【○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.18】
愛犬や愛猫を亡くした痛みは「ペットロス」という言葉では片づけられないほど、深いもの。誰にどんな言葉をかけてもらっても、当たり前のように隣にいてくれた存在が、もういないという苦しみが消えることはありません。
しかし、「動物」によって、そうした傷が癒されていくことはあるのかもしれません。akieさん(@misocream)の愛猫エピソードは、そんな希望をくれます。
ゴミ捨て場で死にそうな猫を保護
「小太郎は他の猫の面倒をよく見てくれ、全員が食べ終わるのを見守ってからご飯を食べる紳士な猫でした。」
今は亡き愛猫とakieさんが出会ったのは、自宅マンションのゴミ置き場。背骨がくっきりと分かるほどやせ細り、顔は目やにと傷だらけ。ゴミにまみれた1匹の猫……それが小太郎くんでした。
このままだったら、死んでしまう。当時、学生だったakieさんは泣きながら両親を説得し、小太郎くんを家族に迎え入れました。
「獣医師さんによれば、小太郎はどうやら過去に左後脚を骨折し、痛かったのにも関わらず自然治癒させてしまったんだろうと言っていました。それくらい我慢強い性格でした」
ノラ生活で人間の怖さを見てきたからか、小太郎くんは抱っこが苦手だったそう。でも、akieさんのお母さんにはゴロゴロと喉を鳴らしながら甘えたり、毎日横で眠ったりして、心を許していました。
小太郎くんが心を許した同居猫
そして、もうひとり、小太郎くんには大切な存在が。それが同居猫のしらすちゃん。生後3か月くらいのときにおうちにやってきたしらすちゃんに対し、小太郎くんは初め兄のように接していたそう。
しかし、しらすちゃんが成長するにつれ、2匹の関係はまるで恋人同士のように。小太郎くんは、いつも先にご飯を譲り、しらすちゃんをグルーミングしながら腕で抱きしめて眠っていたのだとか。
「小太郎は頑固で自由奔放な性格でしたが、しらすとはよく追いかけっこやかくれんぼをしていました。人間が肩を叩くように、前足でしらすにちょっかいを出す光景が面白かったです」
深い愛情を受けたしらすちゃんのほうも小太郎くんのことが大好きで、構ってもらうためによくニャーニャーと鳴いていたそう。2匹はお互いに支え合い、愛し合いながらスクスクと成長していきました。
愛猫が「ホルネル症候群」に…

しかし、2017年の秋、小太郎くんに異変が。ある日、akieさんは小太郎くんの喉元にしこりのようなものがあることに気づき、急いで病院へ。告げられたのは、「ホルネル症候群」という病名でした。
ホルネル症候群とは、目に繋がる交感神経に障害が起き、目やその周辺にさまざまな症状が現れる病気。小太郎くんの場合はしこりのほかに、頭をかしげる、目が濁る、瞳孔の開きが左右で異なるといった症状がみられたそう。
「なるべくストレスをかけないよう、治療中、家では小太郎をそっとしておくように意識しました。そしたら、完治とまではいきませんでしたが、目の濁りやしこりは良くなったんです」
小太郎くんに新たな病が判明

ところが、治療中、耳がやけに黄色くなったことを心配し、病院で相談すると「胆管肝炎」であることが判明。それは2018年、春先のことでした。
治療のため、ステロイドを毎日投薬することになった小太郎くんはやがて食事が摂れなくなり、点滴で栄養を摂取。しかし、点滴を入れていたところの皮膚がただれて壊死してしまったため、akieさん家族は強制給餌をすることになりました。
「これが1番ツラかった。小太郎にとってもストレスだったようで、私たち家族を避けるようになってしまって……」
それからしばらくして、小太郎くんは肺炎を患い、逝去。最期は家族に囲まれ、大好きなお母さんの腕の中で、まるでありがとうと言っているかのように「ニャー」と2回鳴き、息を引き取りました。
死を乗り越えられたのは、しらすちゃんのおかげ
強制給餌が原因で肺炎になってしまったのか……。どうしたら、小太郎にとって1番よかったのだろう。小太郎くんが亡くなってからakieさんは毎日、そんな自問自答を繰り返し、涙に暮れていました。
そんなとき、そばで支えてくれたのが、しらすちゃん。
「きょうだいでもあり、恋人のようでもあった存在を失って自分も悲しいはずなのに、ずっとそばにいてくれて、涙でびしょぬれになった顔を喉を鳴らしながら舐めてくれました」
元気を出して。私がいるよ。まるで、そう言ってくれているかのようなしらすちゃんの行動にakieさんの心は救われました。
「猫は人間と同じ感情を持っているし、人間の心の中をよく見ているなって感じました」
亡き猫に似た子猫と“運命の出会い”
愛猫を失った悲しみを愛猫に癒してもらった――。そんなかけがえのない体験をしたakieさんは小太郎くんの死から4か月経った頃、不思議な縁に遭遇します。ある日、車のエンジンルームから猫の鳴き声が。開けてみると、そこにいたのはなんと小太郎くんと同じカツラヘアー柄の子猫。
こんな奇跡ってあるんだ……。そう思い、その子もおうちに迎えることに。「福太郎っていう名前をつけました。今は我が家の末っ子として、家族としらすに甘やかされています。性格もどことなく小太郎に似ていて。お世話になった獣医師さんとも運命を感じるねと語り合いました。」
もしかしたら小太郎くんは自分亡き後のしらすちゃんやakieさん家族が心配になり、衣替えもせずに会いに来てくれたのかもしれません。
あの日、ゴミを必死に漁り、生きようとしていた愛猫。その姿を目にしたからこそ、akieさんは目の前に助けられる命があったら「助けたい」と色んな人が思う世の中になることを願っています。
これ以上、不幸な猫が増えないように…
「ノラ猫の寿命は短いです。すべての子が幸せなおうちに迎えられるとは限りませんし、小太郎が我が家で幸せになれたのかは小太郎にしか分かりません。でも、私は小太郎と出会ったことで猫の魅力にどっぷりとハマり、とても幸せにしてもらいました。だから、これ以上、不幸な猫が増えないよう、多くの人が室内飼いや不妊手術を徹底していけたら……と思います」
小太郎くんからしらすちゃんに渡された「優しさ」というバトンは福太郎くんに渡った後も、受け継がれていくはず。そこには、ひとりぼっちで生きてきた小太郎くんだからこそ伝えられた愛がたくさん詰め込まれていそうです。
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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