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カードで月40万円使う暗い妻。「妻は毒親に洗脳されてた」 | ビューティーガール

時刻(time):2020-12-03 18:11源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
【 ぼくたちの離婚 Vol.17 わが子を、わが手に #2】 【 前回 までのあらすじ】 大手電機メーカーに勤める谷口和成さん(仮名/現在48歳)は、28歳の時に1つ歳上の明子さん(仮名)と結婚するが、子作り観の違いからセックスレスに。その後明子さんの不倫により、結婚11年目で離婚に至る。しかし子供がどうしても欲しいと願う谷口さんは、すぐさま行動を起こした。 3回し

【ぼくたちの離婚 Vol.17 わが子を、わが手に #2】

【前回までのあらすじ】
 大手電機メーカーに勤める谷口和成さん(仮名/現在48歳)は、28歳の時に1つ歳上の明子さん(仮名)と結婚するが、子作り観の違いからセックスレスに。その後明子さんの不倫により、結婚11年目で離婚に至る。しかし子供がどうしても欲しいと願う谷口さんは、すぐさま行動を起こした。

3回しか会っていない女性と、3ヶ月で結婚


 谷口さんは、明子さんとの離婚が成立したその週に、日本の結婚相談所に登録した。駐在先である東南アジア某国からの、リモート婚活だ。条件に合う相手複数人と次々約束をとりつけ、帰国時にまとめて会う。トータルで20人は会った。

 谷口さんはそのうちのひとり、当時28歳だった葉月さんと、たった3ヶ月の交際で結婚を決める。

※写真はイメージです

※写真はイメージです(以下同)

「しかも、僕が帰国時に東京で1度、彼女が住んでいる関西の某県庁所在地で1度、そして僕の駐在先に渡航してもらって1度の、合計3度しか会っていません。3度目に肉体関係を持ちました」

 それにしても、急ぎすぎではないのか。

「僕はもう39歳になっていましたし、駐在期間は最低でも4年と言われていました。帰国後にのんびり婚活して、再婚して、子供を作るなどと悠長なことは言ってられないなと」

 とはいえ、少しだけ懸念材料もあった。

「葉月はなんというか、いわゆるメンヘラチックな女性でした。情緒のアップダウンがとにかく激しい。過去の交際経験を聞くと、自分が精神的に病んで終わったとか、親友に彼氏を取られたとか、そんなのばかりで。不幸オーラもすごかったです」


 にもかかわらず、谷口さんは葉月さんを再婚相手に選ぶ。

「まず、前妻の明子とは正反対の女性と結婚したかったんです。明子は交友関係が広く、野心や向上心が強くて、自分の信念を絶対に曲げない人でした。だから子作りの方針にも同意してくれなかったし、自分の欲求不満を外の男で解消してしまった。葉月は真逆で、容姿も佇まいもとにかく清楚で地味。自己主張も少ないように感じました」

「病み」や「不幸オーラ」は気にならなかったのか。

「僕は一度結婚に失敗して修羅場を乗り越えていたので、離婚を通じて自分の器が大きくなったと思い込んでいました。並大抵のことでは心が折れない自信があったんです。むしろ、生きづらくて困っている女性を救ってやろう、くらいの。

僕、昔から『好きな子が川で溺れかかってるのを助ける』みたいなシチュエーションが夢だったんですよ。不謹慎ですけど、不幸な人を見るのが嬉しいというか、困っている人を助けたい欲というか。……完全に自分を過信していました」




友人がおらず、結婚式をしたがらない妻


 トントン拍子で結婚が決まったが、違和感もあった。

「普通、結婚が決まったら、お互いの親友にパートナーを紹介するじゃないですか。ところが葉月は、そういうのが全然ないんです。結婚前も結婚後も、葉月から友達を紹介されたことは一度もありません。本人曰く、『仲のいい友達に彼氏を奪われたことがあるから、友達なんて信用できない』。だから、結婚式もしませんでした。したくもないし、呼ぶ人なんていないからと」

「結婚式をやりたがらない妻」「友達に会わせてくれない妻」が危険だという説は、多くのバツイチ男性が唱えている。筆者も今までの取材で幾度となく聞いた、定番の離婚フラグだ。さらに葉月さんの場合、家族の紹介に際しても不審な点があった。

「葉月の両親はともにバツイチで、葉月は母親と前夫との間の子です。父親と前妻との間には男女ひとりずつ子供がいて、葉月にとっては腹違いの兄と姉にあたります。ところが、葉月はその姉と兄になかなか会わせてくれないんですよ。結婚式をしないなら、せめて親兄弟には挨拶するのが筋なのに、『うちのお姉ちゃんは変わってるから』って」

 そこで「変だ」とは思わなかったのか。

「葉月の両親がふたりとも離婚経験者であることに、僕はむしろ親近感を抱いていました。苦労されたんだろう、きっと僕のことも理解してくれるに違いないと。めぐり合わせだなとすら感じました。なりより、早く子供を作らねばと焦っていましたからね。自分は40前のバツイチですから、贅沢なんて言ってられません。多少の違和感は目をつぶろうと」








夫のカードで月に40万円使う妻


 結納を兼ねた簡単な食事会を日本で行い、谷口さんは葉月さんを駐在先である東南アジアの某国に呼び寄せた。日本の大企業の工場があるため、数千人規模の日本人コミュニティができている、同国屈指の主要都市である。

 葉月さんは現地で2人の女の子を出産。谷口さんにとって待望のわが子である。子供好きの谷口さんは、娘ふたりをうんとかわいがり、積極的に育児をした。病院への定期通院には、毎回欠かさず会社を中抜けして同行したという。ただ、葉月さんのメンタルは不安定なままだった。

※写真はイメージです
「相変わらずの病み体質でしたので、すぐにブチ切れて物を投げたり、大声で怒鳴ったり、嗚咽したりが日常茶飯事でしたが、受け止めました。妊娠と出産でホルモンバランスが相当崩れていたでしょうし、周りの人に聞いても産後は皆同じような経験をしていましたから。自分の妻だけがそうなのではないのだし、と自分を納得させていました。

それよりも、こんなバツイチ男なんかと結婚して、単身海外まで来てくれたことが、僕はすごく嬉しかったんですよ。彼女は英語が話せないし、慣れない海外でストレスをそうとう溜めていたはずですから、荒れて当然です。一方の僕は、壮絶な離婚を乗り越えた、器のでかい男なんだから、どんとこい、受け止めてやるさと。だから駐在先での4年間は、今までの人生で一番幸せだったと言ってもいい」

 ただ、現地での生活ぶりを聞くと、不自然さも際立つ。

「葉月は僕のカードで毎月40万円ほど使っていました。家賃は会社もちだったし、光熱費、外食費、幼稚園代などは僕が別途払っていたので、葉月がカードで使うのは、毎日の食費と、葉月個人の買い物代くらいのはずなんですが……。現地では食材が日本より安いので、食費はどれだけかかっても、いいとこ6、7万円。で、毎日Amazonから葉月宛ての荷物が2、3箱届くんです」

 驚くべきことに、谷口さんは葉月さんを一切とがめなかった。Amazonで何を買っていたかも聞かなかったという。

「住居費がかからないし、駐在手当も出ていましたから、収入にはかなり余裕があったんです。それに僕、葉月に対しては、バツのついた男と結婚して単身海外まで来てくれたという恩義がありましたから、強くは言えませんでした」

 しかしこれは、月々のローンを分担しなくなった前妻の明子さんに、一言も苦言を呈しなかった状況と、まるっきり同じではないか。その理由もまったく同じだ。

「自分が小さい男だと思われたくなかったから、です」




「あなたとはやっていけない」


 4年の駐在期間が過ぎ、谷口さんの次の勤務地が東京本社に決まった。ただ、駐在中に海外からリモートで東京の物件を探すのは難しいと判断した谷口さんは、葉月さんと幼い娘2人を先に帰国させ、関西の某県庁所在地にある葉月さんの実家ですごさせることにする。

 谷口さんはその間に、駐在先での残務処理と物件の引き払いを済ませて帰国。東京でウィークリーマンションに滞在して通勤しながら、新居探しをすることに決めた。

 葉月さんの新居に対するリクエストは、「とにかく広いところ」。駐在先の住まいが200平米もある家だったので、狭々しい家は嫌だというのだ。谷口さんは不動産屋行脚の末、都内におあつらえ向きのマンションを見つけた。ファミリータイプの3LDKだ。

 谷口さんは、葉月さんに物件を見てもらおうと、連絡を入れる。葉月さんが帰国してから、約1ヶ月後のこと。しかし、信じられない返事が返ってきた。

「東京には行きません。あなたとはやっていけない」

 谷口さんは混乱した。何がなんだかわからない。

※写真はイメージです
「最初は、一時的な精神不安によるものだと思いました。だけど、どれだけ話しあいをさせてくれと言っても、『私に話すことはありません』を繰り返すばかり。どうにかこうにか理由を聞き出すと、あなたにモラハラを働かれたと言われました。カネに細かい、自由に使わせてくれないと」

 毎月40万円も自由に使っておいて、一体どういうことなのか。

「海外駐在中、何ヶ月かに1度、葉月の機嫌のいいタイミングを狙って、『あれ?今月けっこう使っちゃったのかなあ?』って、猫なで声で言ったりすることはありましたよ。葉月はスルーでしたし、そのときには特に反発していませんでしたが……。それがいつの間にか、葉月の中で『めちゃくちゃ詰められた』ことに脳内変換されていたんです」







娘を支配下に置く毒親


 1ヶ月間の間に、何があったのか。

「実家の親からの洗脳です。後からわかったんですが、葉月の母親、つまり義母は、とんでもない毒親でした」

ぼくたちの離婚 Vol.17 #2
 毒親(どくおや)とは一般的に、「子の人生に害悪を与える親」のことを指す。

「実は海外駐在中、葉月が僕に『小さい頃、母からDVを受けていた』と話してくれたことがあります。その時は驚きましたが、『今は全然気にしていない』と言ってあっけらかんとしていたので、あまり掘り下げて聞かなかったんですよ。でも、後で考えると、葉月は幼い頃からずっと母親の支配下にありました。結婚してからも、です」

 毒親の中でも最もよく報告されるのが、「女親から娘に対する過干渉と支配」である。

「義母は、葉月が自分の思い通りにならないと気が済まない人なんです。葉月に友達がいない、あるいは友達というものを信じていないのも、そのせい。娘を自分の絶対支配下に置くためには、娘の周りの友人関係を排除するのが一番ですからね。もし何でも話せる親友がいたら、自分がいかに無茶なこと娘に要求しているかを、娘に気づかれてしまう。

だから葉月が同級生と仲良くしようとすると、すぐ『あの子は信用ならない。あなたを陥れようとしている』と耳打ちする。葉月は小さい頃からずっと、義母にそうされてきました」





支配的な義母が結婚を許した理由


 しかし不思議なのは、そこまで支配下に置いておきたいなら、なぜ葉月さんの結婚を許したのかということだが、谷口さんはそこにも明確な答えを持っていた。

「葉月自身の『母親から自立したい』という意思の芽を、元から摘んでおくためですかね。一度結婚させて子供を産ませ、子供ごと葉月を囲ってしまったほうが、葉月を一生手元に置いておけると踏んだのかもしれません。葉月が身ひとつなら、親元から離れるのは簡単ですが、葉月がシングルマザーなら、母親の手助けなしには生活がたちいかない。精神的にも、経済的にも、親を頼らざるをえなくなる」

 経済的にも、とはどういうことか。聞けば、結婚前の葉月さんは何ひとつ仕事が長続きしなかったという。そして葉月さんの母親は、谷口さんに常々「この子は仕事なんかできない」と言っていたそうだ。

「子供の能力を潰す毒親の典型です。『自分の子はできない』と決めつけることで、『この子には私が必要だ』という自分の確信を強める。そして、できない子だと扱われ続けた子は、自己肯定力がゼロのまま大人になります。なにごとにも自信が持てない、卑屈な大人に」

※写真はイメージです
 葉月さんが結婚式をしたくないと強硬に主張した理由は、呼ぶ友達がいなかったからだけではない。自分なんかが「お姫様」として着飾られ、注目を浴びることが、とてつもない分不相応だと感じ、不快に思い、本能的に避けたからだ。

「自分に自信がない子は、ちょっとした困難や人との意見衝突をものすごい苦痛に感じ、傷つくので、学校や社会にうまく馴染めません。仕事も長続きしない。それを見た親は、『そらごらん、やっぱりあなたはできない子なの。私がいないと駄目ね』と言って、ますます子供を囲い込む。子供は子供で、自分が頼れるのは親しかいないという想いを強めるので、親元から自立するのはますます不可能になります。共依存関係ですね」







娘を一生、手元に置いておく方法


 谷口さんは、さらに恐ろしい話を続けた。

「義父は自分の連れ子、つまり葉月の腹違いの姉と兄を、幼い頃からネグレクトし続けていたそうです。その裏では、たぶん義母が糸を引いています。実の娘である葉月を、排他的優位に可愛がりたかったのでしょう。義母は義父までも精神的な支配下に置いていたようです」

 その狙いとは?

「義母は葉月を一生手元に置いておきたい。ただ、そのためには、娘と一生暮らしていけるだけの経済力が必要ですよね。そこで義母は考えました。娘と腹違いの姉と兄を、遺産相続の対象から外そうと」

※写真はイメージです
 にわかには信じがたいが、彼女はそれを実行する。

「当時、葉月の姉と兄は、葉月の両親と養子関係にありましたが、義母は義父を通じて彼らを説得し、養子関係を切ることに同意させたんです。義父は義母の言いなりだったので、それができました」

 これで、両親の財産はいずれすべて葉月さんに行く。経済的な安心感によって、娘を囲ったわけだ。




「僕は資金源として利用された」


「義母が葉月の結婚相手として僕にOKを出したことにも、説明がつきます。僕は名の知れた大手電機メーカー勤務ですから、高給取りであることは想像がつく。つまり、子供を作って離婚してしまえば、子供が成人するまで養育費ががっぽり取れる。養育費の金額は義務者、つまり僕の収入に比例しますからね。葉月が働きに出なくても、親子の定収入が高め安定で約束されるんです。僕は、義母が娘を一生囲うための資金源として利用されました」

 葉月さんに離婚を決意させるため、葉月さんの母親は、葉月さんが帰国してから1ヶ月の間に、谷口さんに対するすさまじい悪口を吹き込んでいた。

「義母は、僕がクスリをやっているとか、勤労意欲がないとか、性的嗜好に関して……口にしたくもない中傷を、裏で葉月に吐き続けていたみたいです。すべて根も葉もない嘘ですが、葉月はそれを信じた。かつて葉月の友達を排除したのと同じ方法、マインドコントロールです」

しかし、現在の谷口さんの苦悩は、お金のことではない。

「子供の親権がね、どうしても取れないんですよ」

<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>

※続く#3は、12月6日に配信予定。
稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。
【WEB】inadatoyoshi.com




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