒人気スタイリスト・亘つぐみさんに聞く 「服選び&着こなしのマイルール」
【前回記事】⇒「逃げ恥」スタイリストに聞く“みくりコーデ”の秘密。ドラマが2倍楽しくなる
アラフォーになったら“ひとつ上質なもの”を
――アラフォーのファッションって難しいですよね。似合わない服が増えた気がして、何を着たらいいかわからなくなってくるというか……。
亘つぐみさん(以下、亘)「そうかもしれませんが、歳を重ねたら、『似合わないかも』ということよりも『何か上質なものをひとつ取り入れる』ということを気にしたほうがいいと思います。上質なものでコーデを締めれば、短めのスカートを履いていようとすごいダメージのデニムを履いていようと、上品できれいに見えますから」
――なるほど。若い人は全身チープなモノでもそれなりに見えますけど、アラフォーだと残念な感じになりますもんね。なんででしょう?
亘「若さが放つエネルギーのおかげですよね(笑)。その代わり、アラフォーは若さにはない大人の魅力で勝負すればいいんです」
大人の魅力は「出す」のでなく「出る」もの
――上質なものを取り入れれば大人の魅力を出せますか?
亘「大人の魅力って、出すものじゃなくて自然に出るものですから。だからまずは、何か上質なものを取り入れたりして、身につけるもののバランスを考えることから始めるんです。そうやってバランスよく見せることをマスターすれば、何事においてもバランスよく考えて動くことができるようになって自信がつき、その自信で落ち着いた美しい女性に見えていくんだと思いますよ」
――やみくもに上質なものを取り入れるのではなく、「上質なものでバランスよく見せる」という意識を持つことが大切なんですね。
“着こなしの小技”でだらしなく見せない
――素材で勝負できる若い頃と違い、アラフォーほど着こなしも大事になってきますよね。前回お話されていた、「紐を絞ってフードを立たせるとだらしなく見えない」みたいな。

亘「大事ですね。歳を重ねるほど、少しだらしないだけでおしゃれに見えなくなりますから、だらしくなく見せない着こなしの小技を使ってほしいです。締めるところとゆとりをもたせるところのメリハリをちゃんとつけるとか」
――シャツの襟などもピシッとさせたほうがいいですか?
亘「シャツの襟だったら、ボタンをきちんと留めてその上からパールのネックレスを覗かせたり、ボタンを少し開けて小さなスカーフを首に巻いたりするのがおすすめですね。きちんと感が出るし、首のシワも見えなくなりますから。顔回りも明るく見えますよ」
――アラもカバーできるいい小技ですね!
丈は必ず“お直し”したほうがいい
亘「それと、前回もお話しましたけど“丈感”は大事ですね。足首がちょっと見えるか隠れるかという微妙な長さの違いで、垢抜けて見えることもあればだらしなく見えることもあるので。だから、既成のものを買って終わりにせず、鏡の前でいろんな長さに裾を折ってみて、ちゃんとチェックしたほうがいいと思います」
――自分の体型と長く付き合ってきているアラフォーだからこそ、自分に似合う長さが分かるはずですもんね。
亘「そうですね。体型に合わせて調整するだけで見た目がぜんぜん違ってくるので、『直すのが面倒』なんて言わないでひと手間かけるべきですね。買ったお店で直す時間がなくても、家に帰ってから鏡で見定めて、安全ピンで留めてお直ししてくれるところに持って行けばいいだけなので」
――クリーニング屋さんなどでもお直ししてくれますもんね。
亘「丈感が合っていれば個性的なファッションでもしっくりくるものなので、自分のしたいファッションを楽しみやすくなりますよ」
「なんだか可愛く見える色」を探す
――色選びについてはどうですか? イエベとかブルべとかパーソナルカラーを気にする人もいますけど。
亘「気分の上がる好きな色を選ぶのが一番ですけど、顔映りのいい色・悪い色は確かにありますよね。私の場合、キャメルは顔映りが悪くなって似合わないんです。今日は全身ベージュトーンで揃えたかったんですけど、顔映りを考えてトップスはブラウンにして、バッグをキャメルにしました(笑)」
――顔映りって歳を重ねるほどに気になりますよね。たたでさえくすんでくるし。
亘「そうですよね。だから好きな色を選んでいいのですが、その中で自分に合う色味やトーンのものを選ぶんです。どんな色にもいろんな色味やトーンがありますからね。自分に合う色を身につけると、ブラッシュアップされて素材以上にかわいく見えますよ」
――自分に合う色って自分でもわかるものですか?
亘「顔に合わせてみたときに、『なんだか可愛く見えるな』という色が自分に合う色ってこと。可愛く見えればOKです(笑)。しっかり観察すれば、より明るく美しく見えたり、顔がぼやけず締まってみえたりするのもわかるはずです」
体型を隠すように服を着るのはやめる
亘「アラフォーにはもうひとつ大事なことがあって、それは体型を隠すように服を着るのはやめることなんですよね」

――あ~。アラフォーになると隠したい部分が増えてきて、やっちゃいがちですよね。
亘「私も同じで、40代の頃は隠しちゃってたんです。そのせいでお腹周りにどんどん肉がついて……。隠すような着方をすればするほどその部分を意識しなくなるので、絶対に肉がつきます。しかも、隠すような着方って“隠してる感”が他人にもわかるので、美しく見えないんですよね」
――好きで選んだ服ではなく隠すために選んだ服ってことですもんね。着こなしもテキトーになるかも。亘さんも隠してた頃はそうなってました?
亘「常に隠すような着方をしていたわけではないんですけど、気づけばデニムにインしていたトップスをいつもオーバーにしていて、それが嫌だなと思って。だから、50歳から運動を始めたんです。まずは筋トレから始めて、55歳からは柔術も始めて。結果的に体重は増えましたが、大事なのは体重より見た目。余計な部分が締まって堂々とインして着れるようになったし、満足してます」
体のケアができていないとオシャレも楽しめない
――体型的に制限されるとおしゃれを楽しめなくなりますよね。それを悪化させないためには、早めに隠すような着方をやめて体型を改めていく方向に持っていったほうがいいですね。
亘「これからの時代は健康がとても大事なので、そういう意味でも体はちゃんとケアしたほうがいいと思います。人間の体は食べ物でできているので、まずは食べ物にちゃんと気をつけて。体にいいものを食べると元気になって、元気になるとポジティブになって、ポジティブになると運動や仕事への意欲がわいて、オシャレもしたくなるんです。『私はこんなの似合わないんじゃないか』という否定的な考え方をしなくなりますからね。つまり、元気じゃないとおしゃれは楽しめないんです」
――おしゃれは元気から。アラフォーは心に刻んでおいたほうがいいですね!
【亘つぐみ(わたり・つぐみ)】
東京生まれ。スタイリスト。「VOGUE」「ELLE」「HERS」etc…の雑誌、写真集、広告やCM、映画・ドラマ、ビジュアル制作・ディレクション、ファッションショー、ブランドプロデュースなど、その活動分野は多岐にわたる。著書『女らしさはけせない』では女性らしく輝き続ける方法を伝授。2021年春には自身がディレクションするボディウェアブランド「TW」がデビュー。Instagram:@tsugumiw、YouTube:Tsugumi W
<取材・文/持丸千乃 写真/林紘輝>
(エディタ(Editor):dutyadmin)




