バストの豊かな女性を見ると、同性でもつい目が行ってしまうことはありませんか? 「うらやましい」と思ったり、単純に「美しいなあ」と思ったり。しかし、どうでしょう。憧れられる本人たちは、それぞれ意外な悩みを抱えているそうです。
取材中、彼女の肩には何枚もの茶色い湿布が……
小学生の頃から豊満な胸に悩まされてきたと語るのは、都内の証券会社で働く水川りなさん(29歳・仮名)です。胸の大きさはおよそHカップ。“胸の大きな人の悩みあるある”を教えてくれました。
「うちの家系は遺伝なのか女性はみんな胸が大きいのですが、学生時代から周りの友達に『どうしたらそんなに大きくなるの?』『何を食べてるの?』と、本当によく聞かれます。でも特別なにかをしているわけではないので、『ただの遺伝だよ』と言うのですが、それがなかなか信じてもらえない。そしていつも、『もったいぶってる』とか、『胸をわざと強調して見せつけてる』など勝手な悪口を言われて……。
妹も同じように大きくて、姉妹そろってなるべく胸が目立たないように、周りから何も言われないようにと前かがみになって猫背で生活するクセが付いてしまいました」
そんな“クセ”の影響で、ある弊害が起きてしまったそうです。

「前かがみになっているからか、慢性的な肩こりが本当につらいんです。元々何キロっていう脂肪がついているので、普段から気持ち重心が前のめりになっているような感覚。冗談じゃなくて実際にそうなんですよ。だから学生時代から湿布(しっぷ)を手放せないし、鍼灸にも通っています。お金も時間もかかるし、本当に大きすぎる胸を持つのはしんどい。
何事も“ほどよく、ちょっと足りないくらいがベスト”なんですよね……」
遠くを見ながらボソッと呟く水川さん。たしかに取材中、首のつけ根から肩にかけて幾重にも貼り重ねられた茶色の湿布が見え隠れしていました。湿布の枚数が、肩こりの辛さを物語っています。
「胸全体が垂れて、乳首が真下を向いています」
「大きな胸とか、ものすごくうらやましい」とか思ってすみません。
「いいですよ(笑)。大体の人にそう言われますし。でも実は一年中言われるわけではなくて。春夏の薄着の季節に、体のラインが出てはじめて『胸が大きい』ってわかるんですよ」
と、いいますと……?
「服を着こむ冬場だと、かなりの確率で『ただの上半身デブ』と思われるんです。それに私は鎖骨の下から全体的に盛り上がっている“はと胸”タイプなので、体のラインが全体的に丸いんです。ついでに言うと、元々生まれつき胸全体が垂れているのが本当にイヤでイヤで……」

女性の胸の形は、おわんをひっくり返したような半球型や、比較的上向きの三角状、そしてトップとアンダーの高低差が大きく垂れやすい釣り鐘型などがあるそうです。
「私は完全に先端が下を向いている“超・釣り鐘型”です。大胸筋を鍛えて垂れるのを防ごうと週3でずっとジムで筋トレもしましたが、効果なし。ナイトブラをしても何も変わらず、大きさと一緒でこれも遺伝みたいです。母や祖母もそう。すごいんですよ、お風呂上りに鏡を見ると乳首が真下を向いていて。服の上から探そうにも、下から突き上げないと見つからないくらい(笑)。垂れてるとかそういうレベルじゃなくて、乳首がマジ真下。いや、本当に笑いごとではないんです」
「胸は大きさだけではなく、形も遺伝の要素が大きい」と熱く自論を語る水川さん。しかし、彼女の悩みはこれだけではありません。
夏のブラの中は、想像を絶する“地獄”になる
胸が大きいことで、お風呂上りのスキンケアも大変。化粧水や乳液を手早くつけたのち、彼女の場合はさらに、よく赤ちゃんの“あせも”やおむつの蒸れを防ぐのに使われる「ベビーパウダー」が大量に必要になるそうです。

「ボリュームがある上に垂れ気味なので、普通にお風呂上りに軽くふいただけでは、アンダーに接触している胸の下の部分がいつまでたっても乾きません。だから即効で湿気を取ってくれてサラサラになるパウダーは必須。自立する細長いシェーカータイプのもので、大体月に3~4本は使っちゃいます。
夏場なんてもっとひどくて、お風呂上りで汗がひかないし、ドライヤーで髪を乾かしていても、熱でじっとりとまた胸の下が汗ばむんです。日中もブラのパッドがびしょ濡れになるので、こまめにパウダーを付けてなんとかやりすごしています。夏は月に軽く5本は使います。
付けないとすぐにあせもができて、掻きすぎて傷になる。そうなるともう大変で、常に重さで肌が密着してるから、化膿したり皮がめくれた状態になったりでとにかく痛いんです。治るのに時間がかかるし辛いので、貼ると体液で白く盛り上がるようなちょっとお高いキズパワーパッドを何回も貼り換えないといけなくて……。コストも時間も相当かかります」
たかかあせも、されどあせも。皮膚の再生を早める絆創膏は1箱10枚入りで7~800円ほど。外出時もなにがあるか分からないと、予備のパウダーと絆創膏を持ち歩くそうです。
胸の大きな女性の悩みを知って欲しい
最後に水川さんはこう訴えます。
「こんな風に悩みを人に話しても、まだ『それでもうらやましい』『自虐ぶってるけど、遠回しに自慢してるんでしょ(笑)』と、辛さを分かってもらえないことがとにかく多いです。
少しでも使うパウダーの量やお金をおさえたくて、胸の下にライターを縦に挟んで乳を浮かせて乾かしてみたり、テーブルの上に両方の乳房を乗せてドライヤーの冷風を当て続けたり……。冗談でもなんでもなくて、毎日のようにやってる本当のことなんです。もうその光景たるや、女を完全に捨てて自分でもちょっと笑える。とにかく、胸の大きな女性も色々悩んでるってことを知ってもらえたら嬉しいです」
人生はないものねだり。青々と見える隣の芝生も、そこには相当の苦労が隠されているのかもしれません……。
―私のコンプレックス―
<取材・文&イラスト/赤山ひかる>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
