コロナ渦において変わった働き方。テレワークを導入したことで、会議通話ができるアプリ「Zoom」を利用する会社も増えました。そんなZoomによって起きた小さな事件によって、周囲からのイメージを大きく変えた男性がいたのです。
話しかけづらい真面目サラリーマン
都内の某企業にてシステム開発などを行う部署に所属している陽介さん(仮名・32歳)は、会社がテレワークを導入したことで家で仕事をするようになりました。元々とても真面目な上に人と積極的にコミュニケーションをとるタイプではない彼は、あまり会社の人と親しく話すこともなかったため、テレワークでも困ることはなかったそう。
「昔から人と楽しく会話をするというのがとても苦手でして…。同僚と談笑なんかもしないので『怖い』とか『話しかけづらい』と思われているのは知っていました。真面目なのも…子供の頃から変わっていないですね。テレワーク開始後すぐのZoom会議でスーツを着て参加したら上司に『真面目すぎる』と笑われてしまいました」
家では愛猫ルルにメロメロ
そんな真面目すぎる陽介さんには、唯一心を許している相手がいたのです。

「ルルという名前の猫を飼っているのですが、可愛くて仕方がないんです。テレワークになる前は会社から帰るとルルと遊ぶのがとにかく楽しくて癒やしでした。だからテレワークになって一緒にいる時間が長くなって嬉しかったですね」
仕事をしながらもルルちゃんと過ごす時間を大切にしていた陽介さん。ある時、そんなルルちゃんがちょっとした事件を起こすことになるのです。それは週に1度行われている部署のメンバーとのzoom会議に参加している時のことでした。
Zoom会議中にルルがひょっこり
「いつもならZoom会議中はドアを締め切ってルルが入れないようにしているのですが、その日はきちんとドアが閉まっていなかったようで、会議の途中でルルが机に乗ってきてWebカメラを占拠してしまったのです」

突然画面いっぱいに猫が現れたことで同僚たちはほんわかムードに。しかし真面目な陽介さんは仕事中に関係のない猫を登場させてしまったことにとても焦りました。そしてすぐに一言断りを入れ、慌ててマイクを切った上でルルちゃんを抱え部屋を後にしたのですが…
「ルルを置いて戻って来たらなぜかみんながニヤニヤしているんです。僕の知らないことで盛り上がっていたのかなと思ったのですが、その理由はすぐにわかりました。しっかりと切ったつもりだったマイクが入りっぱなしになっていたんです。それに気づいた時本当に恥ずかしくて…」
赤ちゃん言葉で話していたのがバレた
一体陽介さんは何に恥ずかしさを感じたのでしょうか? それはルルちゃんへのある態度だったのです。

「ルルにはつい甘い声で赤ちゃん言葉を使ってしまうんです。あのときは確か『こっちの部屋で待っててくだちゃいね~』とか言っていまして…それを全部聞かれていたようなのです。穴があったら入りたいというのはまさにこのことでしたね」
焦りすぎてマイクを切れていなかったという痛恨のミスにより、普段会社では絶対に見せない一面を知られてしまった陽介さん。その日の会議は終始恥ずかしさで身が入らず、ほとんど内容を覚えていなかったそう。
しかし、恥ずかしすぎるこの事件は陽介さんにとって嬉しい変化のきっかけでもありました。
会社の人と猫の話題で盛り上がるように

「テレワーク前は会社でほとんど話しかけて来なかった同僚たちが、あの日以降Zoom会議をするたびに、『猫ちゃんは元気ですか?』とか『いつから飼っているんですか?』なんて話しかけてくれるようになったんです。猫好きや猫を飼っている人もいて会話も盛り上がり、初めて同僚ときちんと話ができるようになりました」
ルルちゃんのおかげで同僚たちが抱いていた陽介さんへの「怖い」「話しかけにくい」というイメージは大きく変わったようで、どんどんコミュニケーションを取ってくれるようになったのです。
ルルが気づかせてくれた幸せ

「今ではルルにとても感謝しています。これまで働きにくさを感じたことはなかったのですが、コミュニケーションが取れるようになってからはより働きやすさを感じるようになりました。それに、好きなことを共有できる相手がいるって良いものだなとルルが気づかせてくれたんです」
あの時ルルちゃんが部屋に入ってきていなかったら、カメラを占拠していなかったら、今こうして同僚と楽しく会話をする陽介さんはいなかったでしょう。陽介さんの気持ちを変え、周囲からのイメージや関わり方まで変えてしまった小さな部屋で起きた大きな事件。
テレワークや自粛で人との関係が薄れていると言われる昨今ですが、こういう時代だからこそ良くなる関係もあるのですね。
―シリーズ「ネットの失敗・トラブル経験談」―
<文/りこちゃん>
(エディタ(Editor):dutyadmin)
