今の位置(Current Position): ホームページ(HomePage) > ライフスタイル >

妻に浮気された夫、慰謝料請求しても1600万円の赤字になった落とし穴 | ビューティーガール

時刻(time):2020-11-30 15:30源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
【 ぼくたちの離婚 Vol.17 わが子を、わが手に #1】 「結婚してくれなければ別れる」に押し切られ… 大手電機メーカーに勤める谷口和成さん(仮名/48歳)と、都心のカフェで待ち合わせたのは、平日の夜。現れた谷口さんは、カジュアルなサーフ系ファッションに身を包んでいた。ついさっきまで、公園の芝生で子どもたちとフリスビーでもしてきたかのような、爽やかな

【ぼくたちの離婚 Vol.17 わが子を、わが手に #1】

「結婚してくれなければ別れる」に押し切られ…


 大手電機メーカーに勤める谷口和成さん(仮名/48歳)と、都心のカフェで待ち合わせたのは、平日の夜。現れた谷口さんは、カジュアルなサーフ系ファッションに身を包んでいた。ついさっきまで、公園の芝生で子どもたちとフリスビーでもしてきたかのような、爽やかな出で立ち。リモートワーク中で自宅から直接来たという。

 谷口さんが1つ年上の明子さん(仮名)と結婚したのは20年前、谷口さんが28歳、明子さんが29歳の時だ。当時の明子さんは、大手金融機関に勤めるキャリアウーマンだった。

 出会いは合コン。明るく社交的、くっきりした顔立ちの美人で、自分の意見をはっきりと言う明子さんに、谷口さんは心を奪われた。2年半にわたる交際ののち、結婚。まだ20代だった谷口さんに結婚する気は皆無だったが、明子さんに「30歳までに結婚したい。結婚してくれなければ別れる」と言われ、半ば押し切られた。

ぼくたちの離婚 Vol.17

写真はイメージです(以下同)




「ベチョベチョして気持ち悪い」


 谷口さんは、結婚当初から子供が欲しかった。

「結婚願望はなかったけど、すごく子供を育てたかったんです。自分のコピーを作りたいとか、谷口家のDNAを存続させたいとか、そういうことじゃなくて。僕、電車の中で走り回ってる、見知らぬ他人の子供でもすごく愛しいと思うんです。次世代に自分の経験や知識を伝えたい欲、とでも言うのかな」

 しかし当時の明子さんは仕事が乗りに乗っていて、子作りに前向きではなかったため、谷口さんは待った。そして結婚生活が4年ほど経過した頃、明子さんが関わっていた大きなプロジェクトが終わる。谷口さんはいい機会とばかりに、旅行先のホテルで子作りを迫ったが……。

「ゴムをつけないで迫ると、『つけて』と言われました。理由を聞いたら、『ベチョベチョして気持ち悪いから』と。僕、そんなにナイーブではない人間なんですけど、その時はさすがに凹みました」

ぼくたちの離婚 Vol.17
 これをきっかけに、ふたりはセックスレスとなる。とはいえ、明子さんは「絶対に子供が欲しくない」と言っていたわけではない。子作りに関して、ふたりの考え方がずれていたと谷口さんは振り返る。

「僕は確実に子供が欲しかったので、計画的に子作りをしたかったんですが、明子はそういうシステマチックなやり方が嫌だったようです。セックスレスになって数年後、明子は当時話題になった厚生労働大臣の発言を引っ張って『計画的に仕込むなんて嫌だ。私は子を産む機械じゃない。欲しいんだったら毎日すればいい』と言っていました」

 しかし毎日もなにも、最初に子作りを拒んできたのは明子さんのほうではないか。だが谷口さんは、明子さんを責める気にはなれなかったという。セックスレスを解消するためになんの手も打てない自分の不甲斐なさに、罪悪感を抱いていたからだ。







妻が妻子持ちのプロデューサーと浮気


 セックスレスになってからの谷口さんと明子さんは、マンションのそれぞれの自室で別々に寝ていた。結婚8年目のこと。深夜3時頃、明子さんが玄関のドアをそっと開ける音で、谷口さんは目が覚める。

「いつもは明子が遅くまで飲んで帰ってきても、僕が目を覚ますことはないんです。なのに、その日に限って、なぜか……」

 谷口さんはその時、結婚して以来はじめて、明子さんの携帯電話を見たいという衝動にかられた。なぜそんなことを突然思ったのか、今でも理由はわからないという。

 明子さんが寝静まったのを見計らって部屋に入り、携帯を手に取った谷口さん。当時の携帯はガラケー。パスワードロックがかかっていたが、「0000」と打ち込んだところ、なんと解除できてしまう。

ぼくたちの離婚 Vol.17
「大量の浮気メールを発見しました。相手は僕も明子から紹介されたことのある、某TV局のプロデューサーA夫。妻子持ちです。別の友人から、彼の局内での悪い噂は聞いていたんですが、よりにもよって、こいつかよ、と」

 谷口さんは後日、明子さんが入浴中に彼女の携帯からマイクロSDカードを抜き出し、データをパソコンにコピー。過去1年ほどの浮気メールの文面を、エクセルにひとつずつコピペしていった。動かぬ証拠を確保するためだ。しかし谷口さんはこの時点でも、明子さんに申し訳なさを感じていたという。セックスレスを放置していた「責任」である。





ガラケーの「送信ランキング」でバレる


 谷口さんは明子さんを罰するのではなく、浮気相手と引き離そうと考えた。携帯メールを見たことは伏せ、明子さんにカマをかけたのだ。「A夫さんと、なんかあるの?」。当然ながら明子さんは「根も葉もない」と逆上、頑として認めない。

 そこで谷口さんは、明子さんにこう言った。「じゃあ僕から彼に直接連絡を取るけど、それまで君は彼に連絡しないでほしい」。明子さんは承諾した。

 谷口さんは翌日、A夫に電話。するとA夫は取り乱すでもなく、「明子さんとはただの友達なので、べつに構いません」。電話を切ったあと、谷口さんは明子さんに携帯を見せてほしいと言った。

「明子はぶつくさ言いながらも携帯を差し出しました。目の前でメールボックスを開けると、A夫とのメールは削除済み。予想通りです。ところが、当時の彼女のガラケーには、頻繁にメール送信した相手が表示される『送信ランキング』という表示機能がついていました。これは送信メール自体を消しても残っているばかりか、上位5人については、直近の送信日時まで確認できてしまう」

 あんのじょう、谷口さんが「A夫に連絡しないでほしい」と言ったその日に、明子さんからA夫へのメールが送信されていた。谷口さんがそれを指摘すると、明子さんは謝るでも、言い訳するでもなく、逆ギレした。

「なんでそんなに私の携帯に詳しいのよ!」

ぼくたちの離婚 Vol.17
 谷口さんは呆れたが、深く追求はしなかった。

 数日後、谷口さん、明子さん、A夫、A夫の妻による話し合いがもたれた。疑いを口にする谷口さん。しらばっくれるA夫と明子さん。泣きじゃくるA夫の妻。しかしこの時点でもまだ、谷口さんは携帯メールの証拠を彼らに突きつけなかったため、話し合いは不完全燃焼に終わった。

「やんわり『僕は知ってるぞ』と伝えることで、ふたりが関係を解消してくれるのを望んでいたんです。当時は、まだ」







「こんな人に子供を育ててほしくない」


 ある夜のこと。谷口さんが寝ていると、深夜に気配で目が覚めた。部屋を見回すと、なぜか明子さんがいる。「何してるの?」と聞いたが、説明がいまいち要領を得ない。後日、明子さんの目的が明らかになる。

「当時、僕は相当悩んでいて、カウンセリング通いと並行して、ある霊媒師のもとにも定期的に行っていました。いま思えばかなり怪しいんですが、それほど精神的に追い詰められていたということです。その霊媒師が僕に言いました。『先日、あなたの奥さんが来て、あなたがどんな相談で来ているかを聞かれました』と」

 谷口さんは仰天した。おそらく、カバンに入れてあった霊媒師のパンフレットを見たのだろう。ということは、明子さんは谷口さんのカバンを勝手に漁っていたということになる。

「それでハッと気づきました。深夜に明子の気配で目が覚めたとき、彼女の手の先にあったのは、僕の携帯電話だったことを。明子は、僕にも自分と同じような不貞がないかどうか、探ろうとしていたんです」

 なぜ、そんなことを?

「僕にも落ち度があれば、自分の浮気を帳消しにできる。喧嘩両成敗に持っていこうとしたんでしょう。その瞬間、僕の明子への信頼はゼロになりました。明子は僕との結婚生活を修復することより、自分の保身を優先したんですから」

ぼくたちの離婚 Vol.17
 谷口さんは、ここでようやく離婚を決意した。

「それまでの僕は、どこか希望を持っていました。どうにかセックスレスが解消されれば、いつか子供を持つことができると。子育てという共通の目的にふたりで取り組めば、いつか夫婦関係は修復できると。だけど、その時はっきり思ったんです。こんな人に、子供を育ててほしくないなって」

 谷口さんは離婚の意思を明子さんに伝えるが、応じてくれない。浮気も依然として認めない。家庭内別居がはじまった。

「朝6時前に自宅を出たら、夜12時を過ぎるまで帰宅しないと決めました。ただ、そんなに長時間会社にはいられません。朝は7時から開いている会社近くのジムに行き、早く会社を出た日は、自宅最寄り駅前のマクドナルドで12時過ぎまで時間をつぶす。マンションの間取りの構造上、明子も使うリビングを通らないと風呂に行けないので、朝にジムのシャワーを浴びてから出社する毎日でした」




「婚費」で稼ごうとする妻


 約1年間、このような状態が続いたところで、谷口さんの海外転勤が決まってしまう。明子さんとの関係が修復されないまま、東南アジアの某国に赴く谷口さん。すると、数カ月後に明子さんが動き出した。

「婚費を請求してきました」

 婚費(こんぴ)、すなわち婚姻費用とは、夫婦が別居した際に、収入の高い一方(義務者)が収入の低い一方(権利者)に対して、足りない生活費を補填するものだ。この場合、義務者が谷口さん、権利者が明子さんとなる。要は、一緒に暮らしていた時には明子さんが負担しなくてもよかった費用が、別居したことで発生したために、請求してきたというわけだ。

ぼくたちの離婚 Vol.17
 婚費の額は「夫の年収」「妻の年収」「子供の年齢」「子供の人数」によって自動的に決まる。算定表を見れば一目瞭然だ。

「明子は家庭内別居中、異動してきた上司とそりが合わず会社を辞めており、彼女の友人が起業したITベンチャーでPR担当として雇われていましたが、収入は激減していました」

 つまり、当時は谷口さんのほうが圧倒的に収入が多かったので、明子さんに婚費を支払う義務が発生したのだ。しかし、谷口さんは納得がいかなかった。

「毎月のマンションのローンは100%僕が払っていました。つまり、明子は住居費を1円も負担していない。なのに、婚費からローン分は差し引かれないんです」

 賃貸物件の家賃は支出なので婚費からの差し引きが認められるが、ローンの支払いは支出ではなく「夫婦の共有財産の積み上げ」、つまり資産形成なので、差し引かれない。

 毎月のローン支出に加え、莫大な婚費の支払い義務も課せられた谷口さん。しかも、明子さんはもともと谷口さんとふたりで住んでいたマンションに住み続けていたので、引き続き住居費は1円も発生しない。

「明子が離婚に応じず、婚費請求だけしてきたのは、カネがもらえるからですよ。離婚裁判になって自分の浮気が暴かれれば、僕に慰謝料を支払う必要がある。いずれそうなるにせよ、その前に婚費で稼いでおけば、金銭的ダメージは相殺できますからね。本当に、やり方が汚い」








浮気されたのに…1600万円の赤字


ぼくたちの離婚 Vol.17
 結局、谷口さんは離婚裁判を起こし、本人尋問で出廷した明子さんとA夫の前で、最後の切り札だった浮気メールのデータを証拠として提出。それが決定打になって明子さんの不貞が認められ、離婚が成立した。結婚から11年目の終止符。谷口さんは39歳になっていた。

「慰謝料は相場通りで、明子から100万円、A夫から100万円の、合計200万円。ただ、僕としては1600万円の赤字でした……」

 その理由は、財産分与と件の婚費だ。夫婦が離婚した際の財産分与は、結婚生活中に夫婦が築いた共有財産をきっちり二等分する。これは、ふたりの収入差や不貞を働いたか否かには、一切左右されない。

 共有財産には、結婚“後”に購入したマンションも当然含まれる。谷口さんは親に借金し、マンション価値の半額、預貯金の半額、海外赴任中に発生した婚費2年分を、明子さんに支払った。その後マンションを売却して親に借金を返済し、残りのローンも精算したが、結果として収支は1600万円ものマイナスになってしまったのだ。

「もとを正せば、明子の浮気です。なのに、彼女はたった100万円の慰謝料を支払っただけ。僕が海外駐在勤務になって以降、2年分の婚費をがっぽりせしめていますから、かかった弁護士費用を考えても経済的なダメージは小さい。僕のほうは1600万円もお金を失ったのに……」




「小さい男」だと思われたくなかった


 たしかに酷い仕打ちだが、話を聞いていて疑問がわいた。なぜ共働きなのにローンを谷口さんだけが負っていたのか。しかも、マンションは共同名義だという。すると、驚くべき答えが返ってきた。

「結婚生活中は、ローンだけでなく水道光熱費もすべて僕の負担で、明子には食費相当分として別途月に十数万円を渡していました。つまり、明子は自分で稼いだお金はまるまる自分で使えたんです」

 マンションの頭金はふたりで折半したそうだが、結婚して入居した瞬間から、明子さんは共同生活にかかるお金を一切払わなくなったという。にもかかわらず、谷口さんは苦言を呈さなかった。なぜそんな不公平を受け入れたのか?

「その時のことはあんまり覚えてないんですけど、なんか……払ってくれないなあと」

 そんな大事なことを、覚えていない?

「波風を立てるのがめんどくさかったんでしょうね。お金のことをぐちぐち言って、小さい男だと思われるのが嫌だったのかも」

「小さい男だと思われたくない」。そのプライドが、谷口さんにさらなる災厄を運んでくることになる。一度目の結婚は、序章にすぎなかった。

<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>

※続く#2は、12月3日に配信予定。
稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。
【WEB】inadatoyoshi.com




(エディタ(Editor):dutyadmin)
    顶一下
    (0)
    0%
    踩一下
    (0)
    0%
    ------分隔线----------------------------
    コメント(comments)
    Please observe the policies and regulations of the Internet.

    コメント(comment):
    気持(Expression):
    ユーザ:パスワード:
    認証コード:点击我更换图片

    最新コメント コメント詳細画面へ>>
    ランキング(Ranking)