【〇〇さん家の猫がかわいすぎる Vol.15】
我が家の猫が愛されながら、寿命を全うしたことを知らせたい――。そんな願いが込められたれいれいさん(@5qwkqrwILfKftUM)の投稿は、Twitter上で大きな話題に。
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1998年9月に愛知県津島市の津島神社から天王川公園で子猫の里親を探していた、当時小学生中学年くらいの3人組に伝えたいです。
中年の夫婦に薄めの茶トラを託したと思いますが、この3月に22年半の天寿を全うしました。優しい心が1匹の猫を救い、家族にたくさんの幸せをくれました。>
3人組の小学生に救われた茶トラ「長老さん」は、命のバトンを受け継いだれいれいさん家族によって大切に育てられ、21年5か月28日という長いニャン生を終えました。
愛知県の津島神社で託された「小さな命」
「いつか3人組を探すときに本当の名前をキーワードにしようと思っていたので、Twitter上では愛猫のことを『長老』と呼んでいました」
そんなマイルールを打ち明けてくれたれいれいさんによれば、長老さんとれいれいさんのご両親が出会ったのは、愛知県津島市の津島神社。
ご両親は津島神社から天王川公園を歩いていたところ、前から自転車を引いてやってきた小学生3人組に声をかけられました。その手には、生後間もない子猫が。
「学年3年生から4年生くらい。ひとりは背が高めだったそうなので、もしかしたら5年生くらいかもしれません」
話を聞くと、捨てられていた子猫を拾ったけれど、みんな家で飼えないと言われたため飼ってくれる人を探し、通りすがりの大人に声をかけていたそう。どうか飼ってほしい……。そう必死に訴えられても、あまり猫が好きではなかったためお母さんは立ち去ろうとしました。
しかし、お父さんは小学生の熱意や、ついてこようとする子猫のかわいさに心打たれ、お母さんを説得。こうして、長老さんは家族の一員になったのです。
猫が苦手だったお母さんも猫好きに
家族はみな、突然やってきた「小さな家族」に夢中に。なかでも、1番虜になったのが、猫があまり好きではなかったお母さん。家族の誰よりも長老さんに愛情を注ぎ、つきっきりでお世話していたそう。
「当時、私は高校生で妹は中学生。多感な時期だったため、明るかった家の中は殺伐としていました。でも、子猫のおかげですっかり和み、明るい家に戻りました」
家族の帰宅時間は早くなり、部屋の片づけも徹底。猫中心の生活を送るようになりました。温かい環境の中、長老さんはアグレッシブな性格を惜しみなく発揮。
「子猫のころはカーテンに登るのが好きでした。大人になってからは網戸を破って出ていき、近所の猫と喧嘩して帰ってきたことも。なかなかのやんちゃ猫でしたね」
そうかと思えば、賢い一面も。長老さんは車の音や足音で誰が帰ってきたかを判断し、ご飯をくれるお母さんの帰宅を察知すると、一目散にお出迎え。
「お父さんに構ってもらうことも好きでした。ダイニングにある父の席に先に座り、父が来るのを待っていましたね」
幸せな21年5か月28日のニャン生
無邪気な子猫期、成猫期を思いっきり楽しんだ長老さんは、歳を重ねてすっかり穏やかな性格に。「長老」というニックネームがふさわしかったと思える、こんなエピソードも。
「晩年、長老はほとんどの時間、掃き出し窓のある部屋の窓際で過ごしていたのですが、窓の外に入れ代わり立ち代わり近所の猫が訪ねて来ていました。近所の猫たちにとっては、まさに“長老”だったみたい」
しかし、今年の2月末から3月上旬、長老さんはご飯が食べられず、水も飲めなくなってしまいました。
「寒い季節だったので母はベッドに入れて、体を温めていました。私は実家を出ているのですが、来週まで持たないと思うから会いに来たほうがいいかもしれないと連絡を受け、3月の第1週目の週末に会いにいきました」
足腰が弱りながらも、迷惑をかけまいと自力でトイレに行く愛猫の誇り高き姿を目の当たりにしたれいれいさんは、体を撫でながら家族と共に今までの思い出を話したそう。
それから数日経った3月10日の朝、長老さんは苦しむことなく、穏やかに天国へ旅立っていきました。
猫の命を救った「小学生たち」に、なんとか知らせたい
連絡を受けたれいれいさんはその日の午後に実家を訪ね、お母さんと火葬場へ行き、愛用していた猫用ベッドと好物の鰹節を持たせ、最期のお別れをしたそう。
「私は実家を離れたり戻ったりでトータルで10年ほどしか一緒に暮らせなかったのですが、しばらく会わなくても、長老はいつだってちゃんと覚えてくれてた。いつか生まれ変わることがあったら、またうちにきてほしい。今まで長い間、ありがとう。ずっと大好きだよって伝えたいです」
小さな子どもたちに救われた命が惜しみない愛情を受け、天寿を全うしたという事実。それを何とかして、当時の3人組に伝えたいというれいれいさんの祈りは、純粋な気持ちをどこかに置いてきてしまった大人の私たちの心に強く刺さります。
「両親も反響にびっくりしており、ずっと気になっていたので見つかったらいいなあ……と言っています。別れ際、小学生が言った『可愛がってもらってね!』『もう捨てられるなよ!』という台詞が今でも忘れられないと言います。もし見つかったら、子どもの頃の純粋な思いがちゃんと伝わったよって、伝えたいです。」
まさにSNSの奇跡!21年前の小学生から連絡が
ここまでの取材が終わり、数日経った7月4日。なんと、れいれいさんのもとに当時の小学生から直接連絡が!
きょうだい猫が黒猫だったことや、送ってきてくれた写真がご両親の記憶と一致したことが決め手となり、れいれいさん家族は本人だと確信しました。
「まさかの展開にびっくりです。今でも信じれらません。」
名乗り出てくれた方が口にしたのは、託した猫が長生きし、天寿を全うできたことへ感謝。「大切にしてくれてありがとう」というお礼は、れいれいさん家族の心に染みました。
しーちゃんがつないでくれた、人との縁
「名乗り出てくれた方は動物を愛する素敵な大人になっていて。当時と変わらない気持ちでいてくれていることが分かって、とても嬉しくなりました。これも、たくさんの方にリツイートいただいたおかげです。励ましや感動しましたというリプもいっぱいいただきました。しーちゃん(長老さん)は亡くなってなお、たくさんの人の優しさに触れさせてくれて、21年越しの縁をつないでくれました」
「命を救いたい」という子どものまっすぐな思いによって、明日を紡ぐことができたしーちゃんは、人の温かさを身を持って感じていたはず。もしかしたら、今回の奇跡は、自分を愛してくれた人を結び付けたいと考えた、しーちゃんからの贈り物だったのかもしれません。
1匹の猫が生んだ、SNSの奇跡。そこには、自分以外の命を尊く思う「人の優しさ」がありました。
(※編集部注:本記事で紹介したツイートでは「22年半」とありますが、ただしくは21年5か月28日(21年半)とのことです)
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
(エディタ(Editor):dutyadmin)



