最近、やたらと耳にする「陰キャ」という言葉。「陰気なキャラ」という意味で、学校では内向的だったりクラスカースト下位の生徒たちがそう揶揄されたりするようです。
なかには“自分も昔は陰キャだった”という人もいるでしょう。そのせいで、学校時代は忘れ去りたい黒歴史だと思っている人も。
クラスカースト最下層の陰キャ
「高校時代のほとんどは、私にとってはひたすら苦痛の時間でした。正直、思い出したくもないんです」
そう話すのは、オフィス機器メーカーに勤務する相田恵美子さん(仮名・28歳)。子供のころから大人しい性格だったこともありましたが、高校は地元からは少し離れており、同じ中学から進学した同級生はいなかったとか。おかげで高校では話し相手もなかなかできず、クラス内で孤立していったといいます。
「それでもまだボッチでいるだけならよかったんです。けど、クラスカースト上位の女子グループに目をつけられてしまい、私のことをバカにするようにイジッてくるようになり、それが本当に辛かったです」
とはいえ、執拗な嫌がらせや明らかなイジメというほどではありませんでした。そのため、なんとか高校に通い続けることはできましたが、3年間同じクラスだったこともあり、卒業するまでそのポジションから抜け出すことはできなかったそうです。
「特に修学旅行は同じ班になってくれる人がいなくて押し付けあう形になって、あれはさすがに惨(みじ)めな気分になりました。
ただ、クラスにはもう1人陰キャ扱いされていた子がいて、彼女も私と同じアニメが好きで1年生の後半くらいから話すようになって、それで助かった部分はあります。その子がいなかったら本当に1人だったし、学校を辞めていたと思います」
多感な時期に多数から“イジり”をされるのは、本当につらいことですよね。その女子グループの子達は、悪気がなかったのかもしれませんが、想像力がなく「陰キャ」扱いすることで恵美子さんを追い詰めたことは間違いありません。
高校時代の話を振られるのが苦痛
そんな調子だったので卒業後も連絡を取り合うような同級生は皆無。よく話していたクラスメイトとも卒業してしばらくはメールを交換していたものの、次第に疎遠となり、気づいたら連絡が取れない状態になっていました。
「何度か高校の同窓会の案内が実家に届きましたが、毎回欠席に○をつけて出しています。昔と違って今なら普通にみんなと話もできるでしょうけど、華を咲かせる思い出なんてありませんしね」
現在では、「社交的とまではいかなくても人並みにコミュニケーションは取れていると思います」と恵美子さん。同僚や社会人になってからの友人たちと食事やお酒に行くことも多く、高校時代の話題に及ぶこともありましたが、それが苦痛で仕方なかったそうです。
「そういうときは心の中で早く別の話題に移ってと思っています。ですが周りは私が高校時代に陰キャだったことを知りませんし、『恵美子はどうだったの?』みたいな感じで私に話を振ってくる。当たり障りない程度の作り話をしてその場をやり過ごしていましたが、毎回そんな風にウソをつかなきゃいけないのはキツくて」

夫は自分のコンプレックスに気がついてくれた
しかし、今の夫はまだ友人として付き合っていたころ、高校時代の話題になったとき、恵美子さんの表情がこわばっていたことを察知。すぐに違う話題に変えてくれたそうです。
「まさか気づかれると思わなかったので驚きましたが、私のためにそういう気遣いをしてくれたことがすごくうれしかったです。
彼は複雑な生い立ちで、子供のころ親戚の家を転々としていた時期があったそうで、人の顔色や表情などにすごく敏感だったんですね。彼のそんな優しさに惹かれて付き合うようになったんですけど、私が高校時代の自分にコンプレックスを抱いてなければこんな展開にはならなかったかもしれません。
今も当時のことは思い出したくない記憶ですけど、それでもこの過去のおかげで彼と一緒になることができた。そういう意味では少しは昔の自分とちゃんと向き合えるようになった気がしますね」
コンプレックスは人に知られたくないものですが、それを察知して気遣ってくれるなんて簡単にできることではありません。そういう男性とめぐり会え、晴れてゴールインした恵美子さん。ぜひ幸せな人生を歩んでほしいものです。
―私のコンプレックス―
<文/トシタカマサ イラスト/とあるアラ子>
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トシタカマサ
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
(エディタ(Editor):dutyadmin)
