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「男性は性欲を抑えられない」はウソ。性に依存する人の“頭の中” | ビューティーガール

時刻(time):2020-12-31 08:21源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
セックスや自慰行為などの性行動を強迫的に繰り返してしまい、それが原因で社会的損失や身体的損失、さらに経済的損失を被ってしまう「セックス依存症」の問題。 昨今は芸能人の不倫スキャンダルなどがきっかけとなり、依存症の一種として広く知られるようになりました。 セックス依存症は“性欲が強いだけ”ではない ※画像はイメージです(以下、同じ) セック

 セックスや自慰行為などの性行動を強迫的に繰り返してしまい、それが原因で社会的損失や身体的損失、さらに経済的損失を被ってしまう「セックス依存症」の問題。

 昨今は芸能人の不倫スキャンダルなどがきっかけとなり、依存症の一種として広く知られるようになりました。

セックス依存症は“性欲が強いだけ”ではない


カップル

※画像はイメージです(以下、同じ)

 セックス依存症と聞くと、あくまで当事者の抑えられないほどの性欲の強さや性的嗜好の問題として解釈されがちです。しかし、ソーシャルワーカー(精神保健福祉士・社会福祉士)として、長年さまざまな依存症分野の臨床に携わってきた斉藤章佳さんは、新著『セックス依存症』(幻冬舎刊)のなかで、

「セックス依存症の本質は『性欲の問題』ではなく、実際はもっと複雑で、さまざまな複合的要因が絡み合った問題である」

 と述べています。今回は、斉藤さんがセックス依存症の背景のひとつとして挙げる「社会構造の問題」に焦点をあて、解説してもらいます(以下、斉藤さんの寄稿)。




「男性は性欲がコントロールできない生き物」は間違い


 不特定多数の女性と性関係を持つ男性の話が出てくると、いまだに「男性の性欲はコントロールできないから……」と擁護するような「性欲原因論」に基づいた話が公然と議題に挙がります。

「男の性欲は抑えられないもの」「コントロール不能な男の性欲が溜まりに溜まって、暴走してしまった」と、あたかも問題行動を正当化するようなロジックが、性犯罪事件から有名人の不倫報道まで多くの場面で登場します。

 しかし考えてみてください。本当に男性の性欲がコントロールできなかったら会社で仕事になりませんし、たいていの人は公衆の面前でセックスしません。これまで私は2000人以上の性依存症者の治療に関わってきましたが、性欲が強すぎて抑制できないという人は本当にごく少数でした。








ストレス解消・達成感のために痴漢をすることも


 歪んだ承認欲求、トラウマの自己治療、一時的なストレス解消、周囲へのSOS……さまざまな要因が絡み合った結果としての強迫的性行動が性依存症の本質といえます。

 また痴漢などの性犯罪についても、性欲を満たす目的ではないケースも非常に多くあります。私が治療で関わった当事者の半数以上は、痴漢の行為中に勃起していませんし、痴漢の行為を終えた後でも射精をしていません。もちろんこれだけで男性の性欲をはかることはできませんが、勃起と射精は重要な要素です。

 性犯罪である痴漢の場合も、その動機は必ずしも性欲からではなく、それ以外のストレス解消や達成感や支配的欲求、優越感を満たすために行為に及んでいます。




男性の性依存症には、「男尊女卑」が根強くある


男女
 達成感や支配的欲求、優越感、女性を性のはけ口やモノ以下とみなす……これらの傾向は、性依存症の人にも多く見られる共通点です。そもそも彼らのなかには、セックスそのものが好きなのではなく、支配的な関係性、ねじれた承認欲求、偽りの自己肯定感、いじめと共通する優越感や所有欲から、繰り返し不特定多数と性関係を持ってしまう人も多く見られます。

 とくに男性が陥る性依存症の背景には、日本にいまだ色濃く残る男尊女卑的な価値観が根強く影響していると私は考えています。

「たくさんの女性とセックスしているほうが男として偉い」
「街でナンパしてセックスしなければ、男がすたる」
「据え膳食わぬは男の恥」

 こういった価値観のもと、問題行動を堂々と行えたほうが「より男らしい」とみなされることがいまだにあります。そんな彼らの考えの根底にあるのは、性欲ではなく「男尊女卑」という認知の歪みです。








女性が「自分も落ち度があった」と考えてしまう


悩む女性 男尊女卑の考えは、なにも男性だけに内在するものではありません。女性側にも根深く内面化されています。

 性犯罪者はしばしば、「自分がやったことで、相手を女として見てやったんだ」などと自分の行為を正当化する発言をします。これは明らかな認知の歪みです。

 そして、被害者側からしたらとんでもない話ですが、性被害に遭った女性のなかにも「男性の性欲は抑えられないもの」「性被害に遭ったのは、自分にも落ち度があったからなんだ」など、「自分になにか非があったんじゃないか」と自責してしまう人が多くいるのです。このように被害者が自責してしまう風潮は、加害者の責任を性欲の問題に矮小化してしまいますし、加害者にとってはこの上なく都合の良いものでもあります。

 そして「自分が悪かったんだ」という自責の念から、性被害に遭った女性が自暴自棄になって自傷行為的に不特定多数と性関係を持ち、やがて性依存症に陥ってしまいます。




気づかないうちに「男尊女卑依存症」に


 繰り返しになりますが、性依存症は性欲の問題ではありません。そしてその根底には「男尊女卑」という古い価値観が横たわっているようにも思えてなりません。

 これは私の造語ですが、みなが気づかないうちに「男尊女卑依存症」に陥っているのです。性依存症は男尊女卑社会の悪しき産物です。そして私たちひとりひとりがこの歪んだ価値観を認識して、勇気を持って手放さない限り、性依存症から解放されることはないと思っています。

<斉藤章佳 構成/目黒川みより>




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