こんにちは、恋愛ジャーナリストのおおしまりえです。
避妊について、もう一度学ぼう

昨年、アフターピル(緊急避妊薬)を処方箋なしで購入出来るようにするか、政府が検討をする方針だと発表されました。アメリカやドイツなど医師の処方箋なしで薬局で購入できる国が世界90カ国以上ある一方、日本では受診・処方箋が必要で、また費用も高額という現状があります。
アフターピルだけでなく、日本では避妊について選択肢が限られるだけでなく、知識や常識にも偏りがあります。望まない妊娠をしないためにも、相手任せにしない避妊との関わり方について、考えてみてはどうでしょう。前回記事に引き続き、性教育YouTuberとして活動する、助産師のシオリーヌさんに話を聞きました。
避妊とは女性が選択すること、そして2人で相談しあうこと
避妊について女性側が考え、そしてアクションを起こす。ポジティブな行動ですが、まだまだハードルが高かったり、場合によっては「性に対して積極的」という見え方になることもあります。
でも、自分の体を自分で守るためにも重要なこと。避妊について、どう考えればよいのでしょう。
「日本で避妊といえば、コンドーム、低用量ピル、あとはIUD(避妊リング)やIUS(ミレーナ)などの避妊具を挿入する方法があります。まずはそれぞれがどういった機能かを知り、価格や環境、体質によって選べるようにしておきましょう」(シオリーヌさん。以下同)
今でこそ割とフラットに避妊について語られるようになりましたが、著者(30代)が10代の頃は「コンドームは男性が持つもの」といった偏見がまだ強かったですし、今でも女性側が用意すること、そして自分から「つけて」と申し出ることに苦手意識を持つ人は多いです。この偏見は、どう打開していけば良いのでしょう?
「まず誰からの偏見を恐れているのかを考えて欲しいです。パートナーからの偏見なら、本来避妊法は2人で相談しあって決めてよいものなのだということを知ってほしいです」
たしかに2人で話し合えたら良いですが、行為中にそれを持ちかけるわけにもいかず、空気が悪くなってしまうのも怖い……という女性は多いのではないでしょうか。
昔の私も、その一人でした。当時は毎回、その瞬間相手がどう出てくるか、冷や冷やしていた記憶があります。そこに提案するとか、話し合うという選択肢はなかったように思います。でもそれは、女性としての優しさでも何でもなく、ただ自分を主体的に守ることを放棄していたのだと今は思います。
彼氏がつけてくれない問題、どう考える?
とはいえ、彼氏が「つけたくない」と言えば、嫌われたくないから受け入れてしまう女性も多いのが現実ですよね。その場合、私たちはどう考え、そして自分を守っていけばよいのでしょう。
「そもそもなぜ、『女性がお願いする側』なのか、ということを考えて欲しいです。妊娠するのは女性です。つまり女性には避妊に対する絶対的な選択権があるんです。妊娠したくないと考え、避妊したいと決めたなら、その判断は誰も覆すことができないはずなんです。
それに対して、男性側が『つけなくてもいい?』と交渉する余地は本来ありません。私たちは『自分の体のことは自分で決める権利がある』ということを、あまり知らない人が多いんです」
彼の機嫌を損ねたらどうしよう。怖くて言えない。そんな女性心理を理解しているからこそ、言えない女性が悪いのではなく、自分で決めていいという当たり前の権利を伝えていきたいとシオリーヌさんは話します。
「女性はどうしても“受け入れる性”になりがちですよね。ちなみにいきなりこの話題を彼に出すのが怖いという方に、『つけたがらない男性たちへ』という動画もアップしています。これは言えない女性の代わりに、私が避妊の選択権について話したものです。ぜひこういった動画をシェアすることで、2人のコミュニケーションのキッカケになればいいなと思っています」
「自分の体のことは自分で決める権利がある」。言われてみれば当たり前なのに、なぜか私たちは、情がうつると相手に合わせることばかり考えてしまいがちです。まずは避妊を選ぶ権利は自分にあるという事実を、心に染み込ませていければと思います。
アフターピルの使用は悪いことではない!
今、アフターピルの販路拡大が検討されています。でも、アフターピルについて、きちんと知らない人が多いのも事実。その結果「避妊に失敗した、だらしない人が頼るもの」なんてネガティブなイメージを持つ人がいるかもしれません。
「アフターピルは、何かあったときに頼れる選択肢の1つと覚えてもらえればと思います。またアフターピル=飲めば妊娠しない、ではなく、避妊が失敗するリスクもあります。アフターピルは72時間以内に服用できたら緊急避妊(排卵を防ぎ、受精をしても着床しにくくする)ができるものですが、服用時間が遅くなるほど避妊確率が下がる特性もあります。常用は避けるべきですし、妊娠を望んでいない時期ならば、低用量ピルなどの方法で避妊に取り組む必要があります」
避妊について、主体的に考えていこう

また最近では低用量ピルを安く手に入れるため、個人輸入する人もいるそうです。シオリーヌさんは、これも非常に危険だと指摘します。
「個人輸入は、産婦人科医もリスクを指摘しています。理由としては、通販サイトや転売サイトでの商品は、安全が保証されたものではないからです。それは有名メーカーだと書かれた製品もしかりです。
そもそも避妊に限らず、自分の体の健康とリスク管理は、適切な知識を持って取り組んで欲しいです。それが避妊であり、婦人科検診やパートナーとのコミュニケーションです。アフターピルといった話題になると、人によっては『自分には関係ない』と興味を持たないかもしれませんが、自分の身体と権利を守るために、正しい知識を持ってもらえればと思います」
避妊について改めて考えてみると、知識こそある程度あったとしても、ここまで主体的に考えたことってあまりなかったように思います。例えばこれが妊活なら、多くの女性は自分で考え、調べ、そして行動を起こすでしょう。それと同じように、避妊についても知識と選択肢を持ち、そして自分自身の希望する人生を歩むための行動を取れればよいなと思うのでした。
【お話を聞いた人】
シオリーヌ(大貫 詩織)
助産師/性教育YouTuber
総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベントの講師を務める。性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。オンラインサロン「yottoko labo」運営。著書「CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識」(イースト・プレス)
YouTube:【性教育YouTuber】シオリーヌ
<取材・文・イラスト/おおしまりえ>おおしまりえ
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518
(エディタ(Editor):dutyadmin)

