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「夫には期待しない」何年も仮面夫婦だった妻が、涙の和解をした土曜日 | ビューティーガ

時刻(time):2020-10-24 07:58源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
結婚して何年かたち、子どもが小さかったりすると妻は夫に不満をもつようになっていく。どうしても妻の家事育児への負担が大きくなるからだ。妻は自分の気持ちを平静に保つために「夫婦なんて、どうせ冷めていくもの」「夫に期待するから裏切られる。期待しなければいい」と思いがち。 写真はイメージです(以下同じ) もちろん期待しなければ裏切られることもな

 結婚して何年かたち、子どもが小さかったりすると妻は夫に不満をもつようになっていく。どうしても妻の家事育児への負担が大きくなるからだ。妻は自分の気持ちを平静に保つために「夫婦なんて、どうせ冷めていくもの」「夫に期待するから裏切られる。期待しなければいい」と思いがち。

夫婦

写真はイメージです(以下同じ)

 もちろん期待しなければ裏切られることもないので、「夫をあきらめてしまうのが、家庭をうまく回すコツ」と言う妻たちもいる。だが、あきらめたくてもあきらめきれない、そんな思いを抱いていたら奇跡のようなことが起こることもあるようだ。

急に食事を用意させて「おかず、これだけ?」


 レイコさん(40歳)が2歳年上の彼と結婚してから11年がたつ。ふたりの子は10歳と8歳となった。

「共働きでがんばってきたけど、やはり私の負担は大きかった。夫がちゃんとやったのはゴミ出しとお風呂掃除くらい。いつも夫にイライラしながら生活してきました。いっそ何も期待しなければいいんだと思ったのは3年ほど前ですね。会話は必要最低限にする、ほとんどの連絡はLINEで。夫の帰宅時間に関係なく、私は子どもたちと寝てしまう。そんな生活が続きました。気づいたら3ヶ月も夫とろくに口をきいてなかったということも多々ありました」

 レイコさんは徐々に学んでいったのだ。「夫にかまうから腹が立つ」のだと。幼児と乳飲み子を抱えていたころ、夫が遅くに帰宅した日があった。夕飯はいらないと言っていたのに「何か食べたい」と言いだし、彼女は魚を焼き、サラダを作って出した。すると夫は「おかず、これだけ?」とつぶやいた。そもそも夕飯はいらないと言ったのだ。

食事 男性
「午前0時を回って帰宅して、やっぱり何か食べたいと言うから作ったのに、そんな言いぐさはないでしょうと思いましたね。私は翌朝、6時起きで家事をこなして仕事に行くのに、それ以上のことはできない。そんなことが何度かあって、夫と関わらないほうがいいと思うようになったんです」




お金を出し合い、子どもを育てるだけの“仮面夫婦”に


 関わらなければイライラすることもない。だから天井の電気が切れれば脚立を出して自分で替えたし、実家の父が入院してもそれを夫には伝えなかった。お見舞いに行くことを強要するようでいやだったのだ。それは言い換えれば、夫に借りを作ることになるから。

「父の看護で母もダウンしてしまったので、父が退院するときは私が仕事を休んで病院に行きました。いつのまにか夫に頼らなくても生活できるようになっていたんです」

 お互いに必要なお金を出し合って、家計をまかない、子どもを育てていく。ただし子どもの前では大人の分別としていがみあうのはやめる。話し合ったわけでもないのに、そんな家庭が形成されていた。
「子どもの学校行事とか地域の行事などには夫婦で参加していましたよ。大げんかしたわけではなく、ただ、私は夫に期待しなくなっただけ。夫は私の不穏な雰囲気を感じながらも、夫婦で出席すべきときはするという形をとっていました。仮面夫婦ですよね、完全に」

 そんな状態が数年間、続いていた。








毎週土曜は、夫以外の男性と会うように


 そんな生活をしていたらストレスがたまる。レイコさんの心に隙ができた。昨年の春のこと、気になる男性ができてしまった。

悩む女性
「もちろん恋などする気はなかった。だけど仕事関係で知り合った8歳年上の男性と、仕事の延長で食事に行くことになってしまったんです。どうにもならなくてちょうどそのころ近所に住むようになった姉に子どもたちのことを頼みました。子どもたちのことを気にしつつも、彼と過ごした時間が楽しかったんですよ。それ以降、プライベートでも彼との時間をなんとか作り出そうと必死になっている自分がいました」

 とはいえ、たびたび姉に頼むわけにもいかない。彼女は週末土曜日に出勤だと偽って彼と会った。罪悪感はあったが彼と会うのもやめられなかった。

「しばらくの間、土曜日出社になりそうなんだけどと夫には言いました。すると夫は気乗りしない声で『わかった』と。子どもたちには食事を作っておいたし、上の子はレンジでチンすることも覚えていたので飢えることはないだろうと思って出かけていました」




ある土曜日、夫のふとした行動に……


 何度かそんなことがあった。ある土曜日、夜早めに帰宅すると、夫が慣れない手つきで料理を作っていた。

 そして次の土曜日、帰宅すると水回りがピカピカになっている。

キッチン
「どうしたのと聞いたら、2時間だけプロに掃除を頼んだと。数千円でやってくれたよって。一度、とことんきれいにしておけばあとがラクなんじゃないかと思ってと、夫が照れたように笑ったんですよ。それを見て、私の中で突っ張っていたものがガラガラと崩れていった。思わず泣いてしまいました」

 夫に対して常に肩肘を張っていた頑なな気持ちが一気に崩れたのだという。本当はこの人ともっとうまくやっていきたい、もっと家族で楽しい時間を過ごしたい。レイコさんの本音はそうだったのだ。そのことに自分で初めて気づいたのだという。








夫婦で涙を浮かべて「ごめん」


「期待しないと決めたのは私だけど、本当は夫に期待したかったんですね。だけど裏切られるとイライラするから防衛本能で夫との関わりを薄くしていた」

夫婦
 夫も、土曜日に仕事に出かける妻にやさしい言葉をかけられない自分を反省していたようだ。実際、子どもふたりを相手にしながら家事をする大変さも身にしみた。家事をせずにいようとも思ったが、やはりたまった洗濯物を見ないようにはできなかったらしい。

「泣き出した私を見て、夫も目を潤ませていました。『いろいろ、ごめん』と夫が不器用に言うので『私も』って。それだけで温かいものが心の中に流れ込んだ気がしました」

 だからといって、夫が全面的に家事を分担してくれるようになったわけでもない。それでも週末には洗濯や料理を少しずつするようになっている。




夫に惚れ直したわけではないけれど


「つきあっていた彼とは別れました。なぜか急に恋心が冷めてしまって。夫に惚れ直したというところまではいってないんです(笑)。だけど夫は変わろうと努力はしてくれている。それは伝わってきています。あのまま夫をあきらめてしまわなくてよかった。自分の本当の気持ちに気づいてよかったと今は思っています」

 日常生活に追われると、自分の本音を封印してしまうことがある。そのほうが暮らしていきやすいからだ。感情は子どものためだけに稼働させ、夫には感情抜きで接すると言った女性もいるほどだ。

「ステイホームの時期、私は週に3日出勤、夫は週1度だったんです。家の中のことや子どものことは、どうしても夫に頼らざるを得なかったけど、ときどき愚痴りながらも夫はよくやってくれたと思う。本人も自信がついたみたい。先日ふと、『オレ、やっとこの家の一員になれた気がする』って言ったんですよ。もしかしたら夫を家庭から追いやっていたのは私だったのかもしれないとちょっと反省しました」

 家事も育児もろくにやらない夫なら、いないほうがいい。そんな思いが子どもをもつ働く女性にはあるかもしれない。それが夫に伝わっていた可能性もある。

 夫婦間の信頼は、ふとしたことで崩れることがある。だが、ふとしたことで再構築できることもあるのではないだろうか。

―夫婦再生物語―

<文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数




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